北八ヶ岳の観光名所である白駒池。原生林の苔の森はシーズンに限らず多くの観光客で賑わいます。しかしそこから少し外れた登山道である麦草峠から高見石小屋ルートは、それ以上の緑に溢れる森でありながらあまり人が登らないルートです。標高差300m程度と気軽に登れる麦草峠―丸山―高見石小屋―白駒池―麦草峠の登山は、八ヶ岳の麓に住む私が気分転換のためや新しいギアのテストによく通うルートです。
山岳写真はいつものYamasha Professionalへどうぞ。
麦草峠の駐車場からアプローチ
諏訪方面からのビーンスラインに乗り、メルヘン街道に入ると白駒池の少し手前に駐車場があります。そこが麦草峠の無料駐車場。北八ヶ岳登山口の1つです。ここに車を停めて苔と原生林の森の中に入っていきます。
駐車場には公衆トイレもあるため登山前の準備にはうってつけです。
現在地と八ヶ岳の生態系の看板があります。
「麦草峠・白駒池」と書かれている道標に従い木道のルートを通ります。
麦草ヒュッテで登山届を提出する
木道を数分歩くと麦草ヒュッテに出ます。珍しく臨時休業していましたが通年営業の小屋です。売店・食堂・喫茶・宿泊ができる小屋です。ここに登山届を提出してから登山道に入ります。
標高2000mを超える山であることに注意
車で簡単に来れてしまうこともあり、初心者用の山としての認知が高い北八ヶ岳ですが、麦草峠は駐車場で標高が2127mあります。標高0mに近い東京に比べて12℃以上の気温差になり、10月になると朝は氷点下になることも珍しくありません。低体温症などの事故を防ぐために防寒具と雨具はしっかりと揃える必要がある山です。
10月中旬の朝で気温は0度。歩くと発熱するため行動保温着であるfinetrack ドラウトレイと雨風を防げるソフトシェルのフロウラップフーディを着用しました。休憩時のインサレーションはポリゴン4フーディです。



丸山を目指す
登山届を出したらそのまま進み「白駒池・丸山・高見石」方面に向かいます。
登山口の最初から緑が豊かな登山道
麦草峠からの丸山ルートは最初からクライマックスと言わんばかりの緑の景観です。10月中旬になると雪があることもあり、苔と雪の景観を楽しむことができます。
様々な苔があり、緑特有の「あの匂い」を存分に楽しむことができます。
全体的に緩やかな登山道でまったりと歩くことができます。
今回履いてきたのはラ・スポルティバのトランゴアルプエボというスリーシーズン用のライトアルパインブーツ。現在無雪期でライトアルパインと夏専用のレザーブーツのどちらが使いやすいかを検証しています。


白駒池近辺の苔と原生林の森は雨が降るとほぼ確実にぬかるみができます。降水量が多いと水たまりも多くできるためスパッツの携行をおすすめします。
丸山の森
登山道を進むと丸山の森に出ます。ここから岩と苔のセクションに入ります。
群生するチシマシッポゴケを楽しみながら岩道を登っていきます。
丸山に到着
丸山の森から少し登るとこの登山道のピークに達します。ここの分岐から高見石方面に進むと天狗岳に入り八ヶ岳縦走をすることもできます。
今回は高見石小屋に寄ってから白駒池に抜けるルートを選択。
標高2329mの丸山頂上。狭く展望はそれほど拓けていないのでここで休憩し、少し先にある高見石小屋を目指します。
下り道に入り高見石小屋へ
丸山から下り道に入ります。最初は岩が大きいので躓いて頭から落下しないように注意です。
途中に「白駒池・白駒池駐車場」に下りる分岐があります。ここを左折して下るのが白駒池軽油で麦草峠に帰る最短ルートですが、今回は高見石小屋に寄ってから下山するルートを選びます。
分岐から数分歩くと高見石小屋に到着。
こちらも麦草ヒュッテ同様に通年営業している小屋で、冬山初心者に愛用されている小屋です。軽食や喫茶などもあるので身体が冷えてしまった人は温かいものを飲みながら休憩するのもよいかと思います。
高見の森経由で下山
高見石小屋を下ると高見の森に入ります。
ここではコセイタカスギゴケの群生を見ることができます。
白駒池へ下山
高見の森を30分ほど下ると白駒池へ下りていきます。ここから池を周遊しながら駐車場を目指します。
途中の白駒荘
去年の年末に火事で全焼してしまった白駒荘も建て直され多くの観光客で賑わっています。
充実した食事のラインナップです。コースタイムだと麦草峠から高見石小屋経由での白駒池への下山は2時間ほどなのでここでの昼食を考えて山行するのもおすすめです。
白駒池
白駒荘から駐車場へ下りるときに白駒池を臨むことができます。ただシーズン中は人がごった返していますので三脚を立てて撮影は控えた方が無難です。
白駒の森
白駒池から駐車場に戻るルートは白駒の森を経由して行くことになります。
ここでゃカギカモジゴケの群生を見ることができます。
ロープに区切られ間近で見ることや撮影することは難しいですが、白駒の森もたくさんの原生林の苔を見ることができます。
麦草峠への分岐
白駒の森を進むと、多くの人が白駒池観光で使う駐車場と麦草峠への分岐があります。今回は麦草峠に車を駐車して山を登ってきたのでそちらに向かいます。
白駒の奥庭
白駒池周辺の散策であまり人を見ることがないけれど個人的にオススメしたいのが白駒池から麦草峠駐車場に至るルートにある「白駒の奥庭」。苔と原生林の雰囲気から一変してマツが群生しています。
その先にある黒曜の森の中に入ればもちろん苔の群生も見ることができるので、バリエーション豊かなルートです。
麦草ヒュッテへ
黒曜の森を抜けると麦草ヒュッテへ。あとは駐車上に戻れるだけです。
緑を楽しめる麦草峠ー高見石小屋ー白駒池ルート
私の歩く時間と季節が微妙なのかほとんど人に会うことがない麦草峠からの丸山ルート。流石に高見石小屋付近になると白駒池から登ってくる人もいるためそれなりの人がいますが混雑するほどの人を見たことがありません。
八ヶ岳の麓に住んでいる私としては新しいブーツの慣らしであったりシェルや防寒具の確認の為に使いやすいルートで仕事前や気分転換のためにぷらっとやってきて散策する愛用ルートです。
初心者でも無理なく登れるルートなので初めての八ヶ岳にはオススメできるルートですが、注意点は標高が2000mを超える山であること。白駒池の散策ついでに登れるようなルートではなく登山装備が必要です。
今回の山行では複数グループの登山者とすれ違いましたが、地図やコースタイムを確認せずに登山道に入ってしまう人、ジーンズの人などが目立ちました。
10月で天候が荒れると危険な状況になることもあるため、事前地図で確認して山行計画を寝ることは必須です。
また秋からの登山はどんな山であっても体温の維持のための温かい飲み物の摂取が必要になります。
湯を沸かす登山用のストーブを携行してもよいですが、短いルートなので魔法瓶に熱湯を入れて方が使い勝手が良いためこちらをおすすめします。
山岳写真の練習にも最適な場
登山の練習や新しいウェアやギアのテストにちょうどいいルートであると同時に、山の中の景観のバリエーションが豊富なので撮影機材のテストや練習にも使えるという魅力があります。
苔はマクロレンズ、原生林は超広角レンズといった普段は持て余してしまいそうなレンズが最適解となる被写体が多く存在します。
特に稜線撮影が多くなると深い被写界深度を多様してしまうため、岩・苔・木とキレイにオブジェクトが分かれる森の登山道で画角と被写界深度の検証をすると新しい発見があるかもしれません。
これから山岳写真を始めようとしている人には自信を持ってオススメできる登山と写真の練習場所です。
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