数たくさんあるモノブロックストロボ。激安中華製のものから高額国産製のものまで数多くあります。果たして価格で「撮れる写真は変わるのか」。
結論から入ります。変わりませんでした。いや…ホントに。
ライティングの勉強や商品撮影の技術を上げたい人、仕事で綺麗な写真を撮る必要が出てきた人。検索してモノブロックストロボに辿り着く人。そして疑問の答えがここにあります。
同じ写真が撮れるのに、めっちゃ安いのとめっちゃ高いのがある。かたや1万ちょっと、かたや10万。同等の写真が取れるならば安いほうがいいに決まっています。激安モノブロックを買おう!
…ではなく、同じ写真が撮れるのになぜこうも価格が違うのか。そこを掘り下げましょう。
ストロボとはトータルソリューションなのです。メガネをくいっ上げながら言って見たいセリフですね。
比較はエムエヌシーのTTC-180Nという販売価格19,800円の激安モノブロックと、COMETのTwincle 03 F Ⅲという110,000円の高品質モノブロックストロボです。
写真の品質に違いはない
実際に撮影したところ目立ってクオリティに差がありませんでした。テストはディフューザーを使用せず、付属のリフレクターのみの直射です。この2つのストロボではホワイトバランスも同じでした。では何が価格差につながっているのかを比較していきます。
スペック比較
発光量 | 180w | 300w |
---|---|---|
重さ | 650g | 1500g |
価格 | 19,800円 | 110,000円 |
発光量の違いは価格に影響しますが、180wと300wのワット数で価格はそこまで変わりません。では重さを比較します。コメットのモノブロックの方が3倍近く重いです。
質感
分かやすく説明すると、一眼レフのエントリーモデルについてくるキットレンズと、F2.8通しの大口径ズームレンズの造りの違いです。
激安モノブロックがプラスチック感があり落としたら割れそうな感じなのに対し、COMETのモノブロックは樹脂と金属の造りでどっしりしています。業界最軽量と歌っているTTC-180Nですが、堅牢性を犠牲にして成り立っている最軽量といった印象です。
TTC-180Nはメスダボ、Twincle 03 F Ⅲはオスダボ
TTC-180Nは日本の規格ではありません。そしてこの価格。間違いなくメイド・イン・チャイナ。ちなみにストロボのダボがオスなのはほぼ日本の独自規格で、海外製のストロボはメスダボが基本です。
ダボもプラスチックなので、締め過ぎるとゆがんで割れそうです。角度調整もカチカチと動く中で選ばなければならないため自由度がありません。
COMETは日本規格なのでオスダボになります。固定に関してはスタンドの造りや重さに依存する形です。ダボは金属でしっかりしているためどれだけ強く締め付けても割れたりすることはありません。
リフレクター比較
TTC-180N
文房具屋で売っている銀マットのような質感です。シワ加工がよりチープ感を引き立たせ、得も言われぬ風情を醸し出しています。取り外し不可なのでスヌート・グリッドといったアクセサリーがありません。
スポットライティングをしたい場合はケント紙などを加工して遮光するしかないようです。直射がアンブレラ・ボックスでのディフューズのみに使用になりそうです。
Twincle 03 F Ⅲ
金属製でシンプルなリフです。COMETはレフの取り外しが可能で様々なタイプのものに変更が可能です。純正のスヌート・グリッドを装着することで照射角のコントロールが可能。ライティングにこだわった商品撮影するのであればCOMETが安心。
ボタン類
TTC-180Nはチープで使いづらい
ツマミが小さすぎて使いにくいです。しかも硬い。1/16・1/4・1/2・1/1と調光は4段階。なぜ1/8がないのか、コレガワカラナイ。シンクロ同調のON・OFFがないため電源を入れていると強制的に発光してまう。
180wで最小発光量が1/16なので絞りを開いた撮影は難しい。距離を離せば対応できるが陰影の付け方のコントロールができなくなります。
Twincle 03 F Ⅲは機能が充実で使いやすい
高級なだけあってインターフェース回りは使いやすいです。調光のツマミはなめらかに動き使いやすい。発光量も1/64・1/32・1/16・1/8・1/4・1/2・1/1の7段階。絞りを開いて被写界深度を浅くする撮影に対応できます。
シンクロON・OFFの切り替えはもちろん、モデリングランプの明るさも2段階で調整可能。多灯ライティング時の光の簡単な確認ができます。モデリングはフル発光だとすぐに寿命が来るので、うまく運用すれば寿命を長くできます。
チャージ速度の違い
一度発光してから、再度発光できるまでの時間に差があります。激安のモノブロックならばフル出力で4秒、コメットのモノブロックならフル出力で1秒です。TTC-180Nの最大出力180wにコメットを合わせると更にチャージ速度は短くなります。フル発光のチャージが4秒というのはスタジオでのモデル撮影では使い物になりません。モデルもカメラマンも感覚でどんどん撮っていきますのでチャージ速度はとても重要です。
よってTTC-180Nは高額モノブロックストロボと同じ写真を撮れるけれどもスタジオの需要を満たすことはできません。
モノブロックストロボの操作性と信用性
モノブロックの光量や角度調整、取り回しが思うようにいかないと撮影に入るまでに時間がかかりフラストレーションがたまります。激安のモノブロックストロボは発光のみに注力していてユーザビリティがよくありません。撮影によっては数百回と行う作業で毎回イライラするのは精神衛生上よくありません。
またストロボに対して信用性がないことをどのように見るかです。例を出すとテレビデオ。テレビとビデオが一体になっているアレと一緒です。発光部のヘッドとジェネレーターが一緒に入っているものなので、どちらかが壊れたら使えません。
ジェネレーターの電圧やコンデンサの大きさで発光自体の安定、色温度の安定が決まるので粗悪品を使用していると撮影のクオリティが落ちます。良いジェネレーターを使っているほど光量の少ない撮影や連射に近い撮影に安定感がでます。このような激安のモノブロックを毎日の撮影で100回以上の発光をすると1年は持ちません。発光チューブの消耗ではなく、コンデンサや回路がダメになってしまいます。これは数件のWEBのECサイトで検証した平均値です。
最大の理由はメーカーのサポート力
コメットはプロにターゲットを絞った製品です。よって仕事としてストロボを使う際の保証が充実しています。
コメットの特徴
- 電話窓口で症状を確認、その場で修理方法を説明してくれる
- 全都道府県で定期的に無料出張サービスを行っている
- 故障時に無料で代替機を貸してくれる
http://www.comet-net.co.jp/support/clinic/index.html
仕事で怖いのが故障です。それを理由に仕事を断ることは信用の問題に発展してしまいます。ちょっとでも不具合を感じたならばすぐにサポートが対応してくれ、代替機を無料で貸してくれます。ヘッドや電源部に関しては出張形式でスタッフが来てくれ、その場で修理を行ってくれます。
高額のモノブロックストロボはプロが万が一のケースに陥った時に仕事が滞らないようにサポートが充実しています。よって仕事でモノブロックストロを酷使するのであればコメットレベルのストロボがリスクヘッジとして必要です。逆に趣味として家に据え置きで設置してブツ撮りを楽しむということであれば激安モノブロックストロボの方がコストパフォーマンスが良いと言えるでしょう。
http://www.photo-tools.com/products/detail.php?product_id=67
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