地方どころか限界集落でWEBデザイナーとしても生活してる私が実際に使用しているスキルセットと運用方法をご紹介します。私の本業がフォトグラファーなのでWEBデザイン専門でやられている方のほうが仕事は受けやすいでしょう。
WEBデザイナーとしてスキルを上げて経験を積み上げていくと独立いう選択肢が出てきます。個人でお金を稼ぐことには向いている技術ですし、地方にはWEB技術よって立て直せる可能性が高い地域や会社もたくさんあります。
場所に囚われずにパフォーマンスを出せるのがWEBデザイナーの強みですし、仕事もチャンスもたくさんあります。洗練された都会のWEBデザイナーのスキルに+アルファがあると地方では非常に重宝されます。
地方で仕事したいWEBデザイナーほど汎用的なスキルが必要になる
都会で勉強してIターン・Uターンを考えているWEBデザイナーの方々は、まず自分のできる仕事の範囲を広げていくことをおすすめします。広く浅くが基本です。ここを押さえてから独自の強みを出していきます。
WEBデザイナーとしての基礎スキル
- WEBサイトデザイン(PSDでカンプを作れる)
- HTML5/CSSでコーティングできる
- javascriptのライブラリをカスタマイズできる(フリーのjQuery)
- HTML5/CSSでコーティングできる
- 業務でのスマホサイトの構築経験がある
- レスポンシブデザインができる(PC/タブレット/スマホの3つでよい)
- WordPressのテーマを作ることができる
まずこの程度のデザインスキルは必須です。WordPressに関しては複雑なものでなくて十分です。ブログレベルの日記が作れれば問題ありません。この2つのWordPressの参考書の内容程度で問題なくテーマを作れるようになります。カスタム投稿の扱いは参考になりました。
なおこのレベルに達していない、不安が残る人はまだ地方に行ったりUターン・Iターンしない方がよいでしょう。派遣でのWEBデザインでもよいので業務レベルのWEBスキルを学ぶことをおすすめします。地方にくらべて都会はうらやましいくらい成長環境が整っています。
大手の企業に入るとシステムエンジニアとの連携や、UI・UXの技術、CVRなどの数字の追い方や改善手法などが身につきます。CSSもSASS/SCSSでかけると自分でWEBサイトを作る時のコーティングが早くなりますし、コンフリクトエラーも防げます。地方では必須というスキルではありませんが、可能なら業界最先端の技術に触れておくことを推奨します。
スキルをつけるというよりも判断力がつき、地方独特のエゲツねぇ斜陽企業を見ぬくことができるようになります。
東京・名古屋あたりのデザインに強い派遣会社にいけば常駐デザイナー案件を持っているはずです。フリーの方ならレバテックフリーランスで、派遣の会社なら
イマジカデジタルケープ、Facebookと連動させて自分の市場価値を把握したいならSwitch.
あたりでとりあえず自分ができることに対しての市場の評価を知ることが出来ます。私も地方に行く前に何件か転職や派遣の紹介会社を周り、所持スキルに大抵どの程度の会社や給料を提案されるのかを確かめました。
フリーのデザイナーの求人やデザイン派遣で自分の市場価値を図ってみるのもアリです。
地方のWEB事業の特性をおさえる
地方でのWEBデザイナーの立場は都会に比べて評価が低いのが現状です。
WEB製作で何かが変わると思っているクライアントが少ないこともありますし、実際に成果を出せるWEBサイトを作れる会社も少ないからです。
このような背景から限界集落において都会と同レベルのWEB運用をしているHPは滅多にお目にかかれません。
これは製作会社のレベルが低いというわけではなく、地方の特性として「形のないものに金を出すことに抵抗がある」ものがあるからです。
多額のWEBサイト制作費を払っても実際に何をしてくれるのか、どう集客し売上が変わるのかなどのイメージが湧かないことが原因です。
フリー志望のデザイナーが地方のWEB製作会社には入社するメリットは少ない
地方のWEB製作会社への転職が目的で、しっかりと調べて入社するのであれば何も問題ありません。レベルの高い制作会社もたくさんあります。
あくまで地方でフリーランスでWEBデザイナー志望の方のお話になります。
必須スキルを持っているのでしたら、自分でクライアントを探せるレベルです。
それに満たないスキルセットだと地方でWEBデザイナーとして仕事をする場合、どこかの会社に属することになる可能性が高いです。それでもしっかりとWEBサイトを作れる人材ならどこでも重宝されると思います。
地方に来ることが目的で、場つなぎ的な意味合いで適当に入社できそうな会社を選ぶことは危険です。コネクションを得るためか、フリーでの技術に不安があるのでとりあえず会社に入るというアプローチです。
もしかしたらどこかの会社に入ってから独立を考えているのかもしれませんが、そのアプローチをした私の周りの人すべてが失敗に終わり、キャリアを数年捨てることになっています。
自身のスキルを活かせる場が少ない
地方でも大きい規模の会社で都会への研修参加も積極的なところではまずありえない話ですが、地元密着で小さいWEB製作会社で稀にある話です。例えばホームページリースを商売にしているような会社。
PSDでのカンプの段階ではデザイン性の高いものが多いです。ビラデザインとWEBデザインの区別ができていないとも読み取れますが、見た目はキレイなものが多いです。
逆にコーティグが低品質なものが多い傾向です。たとえばPSDを切って画像を貼るだけでHTML内のBODYにテキストが1つも入っていないということは当たり前のようにあります。
「CMS?なにそれ。ホームページはHTMLでつくってFFFTPでアップするものよ?」というディレクターにレベルを合わせる必要が、時にはあります。
先ほどの地方の特性に上げたように、制作費の高いWEBサイトは受注に結びつきにくいので、製作会社としては薄利多売形式でデザインをテンプレートにのせるだけという手法が多いのが理由です。安くホームページを作りたいという需要が多い市場にアジャストさせています。
スマホサイトの製作や運用に積極的ではないので、腕のあるWEBデザイナーはこの環境に飼い殺しされます。クライアントファーストのマインドをもつデザイナーは良心の呵責で心を病んでしまうことが多い現場です。加えてスキルもアウトプットのみでインプットは期待しないほうがよいでしょう。
「地方の会社ありき」でのWEBデザイナーを考えているならば迂闊に地方でWEBデザイナーを志すのは危険です。会社に属する場合はしっかりと見極める必要があります。
地方でフリーランスWEBデザイナーをするための推奨スキル
「WEBデザイン」という分野の中でも、グラフィックが得意な人もいればUI設計が得意な人、サイト全体のUXなどの上流工程に重きを置いている人もいます。
都会の細分化された開発環境の中ではそれぞれがエッジを持ち貴重な人材であるのは間違いありませんが、地方ではそれが受注のクロージングに結びつくことは稀です。
誰にでもわかる技術を前に押した方が需要もありますし、仕事も増えます。
地方フリーランス推奨スキル
- WEBディレクション
- SEO・アクセス解析
- DTPデザイン(Illustrator)
- 動画編集(Premier・AfterEffects)
- 写真撮影(一眼レフ+多灯ライティング)
このようなスキルがあるとかなり仕事がしやすくなりますので、地方移住を検討しているWEBデザイナーの方はアンテナを張っておくことをオススメします。
地方はクライアントの抱える問題がWEBデザインのみで解決できるケースが少ない
地元の人たちに向けて商売をしている会社は地方には多いのでビラ・チラシといった集客方法は効果的ですし、観光地であれば動画発信のコンテンツが強いです。外国人対応なども集客には欠かせません。
推奨スキルにDTPや映像が入っているのはこのためです。WEBデザイナーとしての活動なのでエッジが効いたコンテンツはWEBデザインであることは間違いありません。
WEBデザインと関連付けてられて、習得難易度の敷居が高くないスキルの習得が地方ではキモになります。
WEBディレクションスキル
WEBデザインはA社・DTPはB社…なんて分けるほど地方はデザイン会社が多くないですし、クライアントも少ない人数で会社を切りもりしているので、デザイン業務の発注の1本化のニーズは高いです。
クライアントの問題「集客をする・売上を上げる」という目的と真正面から向き合う必要がフリーランスにはあります。営業であり、プロデューサーであり、ディレクターであり、デザイナーです。
単純なWEBやDTP製作スキルだけでいうならクライアント側としては都会の大手制作会社にお願いするというのも1つの選択肢です。しかし製作会社が何度も地方まで来てくれて打ち合わせすることは現実的ではないので、基本はメール・電話・スカイプなどになります。
クライアントのして欲しいことを受注する形になりやすいので、解決するべき問題が見えなくなる可能性があります。
対してクライアントとの距離が「物理的に近い」フリーランスのWEBデザイナーはコミュニケーションの機会が多いことを武器にして問題点をすべて洗い出し、適切な施策を打つことができます。
クライアントが抱えている問題はWEBデザインで解決できるのかという判断を出せること、工数や納期、金額を適切に提示できるかです。WEB製作会社やデザイン部門でディレクター経験があるに越したことはないですが、複数の人材をマネジメントすることもなく、外注もしない。「すべてを自分でやる」ので、SOHOやフリーランスの納期や料金表などを参考にするとよいのではないでしょうか。
ディレクションのポイント
- 都会大手はメール・電話・スカイプのみの対応で現地打ち合わせは別途料金。クライアントの問題解決を掘り起こせる可能性は低い
- 地方フリーはクライアントと直に合いコミュニケーションが取れるため、問題が浮き彫りにすることができる
- 地方フリーはデザインではなく【問題解決】の提案をすることで競合よりも上にいける
SEO・アクセス解析
地方のWEB製作会社とクライアントの取り合いになったときに有利に働くことがあります。Google Analyticsで数値を分析し、ウェブテストでABテストをしながらコンバージョンを上げる施策を提案できるレベルで十分です。
可能であればKeyword Plannerで検索ボリュームを調べて検索上位に出るようなページとコンテンツ作成ができるとプレゼンに説得力が増します。
数値を改善するためのPDSCサイクルを回せる会社が少ないことから、この分野が強くなると非常に有利です。
SEOとアクセス解析の技術の習得のためにおすすめしたいのが自社ブログの設立。自分で施策した経験というのは説得力に深みを増します。
WEBデザイナーなら月間1万PVのブログを作ることは難しくないでしょう。狙ったキーワードでどれだけの流入を出せるか練習すると色々と勉強になります。
DTPデザイン
特にDTPデザインというものは地方では必ずついてまわります。なぜならクライアントはデザイン業務を一本化したいからです。その時に「私はWEB専門だからできません」という答えはクライアントとの信用にヒビを入れることになります。
デザイン発注の1本化ニーズが高いことから、多様なデザインに対応するのはフリーランスとしては押さえておきたい強みです。
最低限のIllustratorでのDTPデザイン技術。WEBデザイン専門だとベクターデータをPhotohsopに貼り付けるためだけにIllustratorを使用したりもしますが、A4両面・三つ折パンフレット程度のデザインと入稿を覚えておくことを推奨します。
ある程度軌道がのり収益が安定してきたらアウトソーシングできるDTPデザイナーと繋がりを作っておくと良いでしょう。
動画編集
HTML5に変わりネイティブで動画を埋め込めるようになったこともあり、動画を編集してYOUTUBEにアップしたい需要は上がってきています。特に地方の観光地。私もディレクターとして打ち合わせする際に「この魅力は動画じゃないとわからないな…」と判断することが多いです。
ビューカムで撮影した動画の切り貼りと、フェードイン・フェードアウト程度の処理ができると地方では武器になりますし、クライアントとの信頼関係の構築ができます。固定の動画でよければ一眼レフの動画モードでも対応可能です。
初めての動画編集は参考書などが少なかったりするため、ググったりYoutubeを見ながらになることが多くなります。私もそのように簡単な動画処理の知識を学びました。CUBELiCのブログは知りたかった動画編集の小技のTipsが多く役に立ちます。
写真撮影(一眼レフ+多灯ライティング)
写真が撮れないと地方でフリーランスでWEBデザイナーをやっていくことは厳しい。うん厳しい。
WEBサイト構築で写真を使わないことはほぼありませんし、ミニマルデザインの需要も以前とは比べ物にならないほど高くなっているので質のいい写真は必須です。これはコーポーレートサイトだけではなくブログでも言われていることですね。
フリー素材だけではすぐ限界がきますし、飲食店や宿泊業などでは写真がメインになりますから撮影は必須項目です。とはいえ撮影を外注するのもスタートアップしたばかりのWEBデザイナーには余裕がありませんから自分で写真を撮ることになります。プロではないということで金額設定を低めにしたり、WEBサイトデザインとパッケージにするとよいでしょう。
WEBデザイナーとフォトグラファーというのは実のところ基本的な相性がよくありません。
デザイナーはあくまで写真を素材として扱い、フォトグラファーは1枚の写真ですべてを完結させようとするからです。そういったことからWEBサイトやデザインに使用する写真と撮る撮影現場ではディレクターやデザイナーが同行します。
フリーランスの場合はその作業を1人で行う必要があります。自分の中にあるイメージを形にすればいいのでディレクションは不要ですが、純粋に写真を撮る技術を要求されます。
仕事でいきなりプロと同レベルの撮影技術というのは厳しいので、システムで回せる撮影システムのテンプレートを作りましょう。機材に頼れるところはすべて頼ってしまえばいいんです。プロのスタジオ撮影も設備ありきからスタートしますので、基本をしっかり押さえれば商用に耐える写真撮影が可能です。
100の仕事をプロカメラマンがするとすれば、60くらいのレベルの物があればWEB技術と組み合わせればバナーなどの成果物でカメラマンが撮った素材を使用したものを同等のレベルに持っていくことは不可能ではありません。
用意する撮影機材
- 安価な一眼レフカメラ
- 安価な望遠レンズ
- マクロ領域が撮影できる標準レンズ
- クリップオンストロボ
- 安価なモノブロックストロボ
- 三脚
この6つ。WEBデザイナーがフリーランスになった時に必要な撮影機材です。
安価な一眼レフ
カメラはどれでもいい良いです。ただストロボとの連携やクライアントに見せるということを考えると一眼レフになります。流石に商品撮影などでコンパクトデジカメやスマホというわけにはいきません。
コストパフォーマンスでいうなら初級のエントリーモデルで十分です。ダブルズームキットだとレンズが安く買えますが、キットレンズの標準レンズは使用しないので、ボディだけ購入するのもありかと思います。
安価な望遠レンズ
被写体にピントが合って背景がボケる写真を撮るために必要なレンズです。モデルを使った撮影や、素材に使うための写真を撮るときに使用します。最初は業務には必要ないかもしれませんが、必ず必要になるものですし一眼レフの練習にもなりますので、初期投資で買ってしまうことをおすすめします。
マクロ領域が撮影できる標準レンズ
画質を追求したら接写ができるマクロレンズと標準レンズを分けた方がよいですが、最初は資金的な問題もありますのでマクロ撮影ができる標準レンズを使用します。レンズ交換の必要がない分商品撮影が楽になります。
https://www.sigma-photo.co.jp/lens/standard/17_70_28_4_C013/
オススメはシグマのシグマの17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM | Contemporaryです。F2.8-4という明るいレンズでキットレンズよりも性能は良いので暗所でも活躍できます。
クリップオンのスピードライト
ロケで室内撮影をするときに使用します。最近のストロボは優秀なので、とりあえずヘッドを上に向けてTTLモードで撮影すればたいていはキレイにとれます。逆にストロボがないとカメラの設定をかなり複雑に設定する必要があるのでプロの領域ですし、それでもキレイに撮れることは限りません。
綺麗な写真を撮りたければまずはクリップオンのスピードライトを購入するところから始まります。

安価なモノブロックストロボ
料理や広い範囲の被写体、光の当て方でクリエイティブな写真を撮りたい場合に使用します。モノブロックストロボというのは発光部分のヘッドと、充電するジェネレーターが1つになっているタイプのストロボで家庭用コンセントで使用できます。
http://www.prokizai.com/shopdetail/000000000757/ct02/page1/recommend/
資金があるならコメット製の保証がしっかりしているモノブロックストロボがおすすめです。とりあえず商品撮影に必要でモノブロックストロボの経験がない人はどういう仕組みでどのように写真が撮れるのかを知るために安価なものでも大丈夫です。

三脚
エントリーモデルのボディ+オススメのレンズであるのでしたら安い三脚で十分です。価格だと5000円くらいです。ストロボを使用する場合は商品撮影する場合は必須ではありませんが、ストロボを使用しない室内などシャッタースピードが出ない環境では必要です。
安さと性能のコストパフォーマンスなら国産メーカーのVelbonかSlikがおすすめです。
本気で撮影をするなら30万ちょっとの予算を組む必要があります。撮影に慣れてきて収益も安定してきてからのステップアップとしておすすめします。

地方での仕事の営業の仕方
自分のスキルを細かに分ける必要があります。
「WEBサイトが作れます」というのはあまり効果的ではありません。クライアント側がWEBサイト運営という認識が都会と地方では違います。
- 都会=WEB運用
- 地方=WEBサイト構築のみ
WEBサイトで目的を達成したいということであるならば、WEBサイト構築してからの運用に主力が置かれます。PDSCを回してコンバージョンを上げていくことが基準です。
対して地方のWEBサイトはHTML納品。あとは必要に応じての保守運用という考え方が多い傾向にあります。
多くの施設で保守運用の費用がショートしてWEBサイトを放置する傾向が強いため、私はCMSでの構築を推奨しています。このことから自分のできること・提供したいサービスを明確化して説明する必要があります。
写真素材・文章素材などをもらいテンプレート乗せるだけならばトップページ+下層5ページで10万円という価格でも対応できますし、目標設定からディレクション・撮影・CMS構築ということになると100万を切るのは難しくなると思います。都会では割とこの辺りは常識として扱われますが、地方では細分化して全ての料金を明示することが必要です。
いきなり「WEBサイトつくりますよー」といった場合の先方の料金の感覚が10万〜20万くらいのことが多いので、「貴社の問題を解決するための提案」という形でサービスを細かく説明しましょう。
またFacebooやTwitterなどで情報発信や窓口の多様化を図りましょう。
地方のWEBデザイナーはトータルソリューションの提案力
まとめると、WEBとデザインに関するなんでも屋を地方は必要としています。俗にいうWEB屋さんよりも広い範囲のサポートです。
うちに限っていえば切実にWEB系人材を欲しております。お給料はまだ出せませんのでもう少し事業が大きくなるまでまってね…という状況でありますが。
料理は美味いし、空気は澄んでます。温泉だって源泉掛け流し露天がフツーです。そんな環境で仕事というもの良いのではないでしょうか。そういう地方の集落はたくさんあると思います。
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