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絶対にやめて欲しい登山でダイエットするという危険な考え方

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登山でダイエットは間違い

登山は長時間の有酸素運動だからダイエットに最適。2016年夏に山の日が制定された勢いもあり、多くのメディアが登山は痩せるとPRをはじめています。クライマーの立場から言わせると危険きわまりないです。

まず正しく登山をすると、登山前、登山中、下山後と大量に食べるので結果として体重はそれほど落ちませんし、週1回の登山程度なら食事制限に適度な筋トレの方が効率がよいです。価値観は人それぞれですが、たかが数キロの脂肪燃焼と引き換えに登山での死亡リスクを取るのは割に合わないと思います。

登山でダイエットは本当に危ないので、その危険性をまとめます。

登山で脂肪燃焼し易いことは事実

登山で志望が燃焼しやすいのは事実
理論的には痩せます。エクササイズの観点からみても効率よく脂肪燃焼をすることが可能です。理想とする運動負荷で平均にしても4時間を超える長時間運動であることは間違いありません。

これは3時間で終わるマラソンや、短時間しかできない水泳とは比較にならないほどカロリーを消費します。理論としては正しいのですが、問題はそこではありません。

登山がカロリー消費しやすい理由の盲点

低負荷の筋トレである登山

長時間の有酸素運動と多くのサイトは紹介していますが間違いです。正確には「重量を背負った状態で行なう有酸素運動」だからです。感覚としては超軽負荷の筋トレを延々と繰り返すことに似ています。

消費カロリーの簡単な計算は自重×移動距離。ざっくりした計算だと60kgの体重の人が1km歩くと60ckal消費する計算です。これを基準にどの程度の負荷が登山にあるのかを考えます。

消費カロリーの計算式

消費カロリー(kcal) = 運動時間(時間) x METs x 体重(kg) x 1.05

アクティビティ METS
徒歩 3.5
ハイキング 7.8
10kgの荷物を持って山を登る 8.3
水泳 9.8
マラソン 13.3
雪山登山 15.5

出典:身体活動のメッツ(METs)表

登山の運動強度は7〜9METsと言われていてジョギング・スイミングと同程度です。厚生労働省のまとめている運動強度一覧表では一般登山で8.3METsとされています。

60kgの人が8.3METs負荷の登山を10kgの荷物を背負って6時間かけて行なうと3660kcal程度の消費カロリーになります。これに基礎代謝を含めると男性なら余裕で5000kcalを越えます。吉野家の牛丼並盛りを7.5杯食べても体重が減ります。

すごい痩せそうなイメージですが、登山経験のない人が行なうことはほぼ不可能です。10kgを背負って坂道を延々と歩く下地が出来ていません。まともに歩けて30分程度ではないでしょうか。

それでも根性で6時間歩き通せる前提で話を進めます。

登山はスポーツの中でも危険なアクティビティの1つ

登山は危険なアクティビティ

平成27年での年統計では遭難人数は3043人。内死亡者335人。

出典:平成27年における山岳遭難の概況(警察庁生活安全局地域課)

異常な死亡者数です。

超初心者レベルの高尾山でも2016年の8月時点で90件を超える遭難事故がおきています。これから言えることはどんな山でも危険であるということです。

その原因の多くが山のことを理解せずに不適切な行動を取るからです。高尾山でビールを飲んだ後に山道で滑落するのは典型例です

これは極端な例ですが、登山は山のレベルに合わせて適切な行動力と知識が求められます。これを間違えると結構あっさりと人は死にます。登山者のリテラシーが下がっている、ブームが続いているということで事故数は10年前に比べて77%増加しています。

登山で痩せる発想自体が間違い

登山で痩せる発想が間違い

結果として体重が落ちることはあります。それでも喜ぶでべきものではありません。

まず大前提として糖分による栄養補給は常に行います。長時間の高負荷有酸素運動なのですぐにグリコーゲンを使い果たしてしまうからです。それがなくなると脂肪が燃え始めます。ダイエット目的の人はそれが狙いだと思いますが、覚えてほしいのは脂肪を燃焼させること自体が危険だということです。

グリコーゲンを使い果たしたら危険

糖質を取らないと危険

グリコーゲンは糖質です。一気に燃焼してエネルギーに転換することができます。貯蓄庫である肝臓のグリコーゲンはカロリーにして400kcal程度しかないためすぐに使い切ります。それを使い切ってから脂肪が燃え始めます。

筋肉にも1200kcal〜1300kcalほどグリコーゲンがあり、これを消費すると途端に身体が重くなりはじめます。

脂肪は燃焼してもエネルギー転換が悪い

脂肪はグリコーゲンほどのエネルギーが出ないため山に登る足がとたんに前に出なくなります。荷物を背負い坂道を登るということ自体が高負荷運動であるため、エネルギー効率の悪い脂肪を使用するのに向いている運動ではありません。脂肪燃焼のエネルギーで行動ができるのは十分な筋肉量があり、効率よく歩ける経験者です。

脳に送られる糖分もなくなり頭はぼーっとして集中力がなくなり、筋肉疲労で足がガクガクと震えて踏ん張りが効かなくなります。重量のある荷物に引っ張られる形で滑落するか、足を挫いて動けなくなるパターンが多いです。

それを回避するために多くの登山者は即効性のある糖分を大量に摂取します。

即効性のある糖質と、遅効性の炭水化物を計画的に摂取する

炭水化物を計画的に摂取する

どちらも糖質ですが、角砂糖や飴は即効性のあるものなので、エネルギーへの転換率が多いです。登山者は常に甘いものを携帯して摂取し続けます。

炭水化物は分解された末に糖分に変わるため、米ならば狙った時間帯の2時間前には摂取しておきます。これを怠るとシャリバテ(ハンガーノック)を起こしてやはり動けなくなります。

糖質の摂取だけでは登山の高負荷に身体がついていかなくなるため、栄養補給は綿密な計画性が求められます。

登山では体内の脂肪を使ってはいけない

出来る限り食事と携行食のみで行動に必要なカロリーを捻出します。体内の栄養素を使うのは最終手段です。

食べる元気があるならひたすら食べ、背負える荷物に余裕があるなら水と食料を入れるは基本です。登山はいかに体重を落とさないかが大事です。自分の体力と行動日数に合わせた食料を適切を選ぶには経験が必要です。1泊登山でも2食分程度は余分に持っていくべきです。

消費されるのは脂肪だけではない。筋肉も減る

有酸素運動は筋肉を消費する

「登山でダイエット」で響いてしまったダイエッター初心者の方は知らないことかもしれません。過度な有酸素運動は筋肉も消費します。カタボリックと言います。

グリコーゲン>脂肪>筋肉という順番ではありますが、脂肪と筋肉は同時に消費されると考えた方がリスク管理としてベターです。なのでボディビルダーは基本的に有酸素運動はしません。

つまり登山でダイエットをしようとすると体重は落ちるけれども筋肉量が減り、むしろ体脂肪率が増える危険性があります。多くの人は脂肪を減らすことばかりを気にして筋肉量の維持には興味がないからです。

筋肉量はタンパク質と糖質を取らないと絶対に増えません。ダイエット中はどれだけ高負荷なウェイトトレーニングをしても現状維持できません。ダイエット(食事制限)しながら過度な有酸素運動(登山)を行い、筋トレをしない。考えつく限りベストな筋肉量減少のメソッドです。

行動中は危険を回避するために行動食を食べる意識はあるかもしれません。しかしダイエット目的で登山したあと、街や家でドカ食いはするでしょうか。下山後はタンパク質と、それを筋肉に変える作用がある炭水化物(糖分)を大量に摂取しないと筋肉の疲労は回復せず、筋肉量も減っていきます。

数値として体脂肪の量は減りますが、筋肉が減ると体脂肪率はあがります。減量に成功したけれど身体は筋肉がなく脂肪だらけという隠れ肥満の誕生です。

どれだけ食べても、それでも結果として体重が落ちる

1日8時間を超える山行や2泊縦走をすると、食べられる限界まで食べても結果として栄養素が足りなくなり体重が落ちます。体内の水分・脂肪・筋肉を大量に消費した結果です。つまりカロリーを使いすぎるアクティビティということです。

脂肪だけ燃えてくれるのならば万々歳なのですが、筋肉が過度に消耗しているため大量に栄養補給して回復することは必須です。

登山でダイエットの危険性

栄養素が枯渇すると

  1. 身体が動かなくなる
  2. 糖がなくなり脳が働かなくなり遭難する(事故をおこす)
  3. 筋肉を著しく消費する

遭難事故でもっとも多いパターンは疲労と集中力の低下からの遭難です。元気な状態ではまず事故は起こしません。エネルギーを使い切ると道標は見えて確認したつもりでも1分後には全て忘れています。

それだけ身体を限界まで追い込まれるのが前提のアクティビティです。だから登山届があり、岐阜県の北アルプスでは未提出者は罰金を支払うほどの条例ができました。

登山を楽しんでいる人はそもそも登山で体重を落とそうなんて危険な発想をしません。むしろ山に行くために「膝に負担がかかるから減量しよう」そういう考え方をします。

北アルプス縦走レベルの山行経験がある人ならば経験として栄養枯渇と疲労の危うさが分かると思います。逆に「たかが有酸素運動。ダイエットで大げさすぎる」のように登山と有酸素運動の区別がつかない知識の人ほど遭難するとパニックを起こし事態を悪化させます。

4時間歩いて山頂まで行き怪我をしてしまったら、そこから4時間かけて山を下らないといけないことを忘れないでください。故障したら競技を中止できる一般のスポーツとは違います。

登山で事故を起こす人はどのような人か

登山で事故を起こす人は高齢者が多い。統計データだけみるとそう出ています。登山者の大半は高齢者なのだから当たり前ですね。

自分は若いから違う、体力があるから大丈夫と思っている人、これが一番危ないです。

山岳関係者の知り合いと意見交換しますが、なぜか全員一致する考えが「山の事故は単純に確率の問題」と捉えていることです。どんなプロでも事故を避けるはできない。だから備えて行動をします。小さなトラブルを起こしてもリカバリーでき遭難事故にはつながりません。

バランスの良い有酸素運動と筋トレの方が楽に・安全にダイエットできる

登山前、登山中、下山後は全力で食べて結果として体重を落ちればラッキーという考え方ならおすすめです。ぜひ登山を楽しんでください。

私は3泊縦走で大体5kg程度体重が落ちます。殆どが水分なので下山後1週間で4kg戻ることが多いです。この程度の山行での脂肪燃焼+カタボリックで1kg減量です。個人差はあると思いますが体重はさほど落ちないと思います。

週一回の登山よりも毎日の晩御飯の白米をカットした方が明らかに早く体重が落ちます。RIZAPも炭水化物カットと筋トレの組み合わせで一気に体重を落とすメソッドです。リバンドさせない自己管理が出来ならば効率のいいダイエット方法です。

去年から前例にないほど登山事故は増加していおり、あまりに自身の命を軽んじている方が多すぎます。出典の怪しい間違った知識を鵜呑みにせず、書籍などでダブルチェックを行い、正しい知識と慎重な行動で楽しい登山をしてほしいと願っています。

その間違った知識の筆頭が登山でダイエットです。

登山中の食事は遭難に直結する問題です。安全に登山をするための準備はこちら。

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