プロとして写真撮影で生活していくなら持っておいた方がいい道具まとめ

プロカメラマンが持つ道具

写真を撮って生活して10年経ちました。
短くないフォトグラファー生活の中で手放せない道具と撮影スタイルをまとめました。
何かのジャンルに特化すれば必ず必要というアイテムではないものも含まれています。しかしプロを目指す上で安定して仕事をして、信頼を勝ち取り次に繋げるためには必要なものをピックアップしています。

これからプロを目指そうとしている人や、写真に関係する仕事をしていて撮影方面にシフトしていきたい人の参考になれば嬉しいです。すでにお持ちのアイテムがたくさんあるならマインドセットとしてはプロかもしれません。

防塵防滴のフルサイズデジタル一番レフ2台

プロカメラマンとして仕事をするには

ボディは2台持っておくべきです。特に営業写真や結婚式などはメイン機にトラブルが発生した時の保険となります。メーカーは好きなところを選べばいいですが、よりリスクを回避するのであればキヤノンかニコン。

朝一の仕事前で機材トラブルが判明した場合、知り合いに急いで連絡を取れば機材を借りれる確率が高いです。防塵防滴対応のモデルは金属の骨組みでボディが作られているため、雑に扱っても故障しにくいです。

いわゆる大三元。F2.8固定のズームンズ

14-24mm 24-70mm 70-200mm F2.8

理由は2つ。被写界深度と画角の選択肢が広く失敗のリスクが少ないこと。もう一つはハッタリです。状況によっては高画質のレンズよりもズーム優先の方がいい写真が撮れることも多いですが、金額的に安価なレンズを使っていると「プロのくせに」と絡まれることがあります。

それなりの価格のレンズを用意しているけれども、今はこのレンズが最適なんですよという一般の方への説得も時には必要になります。

14-24mm F2.8のような超広角はジャンルによっては必要ありませんが、24-70mm / 70-200mmの画角はどのジャンルでも使用するため、どうしても必要になります。

光源はなければ作る。複数のスピードライト

外付けのスピードライト

写真の行き着くところは光の回し方です。結婚式で天井バウンスを使い安定して綺麗な写真を量産するもよし、商品撮影でリモート発行させてライティングを行うもよしです。

雰囲気を重視するために自然光の活用やノンストロボを選択することもあります。しかしすべての現場で使える自然光があるとは限らないので、クライントから金銭を受け取る以上代替手段としてストロボで光を作り出す技術は不可欠です。

付属の三脚固定用のクリップを使用すればモノブロックストロボ代わりとして使用できるので、電源の確保できないシチュエーションでは大活躍します。

レタッチは最終手段。各種フィルター

PLフィルター

PLフィルター・NDフィルター・ハーフNDフィルターは持っておくと万が一の時に助かります。絞りを開けて撮影したいけれどもストロボの光が強すぎる場合は強制的にNDフィルターで光量を落とすこともありますし、料理撮影でエグい光を消したり色みを強く出すためにPLフィルターを使うことも多々あります。

フィールドでは水面の反射面を消すのはPLフィルターでしかできませんし、滝の撮影ではNDフィルターが欠かせません。

ブツ撮り・モデル撮影の基本、モノブロックストロボ

コメットのモノブロックストロボ

個人で写真撮影を受託するならば価格とフットワークの軽さでモノブロックストロボが現実的です。

スタジオ勤務になるとバッテリー(ジェネレーター)と発光部(ヘッダ)が分かれているタイプを使用します。充電済のジェネレーターにヘッドのケーブルを差し込んで使うため電源がない場所でも大光量での撮影ができますが、持ち運びが大変で価格も高いため個人レベルで持つものではないと思っています。

どんなシチュエーションに対応させるためには最低3灯のライティングが必要です。

ストロボケーブル接続用ホットシュー

ホットシューにシンクロケーブルをつなぐ

一眼レフの中級機以上になるとボディにシンクロケーブルのコネクタがつきますが、こちらに直でケーブルを接続するのはお勧めません。ボディのシンクロケーブルのコネクタは壊れやすいと業界としては有名です。修理に出すとメーカーにプロ登録しておかないと代替機は貸して貰えませんので、シンクロケーブルをホットシューにつなぐスタイルでリスク回避することをおすすめします。

ケント紙とトレーシングペーパー

背景や遮光としてケント紙、ディフューザー代わりとして使用するトレーシングペーパー。この2つはスタジオライティングをする上で必要です。特にトレーシングペーパーの扱い方は重要で、授業としてアンブレラの形に合うようにトレーシングペーパーを加工する技術を美大や写真専門学校で行うくらいです。

パーマセルテープ

パーマセルテープ

室内撮影のときは目印、機材の固定に、紙の加工にととにかくテープを使います。貼り付けても跡が残らないパーマセルテープは必需品です。三脚の石突きの汚れを部屋につけないためにも多用します。いつどこで必要になるかわからないので機材収納用のあちこちに入れています。

ローパスフィルターの清掃キット

ローパス清掃に便利なEE-6310

数日間に渡る撮影の間に大量のゴミがローパスフィルターについてしまうことがあります。そうなった場合は自分で清掃する必要があります。
ニコンの公式サイトで清掃にはエタノールを使用すると書かれていますが、実際のメンテンスラボで無水エタノールの揮発性を高める液体を調合しています。

そうすることでローパスフィルターを吹いた時でもすぐに乾き、跡が残りづらくなります。市販で手に入る範囲で買うとオリンパスのEE6310です。
こちらは私も清掃時に使用してます。

EE6310

ハンドラップに50:50の割合で入れて使用すると清掃しやすくなります。
ただし、ローパスの掃除を自分でやると傷をつけてしまったり余計に汚れをつけてしまうリスクがありますので慣れるまでは専用の機材を使ってマニュアルどおりに清掃しましょう。ニコンからローパスフィルター清掃キットが販売されています。

もちろん各カメラメーカーのサービスに持ち込んで掃除してもらうのが一番です。

ブレ防止と構図の安定には必需品。三脚と雲台

選択肢は2つ。カーボンか金属か。カーボンは軽い割には丈夫という使い勝手の良さがあります。たいして金属(アルミ)は重量があり取り回しが大変ですが丈夫でブレが少ない利点があります。

どちらも一長一短ですので、撮影スタイルと三脚の使用頻度に合わせて最適なものを選びましょう。私は軽さ重視でVelbonのカーボン製の三脚を愛用しています。

雲台に関しても大きく分けて選択肢は2つあります。雲台に直接カメラを固定するタイプと、クイックシューを使った三脚とボディを瞬時に取り外し可能のタイプです。

雲台に直接ボディを取り付けた方が安定します。対してクイックシューは安定に難があるますが三脚撮影と手持ち撮影が瞬時に切り替えられるため撮影機会を増やすことができます。私はクイックシュータイプをよく使います。

正確に撮影するためのアクセサリー

ワイヤレスリモートコントローラーセット WR-10

最低限揃えたいのがレリーズケーブルと水準器です。

レリーズは三脚使用時のミラーショックを防ぐために使用します。ネイチャーフォトでは必須のアクセサリーです。有線と無線形式がありますが、どちらも一長一短。有線は安価でバッテリーが消耗しない代わりに、タイムラプスなどの長時間露光では風に煽られて揺れるため常に手に持っておくか、三脚に貼り付ける必要があります。

無線のレリーズは自撮りや長時間露光などで便利な反面バッテリーの消耗が激しいです。撮影条件に応じて2つを使い分ける必要があります。

水準器は三脚にも搭載されていますがボディのホットシューにもつけておくとより正確になります。

AdobeRGB対応のモニタ EIZO Color Edge

写真業をメインにするならばカラーマネジメントが用意であり、AdobeRGBの再現領域が広いモニタが必要になります。

モニタは基本的にはTN・VA・IPSという種類に別れ色が安定し、モニタ上で色ムラが出ないものはIPSと言われています。特にTN系は少しでもモニタに角度がついたりするだけで色の見え方が全く違うので写真業務には適しません。光沢パネルは論外です。

理想的なモニタはEIZOのColorEdge、最低でもIPSでAdobeRGB対応の広色域のモニタが必要になります。

印刷した写真の色を正確に出すキャリブレーション

モニタで表示されている写真をそのまま印刷するとほぼ間違いなく違う色・明るさになります。これはRGBの加法混色で色を作っているモニタと、CYMKで色を表現する印刷物とで構造が全く違うからです。

このモニタで色と印刷物での色をマッチングさせるためにカラーキャリブレーションが必要になります。

EIZOのColorEdgeの簡易なカラーマネジメントツールがついておりますが、印刷物とのマッチングを図る場合は実績あるメーカーのキャリブレーターを使用した方が色再現は高いです。

なぜキャリブレーションが必要なのか

実際のところしっかりカラーマネジメントを行った環境で写真のデータを作っても印刷所やラボによっては検討違いの色になることがあります。自分で色の管理ができるのはモニタと手元にあるプリンタです。

ここで重要になるのが「印刷の色の責任をどちらが持つのか」というリスクヘッジです。モニタが悪いのか、キャリブレーションして作成したプロファイルがおかしいのか、プリンタがおかしいのか。どこに責任があるのかが不明確になります。

そこで大きい仕事でかなりの金額をかけてプリントをする場合は、手元のキャリブレーション済みのモニタとインクジェットプリンタで理想の写真を作ります(これをプルーフと言います)。そしてラボにデータとプルーフを持ちこんで理想の色を出すために打ち合わせを行います。

色温度とカラーバランス調整に必要なマクベスチャート・グレーカード

撮影した画像データの色温度やカラーバランスを調整するときにしようします。マクベスチャートのそれぞののカラーにたいしてRGB値が記載されているので、PhotoshopやLightroomで類似値に近づけます。

使用方法はライティングが決まり本格的に撮影を始める前に被写体の近くにチャートを置いて1枚撮影するだけです。その画像データにホワイトバランスツールなどで適正な色に修正していきます。

マクベスチャートは趣味で買うには高価なものなので手が出しづらいかと思いますが、Lightroomでレタッチをするレベルの人ならば最低限グレーカードは持っておくべきだと思います。

レタッチとデザー撮影ができるノートパソコン

MacBookPro 13インチRetinaモデル

商品撮影では実際のライティングやピントを確認しながら行うテザー撮影をすることでより追い込んだ写真が撮れます。必要な物はノートパソコンとLANケーブルとLightroom。

また出張先で撮影したら数枚すぐにデータが欲しいと要望するクライアントさんは多くいます。そのために撮影後数時間で数枚程度なら仮納品できるレタッチ用のノートパソコンが必要です。色に関してはあまり信用できませんが実際の現場では使う機会は多いです。

また撮影データの退避という意味もありますので出張撮影時は持って行くと便利です。

持ち運びしやすさ、液晶の品質、CPU速度などを考えた結果MacBook Pro13inch RetinaのSSDモデルに落ち着きました。

精密なレタッチに必要不可欠なタブレット

タブレットはwacomのintuos

細かい修正を入れるレタッチには書かせません。特にLightroomやPhotoshopで高速でそれなりのマスクの精度を出すためには必需品です。

ファイルの管理はミラーリングができるNAS

QNAP TS-421

仕事として写真撮影をし、RAW画像でレタッチをするならば膨大なストレージの容量が必要となります。重要なのはデータが壊れないこと、トラブル時にすぐに復旧できること、速度が早いこと。この条件を満たすのは有線LAN接続のNASになります。

自作PCの内蔵HDDでミラーリングを組んでもいいのですが、故障時のHDDの取り換えの作業がめんどくさいこととPCの電源を落とすと外出先からのアクセスができなくなる点が問題です。

NASは業務用として実績のあるQNAP製品がおすすめです。バッファローのNASは速度に問題がありレタッチでは難ありだった経験があります。

試し印刷に使用するA2対応のプリンター

EPSON SC-PV3V

写真をラボに出す前のプルーフの出力を始め、格安で写真を印刷するためにも必要です。紙はエプソンのクリスピアかピクトリコを多用しています。写真の印刷でもA2出力で1000円くらいでできる。

カラーマネージメントの勉強をしたい人や個展を開いたりフォトコンに多数応募したい人にもおすすめできます。

Adobe Creative Cloud

仕事として写真撮影をするならばAdobe製品を使うと便利です。
Lightroomで大まかな調整→Photoshopで細かい修正→Lightroomで再度修正という力技が可能です。PhotoshopのPSDファイルがRAWファイルと同様にLightroomで編集できるのが強みです。

その他、写真撮影を支えるスキルセットであるWEBデザイン・DTP・コーディングなどもクリエイティブクラウドを使用することで1つにまとめることができます。

機材を収納して移動できる車

プロとして写真を撮るなら最低限ライティングを駆使する案件を経験する必要があります。
ストロボの中でも最小の部類に入るモノブロックストロボでも、スタンドやアンブレラなどの備品一式を詰めると持って歩けるものではありません。
事前に施設に送るか、車に詰め込んで移動することになります。機材を詰め込むにはハッチバックがおすすめです。

キチンと写真の仕事をするためにはある程度の資金投入は必要

写真はデジタル一眼レフが主流になってから「誰でも撮れる」と思われることが多いため、多くのクライアントの方は安い価格で仕事を引き受けている人を探しがちです。

ところが実際、プロとして安定したカメラマンをみるとほとんどの人が高額での撮影料です。
その背景には一眼レフとレンズだけにこだわるのではなく「いい写真を撮る」というゴール設定の元に活動していて経験を得ているからです。

カラーマネージメントひとつに限っていっても、できるフォトグラファーと未経験のフォトグラファーでは成果物に差がはっきりでます。写真に慣れていないクライアントでは違いがわからないかもしれませんが、クライアントも写真を扱うプロである場合ははっきりと分かりものです。

そういった方々の信頼を得ていくと必然と高単価な仕事の依頼が増えていきます。

いい仕事にはそれなりのお金がかかる。これを実践して写真の仕事をすることが安定して収入を得る秘訣だと感じています。

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