i1Display Proで色々なモニタをキャリブレーションしてフォトレタッチ環境を作る

i1 DISPLAY PROを使ったキャリブレーション

一眼レフで写真撮影をするのが好きな人でしたらLightroomなどを利用したレタッチ作業で撮影データを作品として仕上げていると思います。慣れてきたら段々と自分の作品はしっかりとした色で表現したいと思うようになります。

そこで着手したいのがモニターの色の管理です。使用しているモニターの色がそもそも合っているのか?モニタごとに見え方の違う写真のどれが正しい色なのかという不安を解決することができます。

i1Display Pro

今回使用したのがXriteの i1 DISPLAY PRO。カラーマネジメントの定番商品です。今まで使用していたキャリブレーターが古くなっていたので新調しました。

i1Display Proの同梱物

i1Display Proの中身

中身はキャリブレーターとソフトウェア同梱のCDとマニュアルだけ。キャリブレーターのコードの途中についてる長方形のボックスはただの重りです。

i1Display Proのレンズ

蓋を外すとレンズが露出します。ここを液晶モニタに当てて色の計測をしたり環境光を測定したりします。絶対に手で触れにようにしてください。

モニタのキャリブレーションでできることを理解しておく

カラーマネジメント

色を表現するデバイスにはそれぞれプロファイル(ICCプロファイル)を持っており、これを使用して色を表示しています。プリンターやモニターは購入時はそれが設定されていないか、メーカーによる設定がされている状態です。モニタで表示されている色をプリンターで出力したら色が違うのはこのためです。

この違うICCプロファイルたちの色味を合わせていくのがカラーマネジメントシステム(CMS)です。これらすべてのデバイスの色を管理しようとすると膨大な作業時間と機材が必要になり、また高額になるため個人で行うのは無理があります。

ですので、色の管理を行うのであれば画像(写真)とモニタの色のマッチング、頑張ってプリンタまでのマッチングが無難です。

I1 display 26

まずは自分が扱っている画像がしっかりとした色で見えるようにするのがモニターのキャリブレーション。カラーマネジメントの最初の一歩です。

他人との共有・ネットショップなどの画像ではキャリブレーションはあまり意味がない

レタッチした作品をWEBのみで公開するのであればあまりキャリブレーションの意味はありません。見る側がどのようなディスプレイを使用しているかわからないからです。

そういった意味では廉価帯の色領域の狭いsRGBで作業をしたほうが多くの人に伝えたい色を表現できる可能性があります。そういう性質もあるので、WEB使用で使用するカラーマネジメントは自分に向けてのものになります。

【ハードウェアキャリブレーション】BenQ SW2700PTをキャリブレーションする

ハード・ウェアキャリブレーション

BenQ SW2700PTはハードウェアキャリブレーションに対応しているモニターです。色再現や機能性を考えるとコストパフォーマンスがよく使い勝手のいいモニタです。ソフトウェアキャリブレーションとの違いは、プロファイルの作成だけではく輝度やホワイトバランスといったモニターの設定を直接変更できることです。

Element Palette Masterをインストールする

Element Palette Master

まずSW2700PT用キャリブレーション専用アプリケーションであるElement Palette Masterをダウンロードしてからインストールします。

SW2700Tとi1 DISPLAY PROをUSBで接続する

SW2700PTとi1 Display Proの接続

モニターとキャリブレーターをUSBで接続します。注意点はPCとSW2700PTをUSBで接続しておくこと。これをし忘れるとElement Palette Master起動時にエラーが発生して次の画面にすすめなくなります。ケーブルはSW2700PTに同梱されていますので、忘れない場所に保管しておきましょう。

プロファイルの作成

アプリケーションの指示に従いキャリブレーションを行っていきます。まずはプロファイルの作成を選択。

ディスプレイの設定

ディスプレイの設定を行います。フォトレタッチをする場合は既定で写真家を選択します。

白色点はD50かD65のどちらかが一般的です。大きく分けるとするとWEBならD65、DTPならD50を使用することが多いです。これは色の測定を行う照明に基づくもので標準イルミナントと呼ばれている規格です。色彩検定やカラーコーディネーター検定でもよく出てくる単語です。

D50は色温度5000K(ケルビン)、D65は色温度6500の照明の元で正確な色として見えるということです。一般家庭の蛍光灯であれば6500Kが使いやすいかと思います。

RGPプライマリはAdobe RGBを使用。99%のカバー率を広色領域を持つSW2700PTなのでsRGBはもったいないです。

輝度はモニタの明るさのことです。Element Palette Masterのデフォルトの設定が160でしたので、ここは専用アプリの推奨設定を採用しました。

ガンマ値はWindowsの標準である2.2。Macでの使用ならば1.8が適正です。

キャリブレーションのプリセット

キャリブレションのプリセットで【校正1】と表示されています。これがキャリブレーションしたモニターのハードウェア面での設定になります。キャリブレーションが終了するとカラーモードsRGB / AdobeRGB / モノクロに【校正1】が追加されます。

ICCプロファイル名はデフォルトではモニタの設定に準じた名前になります。分かりやすいのでこのままでもよいのではないでしょうか。

プロファイルバージョンはv2とv4があります。どちらを選んでも問題ありませんがv4はWindowsのソフトでは対応してなく色が崩れる可能性がありますので、フォトビューワーなどで写真を見る人はv2にしておいたほうが無難です。

Adobe製品、ブラウザでの確認や業務として写真を使う人であればv4で良いかと思います。

i1Display Proを使ってモニターをキャリブレートする

キャリブレーション開始

i1Display Proをアプリケーションの指示に従いモニターに取り付けます。SW2700PTの遮光フード上部には専用と思われる開閉パネルがありますので、ここにケーブルを通すと作業がはかどります。

キャリブレーションの完了

キャリブレーションのレポート

5〜10分ほどでキャリブレーションが終了し、結果が表示されます。輝度(ルミナンス)と色温度も狙い通りの物が取れています。キャリブレーションを有効にするをクリックすると測定したICCプロファイルが適応され、モニタ側も専用の設定に変更されます。

カラープロファイル適用の確認

コントロールパネルからディスプレイの設定を確認するとカラープロファイルにi1 DISPLAY PROで作成したICCプロファイルが適用されていることがわかります。

ハードウェアキャリブレーション

ハードウェアキャリブレーション対応のモニタだとモード設定の項目に専用の設定画追加されています。こちらを選択するだけでキャリブレーションした輝度やコントラスト、色領域を一括で切り替えることができます。

これでSW2700PTのハードウェアキャリブレーションの設定が完了です。心置きなく写真レタッチ作業に取り組むことができるようになります。

次はi1 DISPLAY PRO付属のアプリケーションを使用したソフトウェアキャリブレーションを行います。多くの人はこちらを使用する音になります。

【ソフトウェアキャリブレーション】MacBook Proをキャリブレーションする

ソフトウェアキャリブレーション

ノートパソコンはほぼ全てがソフトウェアキャリブレーションになります。ここではMacBook Proを使用します。手順はWindowsのデスクトップでも同じです。

i1 PROFILERのインストール

まずは付属のCDからアプリケーションをインストール。MacBookなどDVDドライブのないパソコンは以下のURLからダウンロードしてください。サポートのタブの中にi1 PROFILERのダウンロード項目があります。

i1 ProFiler

USBでi1 DISPLAY PROを接続してアプリケーションを立ち上げるとライセンス認証が自動で行われ使用できる機能に緑のチェックボタンがつきます。i1 DISPLAY PROでできるのはモニターとプロジェクターのキャリブレーションであることがわかります。スキャナーやプリンターとの色のマッチングをするためにはi1Photo Pro 2などの機材をバージョンアップする必要があります。

プロファイルの作成

まずはディスプレイのプロファイル作成をクリックします。私はユーザーモードを詳細に変更してから行っています。

測定値

輝度はi1 Profilerのデフォルト設定は120。このあたりはパネルによって明るさは違いますので好みに合わせていいかと思いますが、私は120-160くらいが無難かと思っています。ちなみにMacBook Pro2017 15インチのパネル輝度は最大で400を超えます。

ガンマ値はWindosなら2.2、Mac標準に1.8に変更したほうが使いやすいかと思います。

I1 display 19

プロファイルもハードウェアキャリブレーションのときと同じく汎用性を持たせて色々なアプリケーションで色を統一したいならv2、Adobeなどの写真編集用のアプリが主ならv4。

測定の開始

ハードウェアの設定で自動ディスプレイコントロールをチェックすると自動でコントラストやブライトネスが調整されます。対応しているモニタでしたらこちらをチェックすれば楽に調整することができます。

ブライトネスの調整

設定した輝度に合わせてモニタの明るさを調整します。明るさを変更すれば現在の数値が表示されますので近い数値になるまで調整します。

プロファイルの作成

キャリブレーションが終わるとICCプロファイルが作成されます。こちらを保存すると自動的にカラープロファイルがモニタに適応されます。

color sync

MacのColor Syncを立ち上げてモニタに適用されているプロファイルをみるとi1 Profireで作成したICCプロファイルになっていることが確認できます。

これで一般的なモニタやノートパソコンのキャリブレーションは完了です。

iPadなどのタブレットをキャリブレーションする

タブレットのキャリブレーション

i1 DISPLAY PROの面白いところはタブレットもキャリブレーションして正確な色に直すことができるようになること。最近まで知らなかったのですが専用のアプリケーションがリリースされていました。

Color TRUEのインストール

Color TRUE

AppleStore / Google PlayからキャリブレーションアプリのColor TRUEをダウンロードします。

タブレットのキャリブレーション設定

I1 ProfilerがインストールされているPCとタブレットが同じ無線LANでネットワークに接続されていることを確認します。一般家庭でしたら両方共ネットに繋げているだけで大丈夫です。

あとはPCのUSBにi1 DISPLAY PROを接続して、キャリブレーターを使用するだけです。

iPadのキャリブレーション

あとは指示に従って進めていくだけで簡単にキャリブレーションすることができます。

キャリブレーション前後の画像を確認できる

Color TRUEにはビフォーアフターが確認できるビューワー機能がありどのくらい色やコントラストが変化したのか確認することができます。

なぜカラーマネジメントを行うのか

実際のフォトワークスではレタッチ→印刷→納品まですべてを監修できない限りどこで色が崩れるかわかりません。よってモニタの色さえ合わせればプリントまで色が合うとは考えづらいです。

しかしキャリブレーションされたモニタを使用すれば、少なくともモニタでレタッチした色は信用性が高いので、プリンタとのカラーマッチングが成功すれば、印刷物が見当違いな色になる可能性は低いです。

プリンタの設定を微調整するなどの力技で間違ってはいない色にすることができます。

WEBショップではよく「モニタによっては商品の色味が異なる場合がございます」とよく明記してあるように、制作現場ではキャリブレーションしたモニタのsRGBを使用することである意味免罪符的に使用することもあります。

まずはレタッチ環境を整えるためにモニタのキャリブレーション。人に見せたりすることが多くなってきたら自宅のインクジェットプリンターのキャリブレーションというように段階を経てカラーマネジメントをしてくことになります。

その第一歩としてモニタの色をしっかりと合わせることは写真活動を行う上で大事なことだと思います。

i1 DISPLAY PROは並行輸入品もあります。保証に関しては微妙ですがマニュアルやアプリケーションは日本語対応しておりますので、少しでも安く買いたい人はそちらを購入しても機能面は同じです。

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i1 DISPLAY PROを使ったキャリブレーション

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