「霧ノ箱庭」
霧ヶ峰 山岳写真

Yamasha Professional 霧ヶ峰

霧ヶ峰 山岳写真

八ヶ岳を望む長野県茅野市にある緩やかな山体。登山未経験者でも気軽に楽しめる2000m峰として夏シーズンは多くの観光客で賑わいます。

しかし霧ヶ峰深部まで足を入れる人は少なく、霧ヶ峰を彩る色彩を楽しむ人は多くありません。

霧ヶ峰の魅力は足を運ぶたびに変化する色彩と空気。たくさんの表情を持つ四季折々の霧ヶ峰まとめました。

高原ということで目に見えてわかりやすい被写体が少ないことから一般的な構図からのアプローチに加えて色彩からのアプローチを多めに使用しています。

夜明けの車山山頂

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 18mm | 25秒 | F8 | ISO400 | Velvia

強風に揺れる車山神社の鳥居のしめ縄。その向こうにうっすらと佇む富士山と朝の始まりを迎える茅野の街。多くの観光客で賑わう車山も深夜は人が少ない。山頂は岩で構成されてありやはり「山」なのだと思わせてくれます。

車山神社

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 16mm | 25秒 | F8 | ISO400 | Velvia

吹きさらしの環境になる頂上はときに風が吹き荒れます。それが鳥居のしめ縄のブレとして現れています。対して茅野の街は朝日に薄っすらと照らされる富士山と組み合わせってこれから1日が始まる静かな雰囲気。街と山との静と動の関係が好対照です。

朝焼けの車山肩

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 55mm | 1/80 | F5.6 | ISO400 | Velvia

車山へのアプローチに最適な車山肩にある、コロボックルヒュッテ。標高2000m弱の高原名がら空を遮るものがなくどこまでも高い。だからこそ表現できる空があります。その1つがビーナスベルト。日の出の反対の方角の西の空はピンクと藍色に包まれます。

朝焼けの霧ヶ峰

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 53mm | 1/3200 | F8 | ISO400 | Velvia

日が登るに連れてコントラストが強くなり西の空は多くの色に彩られます。厚い雲のシャドウが夏の朝であることを示してくれています。

朝日にきらめく草

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 55mm | 1/1250 | F2.8 | ISO400 | CLASSIC CHROME

夏の朝、若草の瑞々しさを出すためにF2.8の開放を使用。朝日の反射面が丸ボケを作り出し一層それを引き立たせます。

日が差し込む霧ヶ峰高原

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 16mm | 1/340 | F2.8 | ISO400 | VELVIA

朝日が昇り始め一日の中でも彩度が出る時間帯。要素が多くて雑になりがちな超広角を黄色と青の色相対比でメリハリをつけてまとめています。

空が近い霧ヶ峰高原

Nikon D4S / AF-S 14-24mm F2.8G / 14mm | 1/100 | F18 | ISO200

霧ヶ峰から見える高い空。夏の雲に太陽が雲に隠れることで重厚感と空の深い蒼が出てきます。険しい山とは違いどこまでも続く丘と空がキレイに分かれる霧ヶ峰独特の画です。

夏の霧ヶ峰の木道

Nikon D4S / AF-S 14-24mm F2.8G / 14mm | 1/1600 | F18 | ISO200 |HDR

夏の暑さ、空気を作るために±2EVの範囲で露出を5段に分けてからHDR合成。雲や陽炎が少しずれて撮影される5枚を組み合わせることで揺らぐ夏の空気感を表現しています。

秋の霧ヶ峰の木道

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8 R LM OIS / 20.5mm | 1/500 | F8 | ISO200 | VELVIA

同じ霧ヶ峰の同じ場所。季節や時間によって表情が全く違う。それが霧ヶ峰の魅力。森林限界がなく水も豊富な湿地、秋の夕暮れの涼しい空気で作り出される夕焼け。ここにしかない世界があります。

真夏の空と霧ヶ峰

Nikon D4S / AF-S 14-24mm F2.8G / 14mm | 1/250 | F18 | ISO200 | HDR

霧ヶ峰のハイシーズン。高原植物が咲き誇り緑に包まれる7月。木道の消失点とオレンジの花畑のラインを揃えることで距離感を、花畑の上に有彩色最低明度の青と無彩色最高明度の太陽の白で誘目させることで視線誘導を促しています。

霧ヶ峰の光条

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 16mm | 1/125 | F14 | ISO400 | VELVIA

草木に日が当たらずコントラストが強く出る霧ヶ峰の朝。木道に差し込む光りを演出するためにF値を上げて光条を出しています。

高原の丸山

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 16mm | 1/800 | F8 | ISO400 | VELVIA

木々の少ない高原だからこそできる色彩アプローチによる平面構成。黄緑・緑・シアン・青と色相環にそって流れるような色相のグラデーションが自然の美しさと安心感を作ります。

霧が立ち込める霧ヶ峰

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F4.5 R LM WR / 16mm | 1/2400 | F4.5 | ISO200 | VELVIA

霧ヶ峰の名の通り、霧に包まれることが多い山です。しかしそれは山頂付近で発生することが多いため、下って霧ヶ峰の中に入ることで幻想的な景色を見ることができます。

秋の霧ヶ峰と立ち込める霧

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS / 55mm | 1/1100 | F4 | ISO200 | VELVIA

同じ霧でも夏と秋とではイメージがまったく違います。夏は生命感が溢れる霧に対し、秋はこれから眠りにつく山の哀愁感を演出します。

秋のススキの霧ヶ峰

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS / 29mm | 1/2000 | F8 | ISO400 | VELVIA

晩秋の霧ヶ峰は金色の丘。木の葉は落ちて無彩色になり、草はススキになります。そのススキは光に照らされるとハイライトを作るため日が落ちてくると一面が金色になります。その雰囲気を作るために絞りはF8を選択しながらもピントは奥に取り、手前の情報量は残しつつも漠然と写真全体を見るようにしています。

フィルムシミュレーションはVelviaを使用しコントラストを強く出して山肌のシャドウを潰し気味にすることで夕焼けを強く印象づけています。

夏の八島湿原

Nikon D4S / AF-S 24-70mm F2.8G / 40mm | 1/40 | F13 | ISO200

夏の八島湿原に見られるのは緑の世界。明度・彩度・色相、あらゆる「緑」を見ることができます。それを邪魔しないようにセパレーションカラーとして無彩色の白を雲ではさみ、真ん中に青を入れることで夏の霧ヶ峰を構成しています。

秋の八島湿原

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS / 34mm | 1/480 | F8 | ISO200 | Velvia

変わって秋の八島湿原。草は緑の色素が抜けて彩度が落ちます。夏のブライトトーンからディープトーンへの変化。色の意味は「活動的・明るい」から「深い・落ち着いた」に変わります。よって切り取る画角も色に合わせて広角ではなく標準域。広がりの表現ではなく、切り取る表現にしました。

蝶々深山の夕暮れ

Nikon D4S / AF-S 14-24mm F2.8G / 14mm | 1/4 | F9 | ISO200

蝶々深山からの夕暮れ。遮る者は何もなく主張するものもありません。まさに空を撮るには最適な場所です。

八島湿原の遊歩道

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS / 26.5mm | 1/1100 | F8 | ISO200 | CLASSIC CHROME

八島湿原の木道は湿原との間に木々があるため、日が暮れると差し込む光よって道が照らされます。あえてアンダーで撮り適度彩度を落とすFUJIFILMのフィルムシミュレーション・クラシッククロームを使うことで、「シルエットは認識できても色の認識能力は格段に落ちる」目暗所での記憶色を再現しています。

晩秋の霧ヶ峰

FUJIFILM X-E3 / XF18-55mm F2.8-4 R LM OIS / 24mm | 1/480 | F8 | ISO200 | Velvia

燃えるよな夕日とは対照的に色味が消えて枯れていく八島湿原の草。構図の中に倒れた草、木道に入り込む草などを入れることで雑な要素を入れて、寂しさを強調しています。

深夜の霧ヶ峰からの茅野市

FUJIFILM X-H1 / XF16-55mm F2.8 R LM WR / 16mm | 1/3200 | F7.1 | ISO400 | ETERNA

霧ヶ峰から見下ろす夜の茅野市街。八ヶ岳と富士山のシルエットを美しく出すために必要なのがシャドウトーンの階調。最適なのはフィルムシミュレーション・エテルナ。

雲海と茅野市の明かり

Nikon D4S / AF-S 70-200mm F2.8E / 130mm | 25秒 | F5.6 | ISO400

街と中央アルプスの間に雲を入れることでより高さと、別世界という印象が強くなります。その差を作るために130mmの中望遠領域を使用して圧縮効果を出しています。

八ヶ岳の稜線と富士山

Nikon D4S / AF-S 70-200mm F2.8E / 110mm | 1/320 | F8 | ISO200

自分の立っている丘にある草木。そのはるか向こうにある八ヶ岳の稜線と富士山。その奥行き感を出すために空気遠近法のルールになぞって霞がかかり青みを増していくレタッチをしています。

足を運ぶたびに違う表情を見せる霧ヶ峰

霧ヶ峰は多くの色・多くの空気を見せてくれる楽しい山です。足を運ぶたびに新しい発見があります。特に春から冬にかけての目まぐるしい変化が特徴的なので霧ヶ峰の魅力を写真にするなら特定の季節ではなく色々な季節での見え方の変化がふさわしいと感じました。

誰もが気軽に楽しめる山で、写真撮影を楽しめるのですが北アルプスなどの稜線や岩寮地帯と比べると決して被写体力が高い山ではありません。見渡す限りの高原、特に目を引く個性の強い被写体も少ないため何を撮影してもいいのかわからないという人も多いと思います。

その分、写真構成の勉強と実践、新しい着想、構図ではなく色彩や空気からの撮影へのアプローチなどを勉強する場としては最適な場です。

構図ありきで考えるととてもむずかしい山岳写真の被写体なので、私の場合は色から写真を作っていくことが多い山でHDRも多用しています。

登山や山岳写真初心者でも安全に登り散策できる山ですので、一度足を運んで見てはいかがでしょうか。

使用した装備

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Yamasha Professional 霧ヶ峰

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