早いものでフォトグラファーとして仕事をして10年が経ちました。一眼レフを持っている人の前に立ちはだかる「次はどのレンズを買おうか」という悩み。
10代で一眼レフ初心者として業界に入り、現在プロとして仕事をしている経験を活かしてレンズを揃えていく最適な順番を考えました。
キットレンズ2本か18-200mm
最初はキットレンズ2本か、18-200mmの万能レンズがおすすめです。
一眼レフは初心者用にキットレンズというボディと一緒に初心者用のレンズがついているパッケージがあります。ズームレンズキット、ダブルズームレンズキットという名前がよくついています。
大体は18-55mmの1本か、 55-250mm(Canon) / 55-200mm(Nikon)を含めた2本のレンズです。画角のフォローはCanonの方が望遠に優れていますが200mm-250mmの差は気にするほどでもないので、ここを購入の決め手にする必要はありません。ボディの操作感や好きなメーカーのものを重視したほうがよいでしょう。
18-200mm万能レンズと言われていてレンズ交換なしにほぼすべてのシチュエーションに対応できます。キットレンズを2本組み合わせた画角になります。一眼レフの醍醐味であるレンズ交換はできませんが、18-200mmという11倍ズームはいい意味でコンパクトデジカメと同じように使うことができます。
初めての一眼でレンズでズームをして撮る、様々な画角の経験値を貯める意味で非常に有効です。もう一つのいいところは、キットレンズに比べてレンズの質感や性能が1つ上ということです。初心者用のレンズではなく、初心者の次の人のためのレンズということです。
これはキットレンズを持ったみたあとに18-200mmを触ってみればすぐに分かります。
35mm F2/50mm F1.8
ズームレンズで写真の楽しさがわかってきたら次に欲しくなるのが単焦点の明るいレンズ。
単焦点レンズの購入動機
- F2以下で背景をぼかすことができる
- F2以下で高速でシャッターを切れる愉悦を楽しみたい
- ズームレンズにない高画質を手に入れたい
どれかに当てはまっていると思います。私がそうでした。その中で生まれる選択肢が以下。
単焦点レンズの選択肢
- 50mm F1.8
- 50mm F1.4
- 35mm F1.8 / F2
価格からもっとも手が出しやすく、F値の低いレンズです。
恐らくはこの3択かと思います。私個人としては35mm F1.8か35mm F2をオススメしています。理由はAPS-C機だと50mmは75mm同等の画角になり扱いづらいこと、被写体に寄れないことです。この時点でフルサイズ機への移行の可能性を考えているならフルサイズ対応の 35mm F2(Nikon)がよいでしょう。
35mmはAPS-C機では50mm換算になって写真の基本の「50mm」での画角の扱いの練習ができます。人物撮影の比重が大きいひとは50mmの方がかっちりする構図を取りやすいかと思います。
35mmと50mmの最短撮影距離(Nikon)
- 35mm = 最短撮影距離0.25m / 最大撮影倍率0.23倍
- 50mm = 最短撮影距離0.45m / 最大撮影倍率0.15倍
50mmのレンズの方が望遠になるため被写体をファインダーいっぱいに「大きく」撮れると思いますが、じつは逆で、25cmまで寄って撮れる35mmの方が大きく取れます。このどれくらい「大きく撮れるか」というのを最大撮影倍率といいます。
50mm F1.4 / F1.8の違いはそうありません。F1.4はそうそう使える絞りではありませんし、それはF1.8も同じです。価格差を考えるとF1.8の方がコストパフォーマンスは高いです。
60mm / 90mm マクロレンズ
広角でも望遠でも明るい単焦点でも撮れないもの。それが接写、マクロ撮影です。一通りの構図と画角を経験するとマクロ撮影がしたくなります。
コンパクトデジカメにから一眼レフに切り替えた人は一眼レフのレンズはびっくりするほど接写できないことがわかると思います。小物を撮影したり花のアップと撮ろうとするならばマクロレンズしか実際の選択肢はありません。
このあたりからボディをフルサイズに変える人も出てくると思います。
APS-Cなら60mm、フルサイズなら90-105mmが使いやすくオススメです。単焦点レンズなので中望遠領域のポートレートなどでも存分にキレッキレの画質を出してくれます。
標準ズームにマクロ撮影ができる機能のついた便利なレンズもありますが、既にキットレンズは18-200mmを持っている人にこのレンズはもったいないのでオススメはしません。
24-105mm F4 / 24-120mm F4
Canonならば24-105mm F4、ニコンならば24-120mm F4。ズームによってF値が変動しないプロも使う標準ズームレンズです。
24-70mm F2.8は標準ズームではありますが、単焦点が使えないけれど用途を絞り最高画質を目指す人用のものだと思っています。
使い勝手とバランス、価格を考えると 24-105 F4、24-120 F4のどちらかがオススメです。ニコンがこの領域のレンズを出すまでは 24-105を使いたいがためにブライダルの仕事ではCanonを持って行ったくらいです。
24-70mm F2.8はどのような人に必要なのか?
標準のズームレンズのフラッグシップ、最高峰である24-70mm F2.8。大三元と呼ばれるF2.8通しのズームレンズの1本です。そのブランドだけで購買意欲をそそられる人は数多くいらっしゃいます。しかし趣味の範囲で撮影するのであれば必要ないと考えています。
理由はフルサイズ機だと扱いづらいこと。撮影していて「この画角がいい感じ」と思うものが70mm〜120mmの間にあることは珍しくありません。24-70mmを使用すると70-200mm F2.8を装着せざるを得なくなるため、フットワークが重くなりシャッターチャンスを逃すことがあります。つまり用途がしっかりしていないと非常に扱いづらいレンズです。
また24-120 F4と24-70mm F2.8で10万円ほど価格が違うのでコストパフォーマンスが非常に悪いです。絞り一段分と画角を犠牲にする価値があるかと言われればNOです。このレンズは仕事として最高品質を求められるプロが買うものだと思います。
もちろんそのレベルに挑戦したい方なら迷わず買うべきです。レンズを購入してモチベーションの維持ができるならばそれに越したことはありません。
70-200mm F2.8
みんな大好き70-200mm F2.8。このレンズを買うと謎の達成感があります。「ついにここまで来たのか…」と。APS-Cでは決して扱いやすい画角ではありませんが、フルサイズでは大活躍します。特に70-100mmの間で。
200mm F2.8でうまく撮れると身震いするくらいすごい写真が撮れることがあります。これはコンパクトデジカメや標準ズームでは決して出せないものです。技術的に1つ上に上がるために望遠領域の浅いピントの扱い方を覚えるには最適です。
どこにピントを撮るのか、AF-SかAF-Cのどちらを使うかなど、ピントの位置に寄って変わる作風、ピントを外さないための設定や技術を追求する領域に突入します。あ、これレンズ沼ともいいます。
重量のある長いレンズを使用しても手ブレしないカメラの構え方、200mという中望遠で浅い被写界深度によるピントのシビアさなどカメラマンとして自力が出るレンズです。基礎を鍛え直すという意味でも買う価値のあるレンズだと思います。
https://yamasha.net/photo/photo-style
最後は好きなレンズ
ここまでくれば自分に必要なレンズはすべて分かってます。ネイチャーフォトなら14-24mm F2.8、ポートレートなら85mm F1.4といった感じですね。
レンズのレンタルサービスもあるので、超望遠などの使用感の予測がつかないものは一度借りて見るもの良いかもしれませんね。
もちろんレンズの揃え方に正解はありません。私が現在の経験値から自分にはこの揃え方が最適だったという後悔の暴露です。ボディとレンズのどちらを通うと迷っている場合、最適な答えを出すのはかなり複雑になります。考えられる限りのケースをまとめました。

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