BenQのカラーマネジメントモニターは手に入りやすい価格であるため、写真を編集する上で第一選択に上がってくることが多いと思います。
そこで気になるのが現在発売されているBenQのカラーマネジメントモニタ―で何を買えば良いのか。何を基準に選べばいいのかわからない人も多いと思います。
困ったことにBenQのカラーマネジメントモニターはどのモデルも現行機種として販売されているため選択肢の幅が意外に広いのです。
もちろんすべてハードウェアキャリブレーション対応(キャリブレーターは別途自分で用意)。
そこで所持しているBenQのカラーマネジメントモニターを比較してそれぞれの特徴とメリットをまとめて見ました。
結論から言うと今買うならSW270Cが幸せになれる可能性が一番高いです。

カラーマネジメントモニターの比較
BenQの最新モデルであるSW270C、4Kの解像度を持つSW271、色ムラ補正の精度が高い映像編集用のPV270、発売から数年経っているにも関わらずいまだに色々な賞を受賞するSW2700PTの4機種です。
SW270C | SW271 | PV270 | SW2700PT | |
---|---|---|---|---|
サイズ | 27インチ | 27インチ | 27インチ | 27インチ |
解像度 | 2560 x 1440 | 3840 x 2160 | 2560 x 1440 | 2560 x 1440 |
色域 | Adobe RGB 99% DCI-P3/Display P3 97% sRGB/Rec.709 100% | Adobe RGB 99% DCI-P3 93% sRGB/Rec.709 100% | Adobe RGB 99% DCI-P3/Display P3 96% sRGB/Rec.709 100% | Adobe RGB 99% sRGB 100% |
輝度 | 300cd/㎡ | 350cd/㎡ | 350cd/㎡ | 250cd/㎡ |
コントラスト比 | 1000:1 | 1000:1 | 1000:1 | 1000:1 |
応答速度 | 5 ms (GtG) | 5 ms (GtG) | 5 ms (GtG) | 5 ms (GtG) |
表示色 | 10億7000万色 | 10億7000万色 | 10億7000万色 | 10億7000万色 |
ムラ補正回路 | ○ | ☓ | ○ | ☓ |
3D-LUT | 16bit | 14bit | 14bit | 14bit |
Delta E | Delta E≦ 2 | Delta E≦ 2 | Delta E≦ 1.5 | Delta E≦ 2 |
画素密度(ppi) | 109 | 163 | 109 | 109 |
画素ピッチ(mm) | 0.233 | 0.1554 | 0.233 | 0.233 |
カラービット | 10bit | 10bit | 10bit | 10bit |
HDR | HDR10 | HDR10 | 非公開 | HDR10 |
OSDコントローラー | ホットキーパック G2 | ホットキーパック | ☓ | ホットキーパック |
入力 | HDMI v2.0 x 2 DisplayPort 1.4 x1 USB-TypeC x1 | HDMI v2.0 x 2 DisplayPort 1.4 x1 USB-TypeC x1 | HDMI v1.4 x 1 DisplayPort 1.4 x1 MiniDisplayPort 1.2 x1 DVI-DL x1 | HDMI v1.4 x 1 DisplayPort 1.4 x1 DVI-DL x1 |
USB-C給電 | ○(60W) | ☓ | ☓ | ☓ |
本体重量 | 9.5kg | 9.3kg | 7.8kg | 8.3kg |
対応ソフトウェア | Palette Master Element | Palette Master Element | Palette Master | Palette Master Element |
遮光フード | ○ | ○ | ○ | ○ |
販売価格(2019.11) | ¥88200 | ¥140000 | ¥120000 | ¥69300 |
私が所持しているBenQのカラーマネジメントモニターを比較してみました。ここからそれぞれの特徴をピックアップしていくとわかりやすい選定基準が見えてきます。
- USB給電と映像出力を同時に行うならSW270C
- 正確な色なら16bitLUTと広色域のSW270C
- 4Kの解像度が欲しいならSW271
- 輝度ムラを抑えたいならPV270
- コストを抑えたいならSW2700PT
どの機能にどれだけのお金をかけられるかで選ぶモニターが変わってきます。
BenQのモニターはどれも広い色域を持っているため、写真編集モニターとして使用するのであればどのモデルを使っても十分な機能性を持っています。
この時点で既にSW270Cのコストパフォーマンスが圧倒的に良い雰囲気が出ています。
ではカタログスペックではわかりにくい細かい部分を見ていきます。ディスプレイの性能をキャリブレーターであるi1 Display Proを使い計測していきます。

キャリブレーション速度
SW270C | SW271 | PV270 | SW2700PT | |
---|---|---|---|---|
キャリブレーション速度 | 5:52 | 7:02 | 12:43 | 9:53 |
キャリブレーションの速度を4機種で比較すると圧倒的にSW270Cが速いです。特にPV270と比較すると2倍以上の違いがあります。
定期的に行い色を正常に表示させるために必要な作業ですので、短いに越したことはありません。SW270はキャリブレーション速度が高速になったアピールすることもあって仕事前、ちょっとした休憩時間にキャリブレーションできる強みがあります。
色ムラ
キャリブレーションした色が理想値とどのぐらいズレているかの数値をDelta Eという項目で表します。この数値が2以下であれば目ではわからないくらい精度が出ている目安でBenQのキャリブレーションソフトであるPalette Master Elementでも2以下を合格基準にしています。
SW270C | SW271 | PV270 | SW2700PT | |
---|---|---|---|---|
Delta E 平均 | 1.23 | 1.33 | 0.52 | 0.95 |
Delta E 最大 | 2.35 | 3.02 | 1.32 | 1.87 |
色ムラに関してはPV270が一番優秀で、次がSW270CとSW2700PTが次点、続いてSW271。
どれも平均値では1.5以下であるため色に関してはどのモニターを使用してもハイパフォーマンスです。ここはモニターを選ぶ基準としては少し弱いという結果になりました。
輝度ムラ
モニターすべてが同じ明るさになっているわけではなくムラがあります。ムラが酷いと写真を正常に見ることができないため正しい修正をすることができずに印刷などのアウトプットに影響します。
ここでは色ムラ補正が入っており電源を入れて5分で色が安定するSW270CとPV270、補正が入っておらず色が安定するまで時間がかかるSW271とSW2700PTの比較をするために電源を入れて5分後に色ムラを計測してみました。
SW270Cの輝度ムラ
SW270Cはユニフォーミティ補正(ムラ補正)回路が入っているため、非常に安定した数値が出ています。この程度の範囲に収まるムラであるなら業務でも安心して使用することができます。
SW271の輝度ムラ
4KのSW271はかなりのムラが起こりました。これは比較のため電源投入直後に計測したことが原因だと思われます。30分ほど時間をおいてから計測すると、最大でも8%程度の誤差に収まります。

PV270の輝度ムラ
PV270は専用の補正回路が常に動き続けているモデルで、精度でいえばBenQでもっとも高いとされています。
計測結果もかなり良好ですが数値自体はSW270Cとそう変わらない結果になりました。

SW2700PTの輝度ムラ
SW2700PTはムラ補正回路が入っていないためSW271と同等に電源投入直後だと最大で10%の輝度ムラ確認できました。
やはりムラ補正回路がついている機種は良好な数値になり、モニターに電源を入れた直後からも安定して写真編集ができることが確認できました。
撮影後に急ぎ写真を編集する頃が多い人はSW270CかPV270が適しているということになります。
現状のおすすめは圧倒的にSW270C
ただ写真を編集するだけの考え方ならSW2700PTが候補に上がります。さすが発売されてから3年も立つのに人気があるのもうなずけます。
正確な色再現を可能にするAQCOLOR技術採用
けれどもプラス2万を出せるのであれば、圧倒的に色域の広いモニター、色ムラ補正(ユニフォーミティ補正)、USB-C接続による給電と映像出力の機能が手に入り、モニターの操作もホットキーパックG2になり格段に向上しています。
例えばMacBookをメインで写真編集をするならSW270C一択ではないでしょうか。USB-TypeCでの映像出力ができるモニターであればケーブル一本でデュアルディスプレイ化しつつ充電することができます。
またSW270はPantone/CALMAN認証を取得しているモデルなので信頼性に置いてもからマネジメントモニターのSWシリーズの中でトップクラスに位置しています。
そんなこともあり、解像度でいえば4KであるSW271が理想ですが「色を正確に出したい、すぐに作業に写りたい、印刷するには色ムラは避けたい」という理由で現在はSW270Cをメインに使っています。
デスクトップPCやハイパワーノートPCで色ムラ補正機能がついて色域がSW270Cレベルの4Kカラーマネジメントモニターがあれば理想ですが、BenQではそのモデルはまだ出ていません。
けれども4Kのディスプレイはグラフィックボードの性能が必要であることに加えてかなり高額になることも予想されますので、そういう意味でもSW270CはバランスがよくどんなPCにも使用できるオールマイティなカラーマネジメントモニターという立ち位置だと思います。
業務で使い据え置きでPCに繋げっぱなしという扱いならSW2700PTという選択肢も出てきますが、個人で購入するのであればSW270Cがもっともコストパフォーマンスが高いカラーマネジメントモニターだと思います。
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