冬のアウトドアを楽しむことを目的で車を購入する人は、まさに今の時期にディーラーや中古車販売店で品定めをしている時期かと思います。
豪雪地帯に住み雪山の奥深くまで車で行く私の経験から、冬山登山やバックカントリースキーでも問題なく雪道を走行できる車の選び方と運転の仕方のコツをまとめてみます。言うまでもなくゆっくりとした速度で運転することが前提です。
必ず4WDの車を選ぶこと
豪雪地帯の山道を車で走るという時点でFR(後輪駆動)の車は避けましょう。FF(前輪駆動)は豪雪地帯の運転に慣れている人ならば対応できますが、冬は毎日のように雪道を運転する経験が必要です。
東京や名古屋などの都会に住んでいて冬のアクティビティを楽しむための車選びをするのであれば4WDで考えてください。単独事故ならまだしも人を巻き込む可能性が高くなります。
複数ある4WDの駆動系式から選ぶ
フルタイム4WD
常に4輪駆動してるため雪道や凍結している道路での走行で安定したトラクションを与えることができます。スバルの4WD(AWD)は基本的にこの駆動系式を採用しています。常に安定した走行ができるかわりに燃費が少し悪いです。
私の乗っているインプレッサスポーツのADWモデルはアクティブトルクスプリットAWDというシステムを採用しており、通常は前輪:60 後輪:40の割合で4輪駆動しており、スリップなどの状況に合わせて配分が変わるシステムです。
理論的には一番雪道で滑りにくく、スタックしにくい仕様です。
パートタイム4WD
基本的には前輪駆動で走行し、前輪の空転やスリップを感知すると4WDに切り替わるタイプです。日産やマツダの4WDで多く採用されています。タイヤが滑ることは多いですが、すぐに後輪が動きトラクションを与えてくれますので雪道を低速走行している分には問題ありません。
軽油を使うディーゼルエンジンは注意が必要
アウトドアに最適でディーゼルエンジンというと代表格がマツダのCX-5ですが軽油を使っている点のみ注意が必要です。マイナス20度近くの駐車場に1日程度置いておくと軽油がシャーベット状に凍りエンジンがかからなくなることがあります。
軽油にはいくつかの規格があり都会のガソリンスタンドのものと寒冷地のものとは違います。
季節 | 夏用 | 冬用 | |||
---|---|---|---|---|---|
項目 | 特1号 | 1号 | 2号 | 3号 | 特3号 |
流動点 | 5℃ | -2.5℃ | -7.5℃ | -20℃ | -30℃ |
目詰り点 | – | -1℃ | -5℃ | -12℃ | -19℃ |
都会で給油した軽油でそのまま極寒地に向かい駐車するとエンジンがかからなくなる危険があります。単独で冬山に挑む人は下山後に車のエンジンがかからないと命に関わってくることもあります。
現地についたら寒冷地用の軽油を入れる一手間が必要になります。このリスクを完全に排除したいならばガソリン車になります。
任意の自動車保険とJAFに入る
山道で事故を起こした時、スタック等でJAFを呼ぶと麓の工場までの移送距離が長くなり追加料金を取られることがあります。
任意の自動車保険とJAFの組み合わせで移送距離や燃料補充の容量が増えるプランは各保険会社が行っています。
任意保険に入っているのでJAFに加入しないという人も多いと思いますが、冬の山道走行をするのであれば両方に加入しておくと万が一のとき安心です。
雪道は避けられない事故がある!自動車保険の対物賠償は内容はケチらない
冬の山道での運転が生活の一部なっている人は経験があると思います。冬の山道ではどれだけ運転が上手くても、危険予測しても避けられない事故があります。
雪が降っている中、ゆるい坂道を車で下っている時に車の上にある木の枝から大量の雪が落ちてくる。視界は一気になくなりワイパーも雪の重みで動かない。後続車がいることはわかっていたため急ブレーキもかけられない。
このようなことが実際に起こりました。ブレーキを踏んでもそのまま直進しても事故の可能性大です。雪が落ちて車に前方には何もないことがわかっていましたので最悪の場合単独事故になると覚悟して前に進んだ結果、なんとか事故を起こさずにすみました。
条件が悪ければ前の車に衝突するか、ブレーキを掛けて後ろの車に追突されるかしていました。状況的に私がほぼ10:0の割合で加害者になってしまいます。
このように冬の山道では避けられない事故がありますので、保険の内容は充実させることをおすすめします。
スタッドレスタイヤはシーズン間際は売り切れることが多い
冬に入る前に駆け込み需要があるせいで、スタッドレスタイヤの人気モデルは売り切れることがあります。特に初めてスタッドレスタイヤを買う人はホイールセットの人が多いので、納期待ちになります。冬に車で山に行くことが決まっているなら早めにスタッドレスタイヤを用意しておかないと好みのブランドやシリーズが購入できない可能性があります。
都会在住の人はスタッドレスタイヤ預かりサービスを利用しよう
私みたいな山の中に住んでいると、どこの賃貸でも駐車場2つと物置がついてきますので、夏用タイヤの管理は簡単ですが都会在住の方は難しいでしょう。
そんな時はタイヤの交換サービスを利用しましょう。私はインプレッサスポーツのAWDに乗っているため都内在住のときはスバルのディーラーにタイヤを預けていました。夏になったらディーラーに車を持っていけばスタッドレスを預かってもらい、夏用タイヤに交換してもらう使い方です。
雪山・冬の山道での運転
冬は通勤がてら上高地に向かう登山者を見つけたらピックアップして釜トンネルに送るか、釜トンネルのバス停にいる登山者を沢渡まで送り届けるのを日課としています。
何種類かの4WDを乗りました。交通量がそれなりにある道ならば、どの型式であれ4WDとスタッドレスタイヤの組み合わせならば問題ないと考えています。どんな車で運転していても事故を起こす人はいますし、状況によってはスタックを防げないことも多いです。
どちらかというと運転技術のコツを押さえるほうが重要です。
フロントバンパーの傷は諦めて受け入れる
雪道の、しかも山道の走行となると車の傷は回避できません。落石が多いからです。崖から落ちてきた岩に雪が積もり目視することができません。
普通に走行しているといきなり衝突してバンパーが凹むということは普通に置きます。車高の高いクルマであれば直接バンパーに傷がつくことは防げますが、岩に乗り上げてしまうとどこかしらにダメージを負います。
高速で運転するほどダメージは大きくなりますので、雪道は低速で運転することが基本です。
雪道の道路は中央線よりを走る
雪道に慣れていない人で走行ルールを遵守する人ほどやりがちな運転です。教習所でセンターラインに寄らないように指導を受けることがありますが雪道でやると危険です。山道の両脇には側溝があるからです。
雪が降っていると側溝は見えないことから、普通に走行できると勘違いして側溝に落ちてしまう事故は頻発します。松本ー上高地の道路や、八ヶ岳のビーナスラインなどでは毎日側溝に車が落ちてJAFに引き上げてもらっています。
雪道を走行するときは両脇に側溝があることを念頭に置いてください。
ブレーキは極力踏まない
ブレーキを踏むと滑る、強く踏むとABSが作動する。この2つを理解しておかないと前の車に追突したりスリップ事故を起こしたりします。
特に低速だからと、前に停車している車のギリギリまで距離を詰めてから強めにブレーキを踏むと「カッカッカ」とABSが動作して前の車に追突します。
ちなみにABSはタイヤがロックするのを防ぐために段階的にブレーキをかけるもので、実質的に制動距離がもっとも短くします。ABSを切ったところで、もっと速い速度で追突してしまいます。
よって雪道の運転ではエンジンブレーキを多用することをおすすめします。直線の時にエンジンブレーキで十分速度を落としてからコーナーに入っていけばフットブレーキを使わずに安定して曲がることができます。
駐車場スペースの奥には行かない
山の中の広い駐車スペースでは奥の方に行かないようにしましょう。駐車することができても翌日に雪が積もりすぎて出られなくなることがあります。
同様に車のタイヤで踏み固められていない部分に車を入れると4つのタイヤ部分が凹み、車の底の部分が持ち上げられスタックします。こうなると4輪すべてが空転しますので駆動系式に関係なく救出不可能です。おとなしくJAFを呼ぶか、回りの車に助けてもらうしかありません。
シャベルと毛布は入れておく
スタックしても救出の見込みがある場合は必要箇所を掘り起こしてから下に摩擦を稼げる物を敷きます。それを足がかりに脱出するのでシャベルと毛布が必要です。
スタック脱出用の専用パネルもありますが、常に車に入れておくのは荷物になります。毛布ならば肌寒い時に使ったり車中泊にも応用できるので、普段使いのついでに万が一ならスタック用に使う気持ちで持っておきましょう。
けん引き用のワイヤーを常備する
助けてもらう、助けてあげる、の両方に使えます。運良く車が通りかかってもワイヤーを持っていなかたらスタックから車を救い出すことは困難です。冬のアウトドアを楽しむのでしたら、お互いのためにも1つ常備しておくといいでしょう。
冬山に来るなら4WDの車で安全運転でお願いします
冬は毎日山道を運転する私からのアドバイスでした。
私は独身かつ単独で山に入るので大きい車が必要ないことからADWのスバルインプレッサスポーツを使用してます。車中泊も楽々できるのが大きなポイントです。登山をするならハッチバックが方が使いやすいと思います。
お気に入りの1台を見つけて夏山と雰囲気が全く違う冬山にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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