地方の活性化事業が失敗するのは視点がすべて『過去』に向いているから

地方創生の失敗

私も山の中の集落の観光協会の一員。活性化事業を推進する立場です。といいますが取り仕切っています。

地方創生、活性化事業にアンテナを張って各所の成功事例・失敗事例を分析するのもお仕事です。ここでは失敗事業に目を向けると面白いです。成功事例は法則性を見つけるのは難しいですが、失敗事例は面白いほど共通点があります。その1つが地域のものの考え方の特徴である『全てが過去に向かう』です。

東洋経済の地方創生のリアルにはすごく共感できます。まっとうな感覚の人が地方の実態を見た時の生々しい感想だと思います。

私も数年前まで海外勤務、ここ3年くらいは東京でWEBディレクターやっていたので地方の異質感がすごいわかります。私の地域でも当てはまることなので気が気じゃないです。

ほぼすべての行事が『過去』からの慣習で行われている

過去の慣習を引きずり続ける

行事を潰せ、ということではありません。お祭りなど歴史のあるものを考えなしに潰すことは地方にとっても不利益に繋がります。問題は内容とお金です。

どの地域でもイベントを開く際は周辺に宿泊する観光客を呼びこむ取り組みをしますね。たとえば景品、プレゼント、食べ物の出店などです。ではそのイベントはマネタイズを考えているのか?答えはNOです。「去年はこの予算でコレをやった、今年もこれでいきましょう。」そのレベルで意思決定されます。PDSCサイクルを回していないので過去の失敗もそのまま引きずります。

突き詰めて行くと、何を目的で開催しているのかが分からない状態です。集客して地域を盛り上げたいなら広報に予算を使ってもイイはずなのにそういった予算組もしなければ、マネタイズを考えることもしない。ただお金を垂れ流してるだけという現状です。

それはなぜか?「今までそうだったから」です。今までも、そしてこれからも。イイようなキャッチフレーズですがやめてください。みんな死んでしまいます。

補助金が永遠に提供されるものと勘違いしている

補助金だよりの事業

地方の行事は市や県からの補助金で運営しているものが多いです。私の地域は住民170人ですが地域の一大イベントには市から数百万の補助金が出ます。

補助金がなければ開催できないイベントを、「今年ももらえるだろう」という憶測でずっと続けています。このままだとあと2-3年くらいでとんでもない事になりそうな予感はしています。お金の使い方を見てもやはり『過去』に目が向いています。お客様はバスが団体で連れてくるので集客する必要なし!広報・広告・WEBサイトを作るなら花火の一発でも打ち上げたほうがまし!という感覚です。

さらにお金の流れが不透明になりがちです。補助金を使った仕事を地元会社に依頼するのはいいのですが、見積もりや他社比較しっかりしないこともあります。事業の目的やゴールが設定されていないので、必要経費の計算が適当になります。

このように自分たちの金出ないということで事業を深く考えません。むしろ補助金が出ているうちにマネタイズロジックを組むべきでしょう。補助金がいつ打ち切られるわかりません。

補助金を得るために新規の行事を作ることもあります。いわゆる『補助金をもらえる行事を作る』というやつです。行政の審査が通りやすい要件で構成するので、当たり前ですが集客も活性化もできません。さらにそれに群がる自称コンサルティングを地域に呼びこむことになります。

色々な地方の失敗例を見ると、補助金ありきの活性化事業は『終わりの始まり』です。

WEBサイトを更新しない、そもそも運用する気がない

ホームページを運用しない

現在の市場に対応しきれてない如実な実例です。調べ物をする際には自分たちはインターネット使用するのに、検索される立場になると自分たちには影響がないと考えています。観光サイトで観光名所を見つければその名前でグーグル検索しますし、じゃらん・楽天などの宿泊施設で良さそうなものを見つけたら、とりあえず宿の公式ホームページを見にいきます。

その時に更新されていないホームページだったり、やる気のない作りのものでしたらそこで宿泊候補から落ちる可能性があります。純粋な機会損失です。

旅行などはインターネットの普及により宿泊予約から観光ルートまで自分たちで決めるのが主流となりつつあります。ツアーなどでバス団体を受け入れる昔から、個人でくるお客さんが増えていっているということです。つまりはホームページの重要性は上がりつつあるどころか、リスクヘッジのために運用するべきものになっています。

この市場の流れに対して『観光地にはみんなバスでくるんだ』という認識が拭えていません。

当たり前ですが売上は右肩下がりです。彼らの言い分は『もう一度バブルがくれば持ち直せる。大丈夫だ、問題ない。』です。これを本気で思っている節があるのが恐ろしいところです。バブルが来たところで集客を頑張っているところに全部持って行かれておこぼれしかもらえないのは分かりきっているのですが…。

さて閑散期の稼働率を上げるために団体客を受けいれるのは地方の観光・宿泊業にはまだまだ必要なツールで、実際有効です。しかし外国人を含む個人客をターゲットにした施策は必要不可欠というのも事実です。どれだけ早く個人客ターゲットに施策を打てるかで数年後の売上は大きく変わると思います。

ここでもやはり過去の栄光にすがり、見たくもない現実は見ない傾向があります。

外から人を受け入れ、未来に目を向ければポテンシャルを活かした活性ができる

私もその地域に可能性を感じて事業推進をしていますが、観光資源や地域性をみると日本の他の地域にはない優れたものがたくさんあります。競合すらいないのでそこの需要を取り込めば集客はそれほど難しくはないと思います。

そういった観光資源のハードウェア面は十分魅力的であるという地方は多いと思います。問題はソフトウェア面なのです。良くも悪くも地方から外に出た経験がない人達が多く何をしていいのか分からないというのが実情です。外から来た私としては仕掛けたいこと、やるべきことなんて数えきれないくらい見つかるのに、です。

この問題は内部の人間だけで解決することは不可能です。地域を見続けて2年実際に事業推進を初めてまだ1年弱ですが確信に至っています。どのように外部の人間を巻き込んだプロジェクトを作り出すかが地域活性の核心ではないかと思います。

ピンポイントに地方の旅館の再生をWEBディレクターの観点からもまとめてみました。

 

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