私がプロの立場として撮影するときはNikonのフラッグシップ機を使っています。今だとNicon D4Sです。そのうちD5かD5Sに切り替わると思います。ずっとフラッグシップを使ってきた立場とネイチャーフォトの観点からフラッグシップを使う理由をまとめてみます。
デジタル一眼の使用経歴
- Canon 10D
- Canon 5D / Nikon D200
- Nikon D3 / D300
- Nikon D3S / Canon 5D MK3
- Nikon D4S
CanonもNikonも両方使ってきました。現在はネイチャーはNikon、据え置きスタジオはCanonといった使い方が多いです。
フラッグシップ機は壊れない
これが最大の理由です。フラッグシップ機は壊れないんです。
ボディの剛性もさることながら、シャッター機構もフラッグシップだけは別の構造で耐久性の良い物を使用しています。
壊れないことの安心感。プロで撮影の仕事をしてるといい写真を撮る前にリスクを考えなければならなくなりますので、この安心感は多額を投資する価値があります。特にネイチャーフォトはカメラが故障すると入山料・登山料や交通費などが消し飛ぶので数百万円の損失を出すことも考えられます。
そういった意味で、まずは壊れないボディを用意するのが何よりも重視されます。ボディは消耗品という考え方をしていますのでデリケートに扱うこともないし、岩にこすりつけたりもするのでマグネシウムボディであってもわりとボコボコになります。
耐久性だけでみると私の経験と使用方法ではCanonよりもNikonの方が優れています。Nikon D3に切り替えたきっかけがCanon 5Dを山に2回持って行って2回とも壊れたからです。マイナス20度程度の稜線でミラー周りにトラブルが起こりました。それからは山岳写真にはNikonを使用しています。
NikonのD3 / D3S / D4Sではそういったトラブルは今のところ起こっていません。
低画素数であることのメリットが大きい
NikonもCanonもフラッグシップ機は高画素のセンサーを積んでいません。Nikon D4Sも1623万画素です。開発コンセプトが「プロがプロとして使うため」として全方位に対応しているという理由です。
ネイチャーフォトの観点でいうと、撮影の失敗が減らすことができます。
画素数が高いほど、画質は劣化する
一般的なフルサイズと呼ばれる撮像素子を積んだデジタル一眼レフはどんな画素数であっても基本性能は変わりません。高画素になるほどCMOSなどの撮像素子を「細かく分割するだけ」です。
ピザを6つに分けても8つに分けてもピザ自体の大きさは変わらないのと同じです。
この撮像素子を細かく分割するメリットは細かく描写できるようになること、デメリットはISO感度を上げると画質が劣化しやすくなることと、性能の良いレンズが必要になることです。
質の悪いレンズを使うと細かく分割された画素ピッチと呼ばれる1pxの面積が狭く中にきちんと描写しきれないので、全体的にもやっとした画像になります。低画素数のものはこのピッチの面積が大きいので、正確な描写ができるようになります。
このカリッときちんと撮影できてる状態を「解像感」があると言ったりします。画素数が高いものほど解像感のある写真を撮るのが難しくなります。
これもピザで例えると、ピザを20分割にしたらのせられない具が出てきます。もやっとした原因です。どんなに分割したピザでも正確に切り分けてのせるのがレンズの役割です。つまり高画素のカメラほど良いレンズを使う必要があり、低画素数のカメラほど、適当なレンズでも大丈夫です。
ダイナミックレンジが広い
画質のもう一つの基準として白から黒までを何段階で表示できるか、というようなダイナミックレンジがあります。これが広ければ広いほど色の再現率が高くなります。メーカーの撮像素子やエンジンに多少左右されますが、基本構造として画素数が少なく撮像素子が広い画素ピッチに余裕があるものほどダイナミックレンジは広くなります。
特にネイチャーフォトは夕焼けや朝焼けなどは白から黒への明暗の差が大きくダイナミックレンジの広さが必要なシチュエーションがたくさんあります。
低画素数は打率と打点狙い、高画素数はホームラン狙い
条件が整っていればフルサイズの高画素数のカメラの方がフラッグシップ機よりもキレイな写真が撮れます。…が条件が悪い時は使える写真を撮ることが難しくなります。
それに対してフラッグシップ機は画素数が抑えられているので条件が悪いときでもそれなりの写真を撮ることができます。レンズの性能によって写真がもやっとすることも少ないので選択の幅も多いです。写真が取れませんでした…という可能性を減らすことができます。
撮影の失敗リスクから考えるとこの分野に関してはフラッグシップ機以外の選択肢はありません。
大口径のレンズとのバランスがよくボタンが豊富
フラッグシップ機は他のモデルに比べてかなり大きく重たいので、F2.8通しのいわゆる大三元とよばれるレンズや望遠のレンズとの重量バランスが手持ちでもとれることです。
これを他のモデルで再現しようとするとバッテリーパックという別のアクセサリーを購入する必要があります。個人的には小さいボディのカメラならばそれを活かして軽量なレンズを装着してフットワーウと撮影機会を多くした方がいいのでは…と思っています。
またフラッグシップは最初からバッテリーパックに相当する部分がついているので、そこにボタンとモニタが配置されています。ここでISO感度などの設定を変えることができるので、より素早く撮影大勢に入ることができます。
スタジオで撮影するならフルサイズならどれでもいい
画質を求めるなら中判カメラや大判を使うとよいでしょう。フルサイズということであればどのメーカーのどのボディでも問題ないと思います。理由は光源が安定しているからです。
写真の質という観点でいうと、レンズに入る光の角度や種類、質といった複合要素できまります。これが複雑だとキッチリと解像できるレンズと受け止めるピッチの広い撮像素子、つまりはプロ用のフラッグシップモデルになります。
対してスタジオは自分で光源をつくりだして質も一定。フラッグシップよりもハイアマチュア向けの高画素数のボディの方が高画質の写真が撮れます。私はCanonの5Dmk3を使うことが多いです。
プロがフラッグシップを使う理由
このようなことを考慮した結果、現在はNikon D4Sをメイン機においています。
よく話題にでるCanonの方がニコンより~が優れているというようなことは一切ありません。使い方と相性の問題です。どのメーカーも一長一短がありカメラマンは用途にあわせて使い分けます。
プロがフラッグシップを使う理由
- 壊れない
- 基本的な画質がいい
- 失敗リスクが少ない
ベストよりもベターを選択する必要があるカメラマンには必要不可欠なボディです。1200万画素くらいのフルサイズのボディが新しく開発されたら需要はものすごくあると思います。
個人的にはフルサイズの撮像素子だと2000万画素がプロとして使うには限界という感覚です。
ちなみにプロカメラマンがフラッグシップレンズを使うのにも勿論理由があります。

エントリーモデルが高画素数・低画質の理由
高画素数のエントリーモデルの一眼レフにキットレンズのような安いレンズを使うと低画質になってしまいます。APS-C機の高画素数のものほど本来はフラッグシップレベルのレンズが必要です。明らかな矛盾が発生しています。
なぜ出ないのか?それは低画素数のエントリーモデルの一眼を出してもユーザーの知識が追いつかずに売れないからです。高画素など高画質という考え方をしています。
それに異を唱えて低画素のカメラをだした企業もいましたが失敗に終わりました。
正しいものを作っても市場に合わないとやっぱり売れないものですね。初心者ほど高画素数で、プロほど低画素数というのはよくよく考えると面白いです。
プロになってから考えた機材の選び方
一眼レフを始めたばかりの初心者の方はボディとレンズの組み合わせが無数にあるためどのように購入していけばいいのか迷います。正解はなく好きなもものを買うのが一番ですが、プロカメラマンになってから自分の購入履歴を省みて「こう買っておけばよかった」と思うことはあります。

カメラにハマるとお金がたまった段階で「次はボディとレンズどちらを買おうか」と悩みました。ボディとレンズを天秤にかけると判断がものすごく難しくなるので、考え方の1つとしてボディとレンズのどちらを買うと撮影が楽しくなるのかもまとめています。

最終的には壊れない、高画質であるフラッグシップボディ、画質が仕事で使えるギリギリ水準を維持してズームの利便性がある低倍率ズームレンズ(大三元レンズ)に着地しました。
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