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写真撮影目的での登山が迷惑行為になり事故につながりやすい理由と事例

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登山で写真を撮ることでの迷惑行為

風景写真撮影が趣味の方が山に行くような流れになるのは自然なことだと思います。私も多くの人が山に登ってくれると嬉しい。

なので山で撮影する山岳写真は新しいアクティビティとして広まって欲しい気持ちはあります。

しかし山岳写真は登山の先にあるもの。登山経験が少ない人が撮影が目的で山に入ると無自覚ながら迷惑行為をしてしまい、ときには他者の命にかかわる事故に発展することがあります。迷惑行為としては最悪のレベルです。

登山での「迷惑行為」は他者を命の危険に晒すことがたくさんあります。

そのすべては登山経験と知識がないからと説明できます。ではなぜ登山の知識がなく写真撮影をすることが迷惑行為に直結してしまうのかの具体例をご紹介します。

どれも考えなしになんとなくしてしまう、してしまった人も多いと思いますがすべてが遭難へと直結する行動・考え方です。

登山ではなく写真撮影という考えをしている

登山ではなく写真撮影という考え方をしている

写真を撮るために山に行くのであって、登山をしに行くわけではないという考えの人がいます。本人が安全を重視して装備を選択していてもそれが登山という世界で通用しないものでしたら意味がありません。例えば冬の山に登るのに手袋は軍手のみであったり、テントやツェルト、非常食や防寒具を持っていかないという人が該当します。

撮影機材が重いので登山用具は最低限にしようと本末転倒の考えになる人もいます。

山で必要なものを持っていかず、撮影機材を充実させるため一般登山者よりも背負う荷物は重たく、それでいて装備がないというスタイルになります。当然緊急事態に対応できずに遭難リスクは高くなります。

登山用具と撮影機材はトレードオフの関係ではありません。荷物が重たいと感じたら真っ先に取り除くのは撮影機材です。始めたばかりの人の登山初心者装備でもこのくらいのものは必要です。

誰でも行ける場所だと勘違いしている

登山ではなく写真撮影

YAMAP、ヤマレコなどWEBで調べれば直近の登山道の情報が載っていて、多くの人が山岳写真を公開しています。それによって山を観光地と勘違いして気軽に挑んでしまう人が増えていっています。

登山は荷物を背負い距離を歩くスポーツであり、北アルプスになると往復で40kg歩くようなコースもあります。それでいて標高差が1500m。日常的にスポーツをしている人や登山経験がある程度ないと登ることは難しい山が多くあります。しかし、そういった登山の経験がないと、どのくらい大変なのかが感覚的にわからないためWEBで調べて美しい景色が撮れる場所を選んでいってしまいます。

最近はカメラメーカーやメディアもネイチャーフォトを大々的に出して製品プロモーションをするように、写真を取り巻く世界全体が「絶景を撮りに行こう」という雰囲気を出しているように感じます。

その中で自分の行こうとしている山がどのくらいの危険があるのかをしっかりと調べることが大事です。

仲間との登山で気が大きくなっている

仲間との登山で気が大きくなっている

複数人で写真を撮るための登山をする人で陥りやすいのが、責任が曖昧な関係。

登山届けを見ればわかるように複数人で登山するときは必ずリーダーを決め、その人の指示に従います。そうしなければトラブル時に判断ができなくなることがあるのが一因です。

その考えがない場合、お互いに山のことを十分に調べずに「複数人で行くから安全だろう」という根拠もない自信を得て山に入ります。確かに山行中はコミュニケーションを取れるため不安を感じることは少ないですが、そもそも全員が山のことを知らずに楽しい会話をしながら登山するのは危険以外のなにものでもありません。

またトラブル時にも強い権限を行使できる人がいないため判断を誤ることがあります。例えば悪天候で行動が推奨できない状況になった時「1日待機して天候を落ち着くのを待つ」と提案しても「明日は大事な仕事があるから何がなんでも帰る」という人が出てきて意見で割れてしまうことも考えられます。

まだ十分に下調べをして不安を抱えながら単独で山に入る方が安全と言えるかもしれません。

このように勉強せず、統率も取らずに複数人での楽しい登山での成功体験を積み重ねるほどリスクは高くなると考えることができます。

はじめての山でもナイトウォークする

はじめての山でナイトウォーク

登山という意識がなく写真を撮りに行くという考えなのか、夜から山に登り朝焼けを撮影するという山行をする人がいます。その山に一度も登ったことがないのに。

ただでされ危険と言われている登山で、それも初心者で撮影機材を背負い夜の登山道を歩く、正気の沙汰ではありません。富士山ご来光などの一種のイベントと化しているものは人も多く、何かあたっときの対応も誰かがしてくれる期待値はありますが、少なくともアルプス・八ヶ岳ではそれは通用しません。

私も仕事柄夜に行動することが多いですが、山頂付近の撮影の場合は朝に山に入りテント場で設営を完了し、事前下見を済ませた上で無駄なものはすべてデポしてから行動します。万が一のとき、安全な場所までの避難経路とそこにたどり着くまでの行動時間は知っておかないと、いざというとき対応できなくなります。

撮影場所付近でビバークする

テント場以外で幕営

撮影のために夜中から数時間同じ場所で待機してる人もいます。それだけならまだしもテントやツェルトを設営する人もいます。山の中ではテント場以外での設営は緊急時以外認められません。

私も仕事の関係で行政・ガイドさんなど、色々な方面にコミュニケーションを取っていますが総合的にみて撮影待機のための設営は許可されないという認識が正しいです。

しかし防寒具を着込んでも数時間の待機は低体温症のリスクが高いです。温かい飲み物を摂取し続ける、身体を動かすという対応はありますが長時間保つことはありません。結果として我慢して低体温症で行動不能になり救助されるか、マナーを逸脱してテントを設営してしまうかという流れになっています。

また登山経験がない人が選ぶビバークポイントも安全であるとはいい切れず、天候が荒れた時の対応できない、落石・雪崩のリスクがテント場に比べて桁違いに高くなります。

このような無駄に数時間待機してしまうという行動は、登山や山岳写真の知識がないため引き起こされるので、撮影目的であれ山岳写真の專門知識は不可欠です。

撮影のためにテント場以外での幕営・ビバークが許されるという考えは、通行の邪魔になっても三脚を立てて撮影する人が陥る「自分たちは撮影というすごいことをしているのだから一般登山者は撮影者を優遇すべき」と本質は一緒です。

山行ルートはスマホアプリ頼り

スマートフォン頼りの登山

スマートフォンでのアプリや、CASIO PRO TREK SmartのようなGPSとマップを連動させて表示できるツールを使って登山をしている人が多いと思います。それ自体は安全な登山ができる素晴らしいツールですが問題なのがそれに依存してしまうこと。GPSがなければ現在位置がわからずどこにいるのかわからなくなるのは危険です。

不慮の事態でスマホが壊れたら遭難一直線です。

それを回避するためには地図とコンパスを所持して読図ができる知識が必要になりますが、その知識がなく登山をしてしまう人も多くいます。最低でも地図を見てコースタイムを実際に歩き自分の現在地や行動時間のズレ、目的地に到着する時間のコントロールはできるようになる必要はあると思います。

タイムスケジュールを考えず日没を迎える

日没後に行動してしまう

いい景色が現れたからカメラを構えてシャッターを切る、山に慣れてない人はそれが山行時間のロスになるという考えをしません。

コースタイムを考えて行動できればある程度コントロールできますが、写真撮影を目的に登山をする人は三脚を立てじっくりとフレーミングをします。撮影が終わったら機材をザックに詰めて山行を再開する。この1連の流れだと最低でも10分はかかるため、登りや日帰りで気軽に行うことはタイムオーバーに直結します。

特に夕焼けは絶景になることが多いため、下りの時間を考えずに撮影を続けて結果として日没してからの下山になってしまうということも十分考えられます。

このように事前にタイムスケジュールを決め、撮影にかけられる時間を予め決めて厳守しないと事故リスクは高まります。そしてどんな山に行くにも登山用ヘッドライトは必須です。

事故は他人を巻き込むことを自覚しよう

写真撮影を目的で登山をする人がやってしまう行動をまとめてみました。どれもが道迷い、転倒滑落、低体温症などの遭難に直結する危険行為です。

これらの事例は法律と照らし合わせると法的拘束力がないと考えることもできるため、違法行為ではないと考える人もいるかもしれません。しかし山の中のこのようなルールは登山者の良心で守られ続けている側面もあります。それが写真愛好家のフォーカストビバーク(計画的にビバークすること)などで崩壊したら当然規制の流れになります。そのきっかけを作ってしまうのが登山者ではなく登山に興味がない写真愛好家の可能性は十分あります。

これを「自己責任だからとやかく言われる筋合いはない」と思う人に考えて欲しいのは、それに加えて事故を起こしたら救助に行かなければならない立場の人がいるということです。

山はどんなにリスク回避をしても避けられない事故があります。それは運の問題です。しかし避けられるリスクの中に自ら飛び込んで遭難することは、救助に来るレスキューの人の命を不必要に危険に晒すということです。

また救助でなくても遭難者を見つけてしまった登山者がその人を知らんぷりして通り過ぎるということも難しいです。よって一般人を巻き込んだ二重遭難の可能性すらあります。

写真撮影の経験がある人はマナーとして「撮影が終わったら同じ場所にずっといない」「他人に迷惑をかける行為をしてはいけない」というのは分かると思います。登山での迷惑行為はマナー以前に人の命の危機に直結します。

山でもやってはいけないことがあります。まずはそれを知り、勉強して他人に迷惑をかけない登山を心がけるだけで自然と安全な山岳写真のための登山ができるようになるのではないでしょうか。

山岳写真のためのリスクマネジメントnoteにて公開しています。ご興味ある方はぜひ。

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