実践で覚える一眼レフのISO感度の設定方法と考え方

一眼レフで大事な設定ISO感度

初めて一眼レフを買って家に帰って開封し、試しに部屋を撮影してみる。そういった経験は誰にでもあると思います。その時手ブレを起こしませんでしたか?

一眼レフを初めて買って思うことの1つに「シャッタースピードは思ったほど出ない」というものがあります。入門用の一眼レフに付いているレンズで設定オートで撮ると1/8秒くらいでしょうか。カッシャン!とゆっくとしたシャッタースピードです。

写真はシャッタースピードとF値の組み合わせですべてが決まります。

そしてこの2つをコントロールする設定がISO感度です。シャッタースピードと絞り(F値)を覚えてからの方が理解が深まります。

デジタル一眼レフ初心者の方には聞き覚えのない単語・機能ですが、このISO感度を上手く扱えると撮影設定の幅が一気に広がります。今まで撮れなかった写真がいとも簡単に撮れるようになるので必ず覚えましょう。

ISO感度とは

ISO(いそ / アイエスオー )感度とよびます。どちらでも問題ありません。

デジタル一眼レフカメラはCMOSやCCDといった撮像素子に当たった光を電気信号に変えて記録し、写真にします。

ISO感度の数値を上げると電気信号の感度を上げることができるので、同じシャッタースピード・絞りでも明るさを変えることができます。

具体的なケーススタディ型式でISO感度の使い方をご紹介します。

手ブレする原因はシャッタースピード

高速シャッターで手ブレをなくす
初めて一眼レフを使う初心者の方は、まずはカメラに設定を任せるオート(A)かプログラムオート(P)を使用するかと思います。カメラにもよりますが、この設定だと暗い場所ではシャッタースピードが遅くなり手ブレ・被写体ブレを起こします。

カメラのPモードなどの自動設定
1)暗い→絞り(F値)を最小値まで小さくする
2)それでも暗い場合はシャッタースピードを遅くする

このようなロジックで動きます。カメラのオート設定で手ブレをしてしまうということはこれ以上F値を小さくできないよ!ということです。

ISO感度増感によるシャッタースピードの向上

これ以上F値が下げられない、変えたくないという状況のとき、ISO感度の数値を上げるとシャッタースピードが上げることができます。

ISO感度増感により絞りを変えずにシャッタースピードを変える

シャッタースピード(SS)1/30、F8 ISO1600だと確実に手ブレを起こしますが、ISO感度を12800まで増感してあげるとシャッタースピード1/250 F8 ISO12800となり、作品作りを決める絞りを固定しつつもシャッタースピードを上げることができます。

ISO感度増感で絞り(F値)を高く設定できる

F値による被写界深度の変化
「被写界深度を深くしたいけれど、これ以上F値を上げると手ブレを起こすシャッタースピードになってしまう。」

このようなケースもISO感度の出番です。例えば絞りを4段あげたい場合、ISO感度も4段増感すればシャッタースピードは変更せずに撮影できます。

ISO感度を増感することで、シャッタースピードを変えずにF値を変える

例えばSS 1/60 F5.6 ISO800で被写界深度が浅くピントを外してしまう、またはピント範囲内に被写体が収まらないことが考えられます。

SS1/60 F11 ISO3200のようにシャッタースピードは変えず、被写界深度を深くするためにISO感度の増感を行いF値を上げる使い方も頻繁に行われます。

ISO感度の計算

ISO感度の最高画質はメーカーにより異なりますが100か200を基準にしています。ISO感度の「1段」はシャッタースピードと同じく2倍の計算になります。50・100・200・400・800・1600・3200・6400〜のような計算になります。

ISO感度の増感は画質を劣化させる

ISO感度が高いほどシャッタースピードを上げることも、F値をコントロールできます。撮影環境として理想的な条件です。問題はISO感度を上げるほど画質が劣化する点です。

ISO感度は上げるほどノイズが発生し画質が劣化する

これが多くのフォトグラファーを悩ませている問題。画質に変化がなければISO感度はスローシャッターを使わない限り高ければ高いほどいいのですが、ISO感度の増感は著しい画質の劣化を起こします。

ISO感度をあげることによりノイズが発生しはじめ、数値を上げ過ぎるとディテールが潰れのっぺりとした塗り絵のような写真になっていきまます。

ISO感度はどこまで増感してもいいのか?という自分なりのルールが必要になります。

例えばスクープを狙うカメラマンは画質にこだわる必要はありませんからISO51200以上でストロボを使わずに夜にターゲットをこっそりと撮ります。

対して芸術的なアプローチをするネイチャーフォトなどはISO感度は極力低くして最高画質を追求する必要があります。

ISO感度増感の考え方

ISO感度の増感は最終手段として考えるべきです。必要なシャッタースピードやF値が確保できないときのみに増感するのが基本的な使い方です。

結婚式などの暗い環境や明るさが変化する場ではISO感度は高く

結婚式や室内ではISO感度を高めに設定する
しかしイベントや結婚式など、明所と暗所が目まぐるしく切り替わり人も動くような状況では、ISO感度を最初から1600以上に設定して、どのような撮影条件になってもシャッタースピードで手ブレをする可能性を消しておくというのも正解の1つです。

ISO感度減感の考え方

ISO感度は下げることもできます。
増感とは逆でシャッタースピードを落としたい時か、絞りを開けて被写界深度を浅くしたいときに行います。

メーカー推奨のISO感度よりも減感すると増感とは違い、コントラストが落ちたり、ダイナミックレンジ(色の表現幅)が狭くなる形で劣化します。

スローシャッターのためISO感度を減感することもある

ISO感度を減感して使うときに多いのがスローシャッターです。川や滝などで水の流れを表現したいとき、F22あたりの絞りの限界値までF値を上げてもシャッタースピードが高すぎる場合、ISO感度を100以下に減感します。

そういった時のために、カメラに入る光をおさえるNDフィルターというものがあります。ネイチャーフォトでISO感度を減感することが多い人は1枚持っておくと重宝しますよ。

高感度耐性をカメラ選びの基準にする人もいる

ISO感度を増感しても画質が劣化しにくいことを高感度耐性といったりします。

ISO感度を増感しても画質が劣化しないとしたら、撮影チャンスも広がることは間違いありません。このような意味合いで高感度耐性に優れることを重要視することもあります。

分かりやすい例がフルサイズのデジタル一眼レフです。

APS-C機に比べて段違いに高感度耐性が高いので、APS−C機からフルサイズ機に乗り換える理由の1つに高感度耐性を上げる人はかなりいます。むしろほぼすべての人が少なからず思っているのではないでしょうか。

私がNikonのフラッグシップ機のD4sを使っているのも高感度耐性が1つの理由です。基本的には撮像素子が大きく、画素数が少ないほど高感度耐性が高くなります。メーカーの高感度耐性をウリにしているモデルはすべて2000万画素以下です。



まとめ

ISO感度の使い方

  1. シャッタースピードが足りないときはISO感度を増感
  2. F値が低すぎるときはISO感度を増感
  3. できる限り低いISO感度を使う
  4. スローシャッターを使う場合はISO感度を減感

F値に関してはレンズのもつ最小F値ではなく、被写界深度を考慮した上での自分の許容範囲の最小F値です。

デジタル一眼レフはシャッタースピード・絞り(F値)・ISO感度の3つの組み合わせで露出がきまります。すべてが2の倍数で計算できるので、自分の撮りたい絞りにした時、ISO感度をいくつ増感ればいいのかを感覚で変更できるようになるまで練習しましょう。

シャッタースピード・F値・ISO感度の3を自在に操れることができれば晴れて初心者は卒業といえると思います。自分の思う通りの写真が撮れ始めると撮影のモチベーションがあがります。

ここまでくるまでが大変ですがぜひ頑張ってみてください。きっと世界が広がります。

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一眼レフで大事な設定ISO感度

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