その登山靴に装着できる?初めての12本爪アイゼンの選び方と装着方法

12本爪アイゼンの選び方

雪山にはアイゼンが必要です。

奥多摩などの低山であれば平地のトラクションを稼ぐ軽アイゼンで対応できますが、八ヶ岳や北アルプスになると10本爪・12本爪アイゼンが必須となります。

基本的に軽アイゼンはすべての登山靴で装着できるように作られていますが、10本爪以上のアイゼンになるとアルパインブーツを使用することが前提となっています。

対応してないブーツに無理やり装着すると滑落事故につながりますので、必ずブーツとアイゼンをセットで考えてください。 一例として私が使用している組み合わせを使ってご紹介します。

なぜ冬山で10本12歩爪アイゼンが必要なのか

前の爪があり急登に対応できる

前の爪があることで急登でもしっかりと噛み付いてくれることです。

登りでの歩行が安定するので本格的に雪山登山をしようとするなら前爪がついているアイゼンが必須になります。 軽アイゼンで難しい山に来ると単純に滑落リスクが高くなるのに加え、前爪がないと登山道へののリカバリーができなくなりそのまま遭難する危険性があります。

雪山はアルパインブーツ+12本アイゼンが基本で考える

アルパインブーツとアイゼンはセットで考える

北アルプス・八ヶ岳レベルであれば12本アイゼンが必須です。

奥多摩などの低山なら軽アイゼンでも問題ありませんが、大は小を兼ねる意味で12本爪アイゼンをしようしてもまったく問題ありません。 12本爪アイゼンを選ぶとき注意点がいくつかあります。それがブーツとのマッチングです。

12本爪アイゼンの種類と装着できるブーツの組み合わせ

前コバと後コバ

アイゼンを着用するためのコバが付いているかで、使用できるアイゼンが変わります。

つま先とヒールに使用してるブーツのつま先と踵にに出っ張りがあるかを確認してください。

ここでは分かりやすくブラックダイアモンドのセラックシリーズ例に出してみます。

アイゼン 前コバ 後コバ フィッティング
ワンタッチ 必要 必要
セミワンタッチ 不要 必要
ストラップ式 不要 不要

ワンタッチアイゼン:セラックプロ

Black Diamond セラックプロ

私が普段使用しているアイゼンです。

前コバを金具できっちり固定しますので、このタイプのアイゼンが一番フィット感がよくガタつきがありません。後ろの固定具でフィッティングの調整をすることができます。 しかし着用できるのが前コバ・後ろコバがついている冬山用のアルパインブーツのみです。

2017年の冬から冬季登山用のブーツでLOWAのバイスホルンGTを採用しました。 https://yamasha.net/lowa-weisshorngt

セミワンタッチアイゼン:セラッククリップ

こちらは前コバがなくても着用できるタイプです。本格的なアルパインブーツではなく、夏山とちょっとした冬山を兼用できるようなブーツに使用します。

私が使っているブーツではMAMMUTのMagic GTXです。

もちろんアルパインブーツにも着用することができますので、汎用性という面でみるとこちらが一番使いやすいです。

ブーツの前部をすでに出来上がっているポケットに差し込む形になるのでフィット感はセラックプロのようなワンタッチアイゼンに劣ります。

ストラップ式アイゼン:セラックストラップ

登山で使用するブーツの殆どで着用することができるタイプ。

前コバも後コバもない軽量な夏山用のブーツでも着用することができます。私の使っているブーツでいうならMAMMUT Teton GTX。

とても冬山で使えるブーツではありませんが、大岳山や御前山程度の標高なら対応できます。 ブーツの前後ともポケットに差し込んでベルトで締め上がるので3つのタイプのウチ一番ガタツキが多いアイゼンです。

12本爪アイゼンのセッティング

どのタイプのアイゼンでも似たようなものなので一度覚えておけばほぼすべてのアイゼンに対応することができます。

ここでもブラックダイアモンドのセラックプロを使用してご説明します。

実際には冬山のフィールドで手ぶくろを付けての装着になりますので購入したら家で何度も装着の練習をすると現地でスムーズにアイゼンを付けることができます。

ブーツの底とアイゼンのプレートの位置を合わせる

アイゼンとブーツの長さを合わせる

この作業は山の中では行いません。

冬山に持ち込む際は事前に家でセッティングしておきます。 後ろ側のプレートを外すことができる構造になっています。

まずはブーツの全面をアイゼン装着してから後のプレートの最適な位置を探します。 基本的にはブレードに対して垂直に荷重かかかるようにセッティングします。

そうすることでガタツキが少なく雪に食い込みやすい形になります。

プレートを繋ぐ板に数個の穴がありますので適切な位置で固定させます。これは他メーカーのアイゼンでもよくある仕組みです。

ワンタッチ式固定具の高さを調整する

ヒール部で簡単にアイゼンを固定できる

ワンタッチ・セミワンタッチ式アイゼン共に後ろコバに特殊な固定具がついています。

これによりアイゼンとブーツの固定をスムーズに行えるようになります。 きっちりと固定するためにはブーツごとに違う後ろコバの高さをあわせる必要があります。

まずは前コバを固定してから後ろコバにある固定具のツマミを回しててフィット感がよい位置まで上げ下げします。

アルパインブーツの場合はかなり丈夫で作られていますので少しきつめにセッティングしても問題ありません。

雪山についてからアイゼンを装着する手順

アイゼンの装着方法

アイゼンを地面に置いてブーツの前コバに固定用金具に、後ろコバを固定具で固定します。

その後にベルトを通して歩行時にアイゼンが外れないようにブーツとアイゼンを固定します。その後に前コバにあるホールの下からベルトを通しブーツの反対側に持っていきます。

2つのホールに通してベルトを締め上げる

アイゼンのベルトの締め方

一般的なストラップと同じ固定の仕方です。

まずは2つのホール両方にベルトを通してから手前に折り返し、前の方にあるホールのみに通して締め上げればギュっと固定されます。

ブラックダイアモンドのアイゼンの場合は簡単にアイゼンを外せる

Black Diamondのアイゼン

少し気の利いた機能があり、ブラックダイアモンドのアイゼンには固定するホールにタグのようなものがついています。

これを踵側に引っ張ると一気に締め付けを緩めることができますので、アイゼンを楽に外すことができます。

ベルトの末端処理

ベルトの末端処理

これで基本的なアイゼンの固定に問題はありませんが、もう少し強固に固定しプラプラと長すぎる末端のベルトを処理することができます。

折り返したベルトを前コバのホールに上から通す

ベルトを上から通す

ベルトを画像の様に通します。

2本のベルトの一番下を通して締める

ベルトを下から通して締める

アイゼンがより固定される

こうすることでガッツリとアイゼンとブーツを固定することができます。

これでも残ってしまうベルトはカットしてしまうのが良いかと思います。

余ったベルトは切るか後ろに流す

私みたいな貧乏性の人はベルトの流れに従ってかかとの方面に流してあげれば歩行中に邪魔になることはありません。

ブラックダイアモンドセラックシリーズのちょっと便利なところ

特徴としてはステンレス製のブレーをを使用していることです。

クロモリに比べて強度は劣りますがサビに強いのでメンテンナンスに気を使いたくない場合に向いています。そして軽い。

ブレードに返しがついていて食いつきがいい

ブレードに返しがついている

硬い斜面であってもガツンと踏み込むとコレが刺さりグリップ力を生んでくれます。

ちょっとしたクライミングが入るときは別のアイゼンという選択肢が出てきますが、一般的な冬山登山の縦走ではとても快適なアイゼンだと思います。

持ち運びはクランポンケースを使用

アイゼンは金属の固まりで、しかも鋭利なブレードがついています。

ダウンジャケットを引っ掻いてしまったり、カメラ機材にダメージを与えることがありますのでクランポンケースに入れて携行することをおすすめします。

私は撮影機材に万が一がないように、ケースを外付けしています。

雪山を楽しみたい人は基本は10本爪よりも12本爪を使用したほうが良い

10本爪は軽量化重視でちょっとした冬山用という印象を持っています。

グリップ力でいうと間違いなく12本爪の方が優れているため、ちょっとした重量の差で妥協していいのかは山によって判断しなければなりません。

その判断ができるのは相応の経験を積んでアイゼンに合わせた山と季節を選べる人だと思います。

そういった意味で10本爪か12本爪で迷ったら12本爪を買うことをオススメしています。 私の仕事場の北アルプスだと冬の西穂独標・常念岳・燕岳レベルになると12本爪が安全面で必要になります。

12本爪アイゼンを用意して冬山登山へ

冬山は夏山とは別の楽しみがあります。

私は人が少なく澄みきった空気感や気温が好きなのでメインはむしろ冬山になっています。

魅力的な反面危険は夏山の比ではありませんので初めての冬山はツアーやガイド登山に参加するか、経験者に同行してもらうことをおすすめします。

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