Studio9の主宰でありプロカメラマンである中原さんが作ったカメラバッグシリーズ「エンデュランス」。Amazonでのカメラバッグ売上1位を獲得するなど多くの写真愛好家に使用されているモデルです。
プロカメラマンが自分の好きなものを作ったバッグなので機能性が高く多く方から高評価をつけられています。そんな中出てきたエンデュランスHG。シリーズの中でも最大容量になります。
そこで気になってしまうのがネイチャーフォトでも使えるのかというもの。
リュックタイプのカメラバックを使ったことがなかったこともあり一体どんなものなのか以前から興味がありました。そんなこともありエンデュランスHGをタウンユース、ネイチャーフィールドでガッツリと使い込んでみました。
Endurance HGの外観
下にボディやレンズを収納し、上に小物などを収納する一般的な2気室スタイルです。上部がロール式になっているので荷物が少ないときはクルクルと巻いてベルトを閉めればキレイなパッキングになるため日常シーンでも使いやすい工夫を感じました。
トップのファスナーは左右に隙間ができるので、最低でも1回は折り返しておくと浸水の心配がなくなります。とはいえ防水性能はないので雨天時の使用には付属しているレインカバーを使用します。
目一杯荷物を詰め込むとこのようなシルエットになります。見た目以上に荷物を詰め込むことができるので撮影機材収納スペースを全部使い切っても2泊程度の旅行ならば余裕がありそうです。
仕切りが沢山はいっているので好きなようにカスタマイズできます。これだけ入っているとなんだかお得感があります。エンデュランスの生地自体がそこそこ厚いこともありクッション性に不安をは感じません。ドスンと地面に置いても大丈夫そうです。
さすがはエンデュランスの最大容量モデル。撮影機材がたくさんはいります。
収納機材
- Nikon D4S
- Nikon 14-24mm F2.8
- Nikon 24-70mm F2.8 VR
- Nikon 70-200mm F2.8 FL VR
- FUJIFILM X-H1
- FUJIFILM 16-55 F2.8
現在運用してるメイン機材はすべて収納することができます。持ち運びでこれだけ入れば困ることはありません。サブ機が必要なければそこにスピードライトなんかも収納できますのでちょっとしたロケでも使えそうです。
Nikonのレンズは長いので縦に入れると少しはみ出しますが、バッグの蓋を上から被せてジッパーで閉じれば問題なく収納できます。Nikonユーザーには嬉しい仕様です。
ザック上部の中
中に細かい仕切りがあり、小さいものなどを収納しておくとバッグの中で迷子になることがありません。日常生活や旅行でも使いやすいレイアウトです。
ノートパソコン収納スペース
ザックの背面に独立したノートPCの専用スペースがあります。しかも内側の仕切りはMacBook Pro 15インチにジャストフィットする設計。電車の中でPC作業をするときにさっと取り出すことができるので出張の多い私としては大助かり、これがあるだけでカメラバッグ兼仕事用バッグとして購入する価値はあったと感じています。
小物が入るポケットがたくさんついている
エンデュランスHGにはたくさんのポケットがついているので運用スタイルに合わせて色々な使い方ができます。例えばフロント下部のポケットには地図を入れたりなど。
サイドのポケットにはそこそこ容量が入るスペースがあります。
ザック中央のポケットにはレインカバーが入っています。
レインカバー収納ポケットの上には小物を小分けして入れることができるポケットが入っています。日常シーンではモバイルバッテリーやケーブルを収納しておくとすぐり取り出せ便利です。撮影ではフィルター、レリーズケーブル、レンズクロスなどを収納しています。
ショルダーハーネスの付け根部分にも小物収納スペースが。登山用のザックだとヘッドライトを入れる人が多いですね。このようにポケットが沢山ついているのでアウトドアでの使用に俄然期待が高まります。
バッグ背面のポイント
重たい荷物を背負うことを前提にしているためか、集めのクッションパットを使用しており、背中の汗が抜けるような工夫も見て取れます。
チェストストラップがあるため歩行中にカメラザックがふらつくことがありません。登山の用のザックを背負っている人でも時々チェストストラップをつけてない人がいますが、身体への負荷を軽減する役割がありますので特に超重量を背負う人は使用することをおすすめします。
取り付け可能な三脚
エンデュランスHGはサイドに三脚を装着するポケットがついています。ベストサイズなのが雲台から脚の先までの長さが60cm程度に収まるもの。上の画像に装着している三脚はK&FのKF-TC2534です。
持っている三脚の中で一番重くて長いGITZOのシステマチック三脚5型であるGT5543LS+センターポールGS5313GSの組み合わせだとさすがに重すぎてエンデュランスHGがゆがみます。背面にフレームが入っていないザックなので重たい三脚の装着は不向きです。

フラッグシップボディの一眼レフと70-200mm F2.8の組み合わせに耐えられる三脚の中でエンデュランスHGに装着でき、かつアウトドア向きなものはベルボンのジオカルマーニュ645あたりです。
Endurance HGをアウトドアフィールドに持ち出す
登山用のカメラザックではないので無理はできないことを前提でどのくらいのフィールドなら快適に運用することができるのかを試しにいきました。テストは霧ヶ峰(車山)のナイトハイクと朝焼け・早朝の撮影。そのときに使用した装備はこちら
カメラバッグ | Endurance HG |
---|---|
ボディ | Nikon D4S |
FUJIFILM X-H1 | |
バッテリーグリップ | FUJIFILM VPB-XH1 |
レンズ | Nikon 14-24mm F2.8 |
Nikon 70-200mm F2.8 FL | |
FUJIFILM XF16-55mm F2.8 | |
フィルター | Kenko zx C-PL 82mm |
Kenko zx ND16 82mm | |
77mm→82mmステップアップリング | |
三脚 | K&F KF-TC2534 |
無線レリーズ | Nikon WR-10 |
水準器 | HAKUBA 2ウェイレベラー KPA-02 |
ブロワー | |
レンズペン | ハクバ レンズペン3 |
交換バッテリー | ― |
モバイルバッテリー | Anker PowerCore 13000 |
救急セット | 絆創膏 |
ポイズンリムーバー | |
エマージェンシーシート | |
テーピング | |
コンパス | SUUNTO A-10 |
日焼け止め | ― |
地図 | 山と高原地図 八ヶ岳 |
ライト | Anker Bolder LC40 |
ウェア | finetrack ドラウトゼファージップネック |
finetrack フロウラップフーディ | |
パンツ | finetrack クロノコンバートパンツ |
下着 | finetrack スキンメッシュボクサー |
雨具 | finetrack ピコバリアフーディ |
finetrack エバーブレスフォトンパンツ | |
防寒具 | finetrack ポリゴン4フーディ |
手袋 | finetrack メリノスピングローブ |
靴下 | finetrack メッシュソックス5本指 |
finetrack メリのスピンソックスアルパインレギュラー | |
時計 | SUUNTO SPARTAN ULTRA |
GPS | GARMIN GPSMAP62SCJ |
チョークバッグ | MAMMUT Multipitch Chalk Bag |
ドリンクボトル | NALGENE Multidrink ウォーターボトル |
ドリンクホルダー | MAMMUT Add-on bottle holder |
チェストライト | GOMOTION Fusion |
登山靴 | LOWA TAHOE PRO GT WXL |
重量は11kg程度。超ウルトラライトパッキング。7月といえでも霧ヶ峰の標高2000m付近の夜は10度近くまで冷え込み風も出るので体感気温5℃くらいになることは珍しくありませんので防寒具はしっかりと準備。
カモシカスポーツカモシカ店で投げ売りされていたライト。ヘッドライトとは違い胸部に装着することで顔の向きを変えても一定方向を照らすことができるので、緩めのナイトハイク向きです。エンデュランスHGのショルダーハーネスにはループがたくさんついてるため装着ポジションの自由度は高めです。
エンデュランスHGを背負って緩めの登山道を登っていきます。
ザックを下ろしてから三脚の取り出し、組み立てがスムーズに行えるので積極的に夜景を撮影しようと思えるフットワークがあります。
カメラバッグをおろして下部の機材収納部を開いておくことで機材の交換が簡単に行えます。この当たりはさすが専用設計、登山用のザックとは比較にならないほど使いやすく、危険性がないアウトドアフィールドでは積極的に使っていきたいと思いました。
登山用ザックに比べて荷物が入らないので当然軽量。あちこち動き回って撮影できるためスナップよりのネイチャーフォトには持ってこいな感じです。
普段はコットンキャリアのストラップショットにX-H1、ザックに直付けでD4Sの2台体を装着しているのですが機材を取り出しやすいというメリットを活かして基本はX-H1とXF16-55mm F2.8 R LM WRのみで歩き回り、ポイントポイントごとでD4Sと14-24mm F2.8、70-200mm F2.8を取り出して撮影する方法にしました。
撮影ポイントを見つけるために行動するにはこちらの方が動きやすいため、色々なシチュエーションを撮影することができました。撮影準備も迅速にできるためタイムロスも少ないです。


カメラバッグとはこんなに使いやすかったのか…
ノートPC収納部分の有効活用
エンデュランスHGに搭載されているノートPC収納スペースはアウトドアでも有効活用することができます。レジャーシートを収納したりもいいかもしれません。
実験的に行ってみたのがウォーターパックとハイドレーションの収納。結果としては運用自体は問題ないけれど1L以上水をいれると背負心地が悪くなるというものでした。ライトなトレッキングなら問題ありません。2Lのウォーターパックに1L入れて膨らみがなくなるように水を抜いて収納すると背負心地がほぼ変わりません。
エンデュランスHGの改善してほしいところ
価格からすると十分すぎる機能性があり完成度の高いモデルです。これはこれで完成形だと思いますが価格をもっと高くしてもいいので改善してほしい点が少しだけありました。
ネイチャーフォトグラファー視点で「こうするともっと使いやすくなるよ」という点はこちら。完全に登山者目線なのでこんな要望するのがおかしいぞというお話です。
ベルトの滑りが良くない
登山用のザックに比べるとチェストストラップ、ヒップベルト共にベルトの滑りが良くなく、背負ってから最適なポジションを作るまでに時間がかかり若干のストレス。登山用のザックを使用している人だと、おや?っと思うことがあるかもしれません。
ヒップベルトも内側から外側に引っ張り締め上げる形式よりも、外側から内側に引っ張ることで締める形式の方が締めやすいかなと思います。
チェストストラップの位置の自由度が低い
ショルダーベルトのループの1つに縫い付けられているので上下10cmの可動域です。よって自分の好みの場所にポジションを取ることができません。バッグの作りからして最適なポジションにきやすくはなっていますが、エンデュランスHGを使用する人はピークデザインやコットンキャリアのサイドホルダーを使用する人も多いと思いますので、ここは自由度があってもよかったかと思います。
ザックを身体に引きつけるベルトが欲しい
カメラバッグの特性上、最下部に機材を入れるため重量バランスが崩れます。その状態でカメラバッグの上部目一杯まで荷物を入れると上がダラーンと後ろに倒れることがあるので、その際に手前に引っ張れるベルトがあるとさらに安定しそう。
そこで必要となるのがショルダーハーネスの上下ベルト。これがあるだけで行動力はぐんと上がります。
ヒップベルトのサポート部分の大きさアップ
もうワンサイズアップして腰骨を包み込めるくらいの大きさと程よい厚さああればベルトを締めたときに腰に重量を乗せやすくなりそうです。
現在のスペックでも価格を考えると十分すぎる作り込みですが、それほど価格を上げずに実現できるカスタマイズはこのあたりになるかなと思いました。
山に登る人の視点なので本来の目的である日常シーンでの仕様とはまったく関係ないことを繰り返しお伝えします。
トレッキングレベルでも十分な性能、日常シーンの使いやすさは秀逸
ネイチャーフォトに関しては霧ヶ峰・美ヶ原・尾瀬・上高地といったトレッキング・散策というレベルのものに関しては十分なカメラザックです。ただ重量分散するためのベルトやフレームなどがないため標高差のある登山で使うのはやめておいたほうがいいかなという感想です。
カメラを持ち歩くことが前提であれば、出張や旅行はエンデュランスHG一択と言えるほど完成度が高いです。特に私は頻繁にノートPCの取り出しと作業をしますので専用の収納スペースがあることでかなり助けてもらっています。
撮影シーンのほとんどで満足のいく容量と作り込みでした。
アクティブに撮影するカメラマンにはおすすめできるカメラバッグ Endurance HGでした。
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