仕事として足が不自由な人のために提供できる登山というのを真面目に考える立場にいます。
今回の24時間テレビの富士登山で色々と話題になっており、真偽は本人たちしかわからないところではありますが、私が感じたことは「これを見て山に登りたいと思った障がい者の方はいるのかな?」ということです。
はじめに明言しておくと、登山を始めアウトドアに興味のある障害者の方は多く、それを支援する組織や企業も精力的に活動をしています。
テレビをみて、興味はあったけれど「アウトドアは辛い」「登山は無理」と思ってしまった方に対して、無理なく楽しめる登山もできるということを発信したくて記事を書いています。
今回の24時間テレビは少なくとも登山=楽しいということは伝わらず、登山は健常者のみに許されたアクティビティだと捉えられても不思議ではない内容でした。
マーケティングの基本にAIDMAという考え方があります。
AIDMA
- Attention(注意喚起)
- Interest(関心)
- Desire(欲求)
- Memory(記憶)
- Action(行動・購買)
人が物を買う、サービスを受けるためにはこの手順を踏んで初めて成立します。また最近ではインターネットのSNSの影響力を入れてAISASというモデルも使用します。
AISAS
- Attention(注意喚起)
- Interest(関心)
- Serch(検索)
- Action(行動・購買)
- Share(情報共有)
障がい者の方が登山をするというコンテンツは注意喚起は促しそうですが、テレビの内容を見るに関心は引けど欲求には転じないでしょう。良いコンテンツは欲求を促し、行動を起こさせ、情報をSNSで共有させます。
今回の件は足が不自由な方に取って有益な情報が共有されなかったことが残念です。テレビの中で障がい者のためになるようなコンテンツが見つかりませんでした。
それこそ裏番組のNHK内で言われていた「感動ポルノ」のように彼らに対してのメリットが1つも提示されておらず、健常者のみにしかメリットがないというロジックに一致します。運営にしかメリットがないんじゃないかと思うほどです。
繰り返しになりますが登山を始めアウトドアに興味のある障害者の方は多く、それを支援する組織や企業も精力的に活動をしています。その1部をご紹介します。
アウトドア用の車いすで登山ができるサービス「アダプテッドツーリズム」
出典:ata
ata Alliance -adapted tourism & activities-という組織が日本での第一人者です。最近は登山関係のイベントにも出展することがあり露出が増えてきています。
アダプテッドツーリズムという、高齢者・障がい者・子どもの置かれている環境に合わせてアクティビティを提供するサービスです。
足の不自由な方は基本的には車いすに乗り、インストラクターが操縦して登山やスキーを始めとしたアクティビティを楽しむことができます。
日本では八ヶ岳にある富士見高原リゾートが積極的に活動しており、すでに富士登山の実績もあります。
このように足が不自由な方に合わせて登山を提供できるコンテンツはあります。辛い思いをすることなく3000mクラスの山の絶景や、上高地の景色を楽しみ、徳沢や横尾でキャンプを楽しむこともできるでしょう。
登山というアクティビティの目的は人それぞれです。登ること自体に達成感を求める人もいれば、澄み渡った空気と絶景を目的に登る人もいます。
後者の場合は苦しくなく絶景を見ることができる上高地や乗鞍岳が人気ですし、それをキッカケで山を好きになってもらえれば業界人としても嬉しい限りです。
このような選択肢もあると知った上で、サービスに頼らず登山にチャレンジするのか、サービスを利用して山を楽しむのかを障がい者とその家族に選んでもらうのが理想だと考えています。
障がい者の遠足や修学旅行の支援にも繋がる
車いすでどこでもいける、ということは足が不自由で参加できなかったことが可能になるということです。このサービスが広まり、認知が広がれば参加するかどうかを本人の自由意志に任せた上で、「参加できる」という選択肢を提供することができます。
車いすにはいくつかのバリエーションがあり、登山や悪路用にはタイヤが太い三輪のものを使用します。日本はまだアクティビティーのバリアフリーが進んでいないため、海外から車いすを輸入しているそうです。素材も水につけても素材がやインキが溶けて水質を汚染しないようなものになっているそうです。
高齢化社会には必要となるコンテンツ
現在の宿泊施設がバリアフリー化を求められているように、アクティビティにもバリアフリーが求められる時代になるでしょう。
若い時登山がライフワークで合った人が年を取り、お金に余裕があるけれども足が悪くてもう山にはいけないという状況になったとき、その山まで家族と一緒に連れて行ってもらえるアダプテッドツーリズムがあればクオリティ・オブ・ライフが向上することは間違いないでしょう。
すでに障がい者を持つ家庭では人気のサービス
専用のインストラクターを付ける必要があることから、決して安い価格ではありませんが、家族と一緒にアウトドアを楽しめるということで人気のサービスです。
それだけ障がい者の方と、その家族が気兼ねなくアクティビティを共有できるということは価値があることなのだと思います。
私個人としても日頃の喧騒を忘れられる山の空気、景色の素晴らしさを障がい者の方の望む形で提供したいと考えています。条件はあれど3000mの山で宿泊などを提供できればいいですね。
行政や宿泊施設、観光協会に山荘・メーカーなど調整するべきことは多いですが、障がい者の方にも少しでも登山を提供できるように活動しています。
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