これから登山を始めようという人にとって最初の難関なのが「どんな登山用具を買えばいいのか」という問題です。いざ登山用品店に行っても途方に暮れる人も多いのではないでしょうか。
どの季節にどの山に登るかによっても装備が違うため、多くの人が最初に登る候補である夏期低山の代表として東京の奥多摩と富士山を比較して登山経験がない人でも必要な装備が分かるように解説します。
数ある登山用品の選び方の1つに過ぎないことを前提に、私が登山未経験者に対してアドバイスするならこういう考え方をするというものです。
登る山の気温を標高から考える
気温は高度を100m上げる度に0.6℃低くなります。つまり理論的には東京駅と富士山山頂で気温差が22度ということです。風速1mごとに体感温度は1度低くなるため、富士山の山頂付近の強風を考えると30度以上の体感温度差があります。つまり真夏でも0℃近くになり真冬並みの寒さです。
これを理解するだけでも富士山に短パンTシャツで行く危険性がわかると思います。
対して奥多摩のような低山だと標高は1000mくらいの山が多いので、東京駅との気温差は6度程度。強風に見舞われることも少ないため「涼しい」と感じると思います。
まずはどのくらいの気温のところに行こうとしているのかを考えるのが登山用具選びの始まりになります。
行動時間と標高差を考える
次に考えるのは登山口から山頂までの標高差と登頂にかかる時間です。3000mを超える高さの山であっても登山口が2700m地点にあれば300m登ればいいだけです。運動量から考えると山頂の標高が高くても奥多摩の低山登山よりも楽な山もあります。北アルプスの乗鞍岳がその典型例です。
基本的には登山口から山頂までの標高差があるほどキツくて時間のかかる山と考えて問題ありません。行動時間が長く標高差がある山ほど「万が一」に備えた装備が必要になります。
例えば体の負担を軽減するトレッキングポール、日が落ちてしまっても行動できる照明装備、夜を明かすためのツエルトなどビバーク装備という考え方が必要になります。
初めての登山で必要な装備
山頂の標高・行動時間・標高差。この3つは調べれば誰でもわかります。まずは無料で使える山と渓谷社のヤマタイムやYAMAPなどで自分の登りたい山がどんな山なのかを確認した上で登山用品店に足を運んだリ、経験者に相談してください。これだけで返ってくる返答の精度がまるで違います。
それを踏まえて考えた登山初心者が購入するべき登山用品はこちら
マーク | ◎=必須 / ◯=推奨 / △=代替可能 | |
---|---|---|
奥多摩の低山 | 富士山 | |
ザック | ◯ | ◎ |
ザックカバー | △ | ◯ |
スタッフバッグ | △ | ◯ |
登山靴 | ◯ | ◎ |
靴下 | ◯ | ◎ |
レインウェア | ◯ | ◎ |
スパッツ | △ | ◯ |
下着 | △ | ◎ |
インナーシャツ | ◯ | ◎ |
速乾性シャツ | ◯ | ◎ |
登山用パンツ | ◯ | ◎ |
防寒用ダウン | △ | ◯ |
ストック | ◯ | ◯ |
グローブ | △ | ◯ |
エマージェンシーシート | ◯ | ◎ |
ヘッドライト | △ | ◎ |
水筒 | △ | ◯ |
モバイルバッテリー | △ | ◎ |
タオル | △ | ◯ |
低山と高山でこれだけ装備が違います。これが最低限揃えるべき装備です。
実はここからが難しいところで、個人の体質や体力、登山スタイルに合わせて何を買うべきなのかという問題。必要な登山装備を細分化し、必須・推奨・代替可能の詳しい説明をしていきます。
ただしの最低限そろえるべき装備は東京の奥多摩の低山や富士山といった登山者が多い山が前提条件であり、同じ標高でも人の立ち入らないマイナーな山や槍ヶ岳・穂高レベルで通用する最低限の装備ではありません。
登山用品はリスクヘッジをどう考えるかで決める
登山用品は自分が「万が一」の状態に陥ったときどこまで対応するのかで考えると分かりやすいです。
例えば晴れていれば必要ないザックカバーでも「万が一雨が降った場合」のために多くの人が携行します。雨が降るとザックの中に水が染み込み防寒具などが濡れてしまい身体が冷えた時低体温症につながる、ティッシュなどが濡れるとテント泊で不衛生になってしまうという分かりやすいリスクがあります。
夏山でも転倒して岩に手をついてしまったら皮膚が破けて血だらけになってしまう。「万が一転倒した場合」に備えて手のひらを保護するグローブを装着しておく。このような考え方です。
この「万が一」を引き起こしてしまう要因が登山計画の甘さであったり、体力不足であったり、判断力不足であったりと人それぞれです。
私の経験からだとトラブルは常に自分の想定の範囲外で起こるものなので、いくら登山経験者のアドバイスに従ったとしても限界があると思っています。ですのでトラブルが起きてもリカバリーできる難易度の低い山で経験を積み、自分の特性を見極めた上で次の装備を選んでいくというやり方が確実だと感じています。
登山初心者は人の多い低山で登山をして早めに失敗して痛い目を見るのが大事です。それを踏まえて登山初心者の方におすすめする登山用具を深掘りしていきます。
奥多摩登山で必要な登山用品( 標高1000〜1500m)
標高の低い山は木々の中を歩く時間が長いため強風にさらされることも少ないため歩きやすい。また登山道が渓谷になっている山も多く、夏は沢沿いを歩くコースが夏期は気持ちいいです。
そんな低山登山を楽しむために必要な登山用品と予算はこちら。
低山で必要な装備(1500m〜) | ||
---|---|---|
◎=必須 / ◯=推奨 / △=代替可能 | 参考価格 | |
ザック | ◯ | ¥18,000 |
ザックカバー | △ | – |
登山靴 | ◯ | ¥16,000 |
靴下 | ◯ | ¥2,000 |
レインウェア(上) | ◯ | ¥22000 |
レインウェア(下) | ◯ | ¥15,000 |
スパッツ | △ | – |
下着 | △ | – |
インナーシャツ | ◯ | ¥4,500 |
速乾性シャツ | ◯ | ¥4,000 |
登山用パンツ | ◯ | ¥10,000 |
防寒用ダウンジャケット | △ | – |
ストック | △ | – |
グローブ | △ | – |
エマージェンシーシート | ◯ | ¥1,000 |
ヘッドライト | △ | – |
水筒 | △ | – |
モバイルバッテリー | △ | – |
タオル | △ | – |
合計 | ¥92,500 |
アウトドアブランドで揃えると予算は10万円くらいになります。
低山登山において必須な装備は少なく、日常生活や普段のスポーツで使用しているウェアなどで代替することができます。実際多くの登山者の人が軽装で高尾山などの低山を楽しんでいます。
しかし経験者の立場からすると装備不足の状況で「何か起きたとき」に事故に発展する可能性が高いためできれば持っていて欲しいものがたくさんあります。
できれば全部持って行ってほしいのですが初めて登山をする人がすべて揃えるというのは経済面でも現実的ではないため「推奨」のアイテムをご紹介します。それが自分にとって必要なものかを判断してください。
最初はインナーとシャツによる汗対策
登山で事故に発展しやすい典型が低体温症を代表にする体温の低下です。そのスタートが汗冷え。厳冬期の登山はまた別なのですが初心者の人が山に登る時は汗をかく→汗が冷える→身体が冷えるいう順序を辿ります。
例えば真夏の街の中で汗をかいても不快感しかないためどのように事故に発展し易いのか想像しにくいと思います。分かりやすい例を挙げると真冬にぬるま湯のお風呂に浸かった状態で浴槽から出る感じに似ています。
登山は運動負荷が高いので行動中は発熱し大量の汗をかきます。これがぬるま湯に浸かってる状態。山頂付近で立ち止まると低気温と強風で体温が奪われます。これがぬるま湯から出た状態。
外気温が高い夏ならば気になりませんが、真冬の気温だと一刻もはやく身体から水を拭いて着替えたくなるものです。これが山で常に起こるものと考えてください。
一気に寒くなる原因は汗。水の熱伝導率は空気の25倍であるため身体に水分が付着している状態で外気が低いと一気に体温を奪われます。
それが引き起こす低体温症自体が怖いのはもちろんですが、もっと怖いのが想定外の危機に気づきパニックを起こすことによる判断力の低下です。これは寒い・痛い・怖いなどの精神状態になるほど低下していき滑落や道迷いなどの致命的な遭難に繋がります。
何かを我慢している状況というのはそれだけで危険です。よってまずは汗冷えを避けるべきと考えています。
現在の汗処理のセオリーになってるのがfinetrackのドライレイヤースキンメッシュをはじめとするインナーと、速乾性シャツの2枚を着ることです。
メッシュが身体から出る汗と肌を分離させ、速乾性シャツに吸水させます。メッシュは強力な撥水性があるため一度外に出た水分が肌に付着することがないため肌をドライの状態で維持することができます。
汗を吸った速乾性シャツは水を吸い上げ生地に広げて外気に触れる表面積を大きくします効率よく汗を蒸散させることで汗がウェアに留まることを防ぎます。
これがコットンのTシャツなどだと汗を吸っても蒸散されないためどんどん水分が溜まっていきます。最終的に水を含みすぎるとメッシュで肌を保護しても汗冷えを発生させてしまいます。
よって汗による汗冷えを防ぐためにはドライレイヤーのようなメッシュと速乾性シャツの組み合わせは1つと考え一緒にそろえましょう。
ウェアと同じ考えでパンツも速乾性のある運動用のパンツが必要です。何を買えばいいのかわからないという人は登山用品店に売っているパンツを購入すれば問題ありません。
身体の負担を軽減するザックとストック
登山は荷物を背負って坂道を登ったり下ったりの長時間行動です。日常生活で使用するリュックだと次第に肩が痛くなり、普段歩く習慣がない人が下りを歩き続けると膝が痛くなってきます。
これが登山初心者が起こす頻度の高いトラブルの2番目。
何かを我慢してる状態が一番危ないというアプローチで登山装備を選んでいくなら、できればベルトを締めることで背中にピッタリとザックの位置を調整し、ヒップベルトを締めることで肩ではなく腰に重量負荷をかけることができる登山用のザックをオススメします。
肩に集中して負荷がかかるリュックに比べると格段に楽に登山することができます。
もう一つ推奨したいのが登山用のトレッキングポール。初めての登山なので山の歩き方はわかりません。特に下りはドシドシと足を降ろして下っていくと簡単に膝を痛めますし、転倒すれば頭から落ちて危険です。足を下ろす前にストックで降ろして支点を作ることで膝に負荷をかけず、転倒リスクも少なく安全に下ることができるます。
また万が一膝が痛くなってしまった場合でもなんとか自力で下山することもできます。登山を数回やれば下りの辛さから自発的に買うものですので前もって買っておいた方がいいと断言できる登山用具です。
歩行のパフォーマンスを上げる登山靴と靴下
登山靴にはローカットとハイカットがありますが、その使い分けは経験者でないと難しいため最初はハイカットの登山靴をおすすめしています。理由は機能面以前に足首を覆うため捻挫を予防したり雨や水たまりからなどの浸水リスクが少なくできるというイージーミス対策です。
また登山靴はソールが硬く作られているため日常生活では歩きづらいブーツですが、山の中のデコボコな地面でもソールの一部が引っかかって入れば足の裏がフラットな状態になるため疲れにくかったり、つま先だけ岩にひっかかればそれを支点に岩を登ることもできます。
登山靴は海外メーカーのものが多いため、日本人の足とは相性の良し悪しがはっきり出ます。サイズが合っていてもワイズ(横の広さ)が合っていないと親指や小指が圧迫されて歩行中に痛くなってきて最悪出血します。
登山靴はメーカーやデザインにこだわらず登山用品店で店員の人にサイズを測ってもらい靴下と一緒に購入することをおすすめします。
雨と風を防ぐレインウェア
雨で身体が濡れると体温が奪われて低体温症になります。山の中では天気の予測がつきづらく雨が振り始めてから登山口まで戻るのに数時間かかることも考えられるためどんな低山であっても雨合羽程度のものは必須です。
高価格になりますができれば登山用のレインウェアがあるのが理想的です。GORE-TEXやエバーブレスといった素材を使っているレインウェア(ハードシェル)は雨と風を完全にシャットアウトできるのと同時に、透湿性があるため内部の汗などを外に出すことができるため、雨合羽などにくらべて蒸れがすくなくなります。
ウェアの内部が蒸れてしまうと、実質的に身体が濡れているのと同じことなので低気温の環境だと体温がどんどん奪われていく上に、つねにべとついた感触がつきまとい不快です。
レインウェアには厚手と薄手のものがありますが、冬山でなければ薄手のもので十分。販売価格2万円程度の夏用の薄手のものから揃えていきましょう。
行動不能に陥った際に使用するエマージェンシーシート
万が一転倒して足を挫いてしまったり、体調不良により救助を待たなければならなくなった場合は雨風を防ぎ体温を維持することが必要になります。
行動できないと発熱ができずどんどん体温が奪われていきます。それを防ぐために空気中に放出している体温を反射させて保温するエマージェンシーシートが必要です。災害時にもよく使われるもので軽量コンパクト、低価格で購入できるためどんな山に行くときでもザックに入れて置くべきだと考えています。
これが低山で安全に登山を楽しむためにできれば持っていて欲しい推奨登山用品です。
高所登山で必要な登山用品(標高3000m〜)
2500mを超えると森林限界を超えるため風を遮る木々がありません。天気が安定していれば絶景ですが荒れると死亡事故に直結するくらい危険な状況になります。そんな標高3000mを超える登山で最低限必要な装備はこちら。もちろん富士山でも必要です。
富士山で必要な装備(3000m〜) | ||
---|---|---|
◎=必須 / ◯=推奨 / △=代替可能 | 参考価格 | |
ザック | ◎ | ¥18,000 |
ザックカバー | ◯ | ¥3,000 |
スタッフバッグ | ◯ | ¥4,000 |
登山靴 | ◎ | ¥16,000 |
靴下 | ◎ | ¥2,000 |
レインウェア(上) | ◎ | ¥22,000 |
レインウェア(下) | ◯ | ¥15,000 |
スパッツ | ◯ | ¥3,500 |
下着 | ◎ | ¥2,500 |
インナーシャツ | ◎ | ¥4,500 |
速乾性シャツ | ◎ | ¥4,000 |
登山用パンツ | ◎ | ¥10,000 |
防寒用ダウンジャケット | ◯ | ¥18,000 |
ストック | ◯ | ¥12,000 |
グローブ | ◯ | ¥5,000 |
エマージェンシーシート | ◎ | ¥1,000 |
ヘッドライト | ◎ | ¥5,000 |
水筒 | ◯ | ¥5,000 |
モバイルバッテリー | ◎ | ¥3,000 |
タオル | ◯ | ¥3,000 |
合計 | ¥159,500 |
3000mを超える山では低山で推奨登山用具はほぼ必須です。それを持たないで登山するのは危険なので考え直しましょう。
富士山に登る装備を真面目に揃えると16万円はかかりそうです。低山登山より更に必要な登山用具が増えてますので、どのようなシーンで必要なのかをご紹介します。
浸水に備えたザックカバー・スタッフバッグ
標高が上がるに連れて強風になる傾向があり、雨は叩きつけられるような感じになります。よってザックへの水の侵入の危険度が低山に比べて高いです。そのためザックに水が侵入しないようにするザックカバーは必須。
また富士山レベルの標高になるとどの季節であっても保温着を持っていく必要があるため、万が一ザックに水が浸水したとしてもダウンジャケットなどが濡れないようにスタッフバッグに小分けして収納する必要があります。
防寒用ウェア
富士山(3000m以上の山)は夏であっても0℃以下になることは珍しくないため保温着が必要です。ここで防寒具を必須にしていないのは【登山用の防寒具】か【一般的な防寒具】かの選択の余地があるためです。
アウトドアメーカーのダウンジャケットや化繊ジャケットは20000円〜と高価で、逆にユニクロのダウンジャケットは5000円程度から手に入ります。同じダウンの質と量であれば保温性自体には違いは少ないため、どちらを使っても保温という目的だけなら問題ありません。
違いはアウトドアメーカーの保温着は登山で使用することを前提に考えられているという点です。たとえば同じダウンジャケットという分類であっても表面の生地に撥水加工がされていたり、縫製が丈夫であったり、ベンチレーション(内部の蒸れを解消するためのファスナー)が搭載されています。
大金を支払って安全を買うかの判断が如実に出るのは保温着です。
登山用品メーカーの防寒着でもダウンと化繊の2パターンがあります。ダウンは保温力は高いけれども濡れると途端に保温力が落ちる、化繊は保温力はダウンに劣りますが濡れても保温力が低下しにくく乾きやすいという特徴があります。
私はどんなシビアな環境でも事故を防ぐため、濡れても保温力が維持でき、すぐに乾き数日間の行動でも生き残れるfinetrackの化繊のジャケットを使用しています。

指と手のひらを守るグローブ
0℃近い場所で風が強いと指先がかじかみ何をするにも効率が悪くなる上に凍傷のリスクもあります。また標高の高い山、特に富士山は行動時間が長く山行中転倒する確率が高いため手のひらを擦り切らないためにもグローブの着用をおすすめします。
夜間での行動に必要なヘッドライト
照明器具を持たずに山に入り夜を迎えてしまうと行動できなくなります。目視では道を見ることはできません。スマホの照明を使用することもできますが明るさも広がりも不十分で片手もふさがり下山での事故リスクが跳ね上がります。バッテリーがもつ間に下山できるとも限りません。
よって行動時間が長く取れる夏山であっても長時間の行動が必要な富士山のような山はヘッドライトが必須です。直に命に関わるものなのでホームセンターなどの安価で堅牢性の信用がないものよりも、アウトドアメーカーのものをオススメします。
こまめに水分補給ができる水筒(ハイドレーション)
ザックの中にウォーターパックを入れてホース経由で吸水するハイドレーションというシステム。登山上級者が使うイメージですが実は初心者ほど使って欲しい登山用具の1つです。
喉が乾くというのすでに脱水症状の傾向が出ているサインであり、そうなる前にこまめな水分摂取を登山では心がけて欲しい行動です。これを水筒で行うとするといちいち立ち止まったり、ザックの横からペットボトルを出したりと効率的ではありません。
特に複数人で行動すると歩行ペースを崩しては行けない気持ちから休憩に入るまでドリンクを摂取するのを我慢して、ようやく休憩となったら一気に大量の水分を飲むということをしがちです。
一度に大量の水を摂取しても身体に取り込まれることなく排出してしまうため効率が悪い上に、飲料を使い切ってしまうといういいところが全くない行為です。
そんなリスクを回避するために運動負荷が高く汗を書きやすい高所登山ではハイドレーションの採用をオススメします。
モバイルバッテリー
スマートフォンは登山初心者に多大な恩恵をもたらします。YAMAPで事前に登山道をダウンロードしておけば通信圏外になってもGPS連動で現在地が分かるため山頂までどのくらいかかるのか、下山口までどのくらいの距離なのか、そういった登山初心者が抱える悩みを払拭できます。
電子機器に頼りっきりなのは万が一スマホが壊れたときのリスクが高すぎるため推奨できることではありませんが、はじめての登山や読図の勉強としては有効活用するべきと思います。
しかし怖いのがバッテリー切れ。長時間の山行になり通信ができなくなると万が一のときに救助の連絡ができなくなります。スマホを活用するのであれば保険として充電用バッテリーを携行したほうがよいでしょう。

ショップ店員や登山経験者の意見が食い違うのは当たり前
これから登山を始める初心者に方におすすめする装備が人によって違うのは、その人の登山やスタイルから得た経験値の量と質が違うからです。
万が一の危機に備えて食料やテントなどを背負って山に行くべきという意見もあれば、必要ないものは持ち歩かず軽量化することで事故を起こすリスクを減らし迅速に山を下る方が安全という意見もあります。
その人にとってはそれが経験から得た知識なのでどちらが正解で間違いというわけではありません。
個人的にはどちらの意見も正解で、それを選ぶのは山に登るその人です。経験が浅いうちは偏った考え方をせずに出来る限り自分でロジカルに考えて装備を選び、実際に山に持っていき自分にとって正解だったのかを検証することが大事です。
最初は高価格な登山用品を選ぶ必要はない
高価格な登山用のウェアやギアは冬山でのシビアな環境で使うことを想定されているものなので夏山から入る初心者には必要ありません。アウトドアブランドで低価格で一式揃えるならmont-bellかミズノが無難かと思います。他にも登山用品店のセール商品を購入するのもいい買い物の仕方です。
私も最初の頃はとにかく安いものを購入して登山をしていましたが、しっかりとしたアウトドアブランドのもので性能に不満を感じたことはありませんでした。
今でこそメインはfinetrackとMAMMUTに落ち着いてメーカーや商品に対して色々考えることができるようになりましたが、それもこのような経験を積んだ結果なので登山用具の良し悪しの基準を設けるためにも手に入りやすい価格帯のものを買うことをオススメします。
リスク回避にどの程度の金額を投資できるか
私の登山用具の選びは事故を起こさないことと、万が一事故が起きた場合どの程度リカバリーできるかで考えています。よって登山初心者の人と一緒に登山用品を選びに行くとかなりの出費を強いることになってしまいます。
登山でユニクロ製品を使うことはよく話題に上がりますが、例えば速乾性のないものでもまったく汗をかかないシーンで使用する考え方なら問題ないでしょうし、逆に汗を含んでしまうシーンで使うならならそれなりのリスクを伴います。それを選ぶのはその人自身です。
「この山ならユニクロでも大丈夫」という装備の取捨選択をできるのは登山経験がそれなりに積み重なってきてからなので、経験がない中でユニクロを例にその登山経験者の個別最適化された装備を真似をするのは危険かと思います。
山のことがわからないからとりあえず登山用品専門店でウェアを一式揃える考え方はお金はかかりますがリスク回避としては正しい選択です。
まずは最低限の装備で登れるゆるい山からスタートし、そこで得た経験から自分に必要なものを徐々に集めていき経験値と登山用品をバランス良く増やしていくのがこれから登山を始める人の堅実な山の楽しみ方だと思います。
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