商品撮影するならモノブロックストロボ | 初心者の基本的な使い方

商品撮影にはモノブロックストロボ

ネットショップの商品写真や料理写真がキレイに撮れないとお困りの方多いと思います。個人の方でも趣味でブツ撮りされる方がいらっしゃあいますね。うん、ストロボを使わずにまともな写真が撮れるわけがありません。

太陽光を使って撮影するHOWTOもありますが、天気に左右されるスケジュールを組める人は滅多にいませんし、写真がキレイ撮れずに困っている人がそのレベルの撮影はしていないと思います。

まずはストロボを買いましょう。それでほとんどの問題が解決します。

商品を撮るならモノブロックストロボが便利

モノブロックストロボ
ストロボと言ってもカメラに早着するクリップオン式のスピードライトではありません。

スタンドを立てて外部から発光するタイプのストロボです。スタジオなどで使われるストロボは発光するヘッドと呼ばれるパーツと、バッテリーにあたるジェネレーターが分離しているタイプを使います。ロケに持ち出すのに便利であることや、大光量を出すため家庭用電源では不安定だからです。高性能で在る代わりにとても高価です。

モノブロックストロボというのは、ヘッドとジェネレーターが1つになっていて家庭用の電源コンセントから給電して発光するタイプのストロボです。光量が小さいですがデジタル一眼レフで撮るならば十分すぎるほどの発光量があります。そして安価であることが嬉しいです。

モノブロックストロボの選び方

重要になるのは最大光量と発光量の調整がどのくらい細かくできるかの2つです。最大光量(Ws)が大きく、細かい発光量調整ができるモノブロックストロボ程高価になっていきます。

最大出力

最大光量はWs(ワットセカンド)という表記をされています。この数値が高ければ高いほど最大光量は大きくなります。

ポイントは自分の使いたい光量よりも少し上の光量のストロボを選ぶことです。

家庭の中での商品撮影や料理撮影などであれば200Wsレベルのモノブロックで十分です。チラシでみる奥行きのある会席料理をF16などの深い被写界深度で撮影するのであれば300〜400Wsが必要になります。

ただ100Ws程度の発光量の違いはISO感度を2段程度の増感で補うことが可能ですので、初心者の方が最大光量に拘る必要はないと思います。

チャージ(充電)速度

最大出力を多用するとチャージまでに時間がかかり、撮影が滞ります。コメットのTWINKLE 03 FIII 300Wsでフル発光(300Ws)だと次の発光までの充電時間が1.6秒かかります。

この問題は家庭用電源を直接使用するものなので、ワット数の高いストロボほどチャージに時間がかかります。
モデル撮影を考えている場合はチャージが長いと撮影がスムーズに行えなくなる場合もありますので注意したい点です。消費撮影でしたらフルチャージに2秒かかってもストレスを感じることはありません。

最大光量に余裕を持たせて故障を減らす

懸念点としては私の経験上ですが、フル発光をすると故障リスクが高まるということです。

規格内のコンデンサと発光部のヘッダを酷使するので寿命が短くなります。200wあたりの出力を使うのであれば300wクラスのモノブロックを買って出力を抑えた方が故障リスクは減らることができます。

出力する光量の調整

光量の調節

次に発光量の調整。コメットを例に出しますと、最安のCT200jr:200WsはFull〜1/16までを4段階で調整できます。

対して私が使っているTWINKLE 03 FIII:300WsはFull〜1/64までを6段階の調整ができます。ツマミを回して調整します。

最小出力で見ても、CT200jrは200Wsの1/16である12.5Ws、TWINKLE 03 FIIIは300Wsの1/64である4.7Wsとなり、細かな調整が可能となります。

モノボロックストロボはかなりの光量がありますので、F2.8のような被写界深度が浅い写真でストロボを使いたい場合は、1/64のような細かな光量調節が可能なモノブロックストロボを選ぶ必要があります。

ワット数とガイドナンバー

クリップオンのスピードライトとは違い、モノブロックストロボに明確なガイドナンバーというものはありません。

参考までにコメットのLB400Ⅱというジェネレーターという機材につなぐヘッド(発光部分)の出力を見ると400s時のガイドナンバーがISO100で56です。

200Wsのモノブロックストロボを使用してもF28で被写体までの距離が1m以内であれば訂正露出を得ることができる計算となります。

これを考えるとちょっとした家庭での商品撮影なら最小出力のCT200jrで十分です。

カメラとストロボはシンクロケーブルでつなぐ

ストロボとシンクロケーブルでつなぐ

シンクロケーブルでつなぐことで、シャッターに同調してストロボが発光します。初級モデルの一眼レフにはケーブルの差口がないものがあります。現在の一眼レフだとむしろシンクロケーブルが付けられないボディがの方が多いです。

ホットシューにシンクロケーブルをつなぐ

そのようなカメラにはホットシュ経由でストロボにコードをつなぐ撮影機材を使います。私が使用しているD4Sはシンクロケーブルは早着できますが不具体が出たらボディの修理になるのが嫌なのでホットシューを使用しています。

スタジオ経験者はホットシューにシンクロケーブルを繋いだ上にパーマセルテープでグルグルまいてケーブルが取れないようにする人多いですよね。

私もご多分に漏れずにそういう癖が残っています。

プラス6000円程度の投資でモノブロックストロボを無線で制御することも出来るようになります。ケーブルが煩わしい人や長時間のスタジオライティングをする人はこちらの環境がおすすめです。

https://yamasha.net/photo/rf-603

露出のコントロールはストロボの出力と絞りのみで行う

ストロボの出力設定

これが普通の写真撮影と全く違う部分です。モノブロックストロボをはじめ業務用のストロボでは基本的にシャッタースピードは固定します。あまり早すぎるとストロボと同調しなくなるので1/125〜1/160くらいがいいと思います。ストロボの閃光時間は1/800なので基本的には環境光を拾わなければ手ブレしていても写真自体はカリッとしたキレイな写真になります。

ストロボが手ブレしない理由

シャッターが開いている状態でカメラが動くと手ブレを起こすのですが、ストロボ撮影の場合はシャッターが開いている間の1/800秒の一瞬しかカメラが光を取り込まないので、実質的には1/800程度のシャッタースピードと同じになります。

同調スピード

モノブロックのシンクロ同調速度

ストロボの性能によって使用できるシャッタースピードが違います。使用できるシャッタースピードの限界値を同調速度といいます。シンクロ同調速度、ストロボ同調速度と言ったりします。

私が出張型式で撮影するときに使うコメットのTWINKLE 03 FIIIでの同調スピードの限界値の計測です。このように同調できるシャッタースピードの範囲に収まっている場合はシャッタースピードに関係なく同じ露出になります。1/400秒から光量が落ち始めているのがわかります。私が使用しているTW-03FIIIの先行時間は1/800ですが、それに合わせてシャッターが降りるとも限らないので1/200秒~1/125秒が実用シャッタースピードとなります。

シャッタースピードが早過ぎると同調できないストロボもありますので、慣例として1/125〜1/160を使用することが多いです。

環境光を拾わないようにするための高速シャッタースピード

もう一つの理由は環境光が入り込んで写真の質が落ちるのを嫌うためです。蛍光灯やストロボ、その他色々な質の光が混ざり合うことをミックス光といいますが、これは写真の品質を落とします。理想的なのは統一した光の質+一定方向の光です。

F16あたりまで絞り込んでしまえば環境光はほとんど拾いませから室内照明を気にする必要性は少なくなります。趣味でのストロボ撮影でしたら十分です。

ただF5.6などの絞りを開くと環境光をたくさん拾うので室内の明かりをつけたままだと周辺光を広いホワイトバランスが崩れたりシャープネスが低下します。その時は照明を落とし、モデリングランプを使用してピントを取りましょう。

モノブロックストロボでの撮影の時はまず使用したいF値を決めます。ぼかしたいなら開けて、被写界深度を深くしたいなら絞ります。その後にストロボの出力を決定します。はじめは適当でいいのでシャッターを切ってみてください。暗ければストロボの出力を上げるかISO感度を増感するかすればOKです。

モデリングランプ

モデリングライト

モノボロックストロボにはモデリングランプというオレンジ色の照明がついています。ストロボの中心に付いている長細いパーツです。寿命が短いので定期的に交換する必要があります。

モデリングランプの意味は2つあります。

ライトの当たり方や陰影を確認する

ライティングを色々と試す

ライティングによりどのような質感・陰影が表現できるのかのおおまかを把握することができます。複数のストロボを使用する多灯ライティングのの場合はストロボごとに発光量を変えることも多いので、おおまかな目安となります。

ピントを合わせるために使用する

ストロボライティングの理想は暗闇の中でシャッターを切りストロボの光のみで撮影することです。スタジオ写真などではそうですね。

その環境を作るために、室内照明を全部消します。そうなるとカメラのオートフォーカスが効かなくなるでの撮影がスムーズに行えなくなります。

そこでストロボを発光させても影響の少ないモデリングランプのみを室内照明として被写体のピントを撮るために使用します。

脚・スタンド

ストロボ用のスタンド

モノブロックストロボはスタジオの撮影機材を設置することができる専用のスタンドを使います。

脚の先をストロボを接続する部分を【ダボ】といいます。穴が空いている方がメスで、出っ張っている部分がオスです。

日本の規格では脚のダボがメスでストロボのダボがオスの規格になります。海外ではストロボがメス、脚がオスと逆の規格なので安価な海外製のスタジオ製品を買うとトラブルになることがあります。

アンブレラ

アンブレラで光を柔らかくする

モノブロックストロボを直接照射をすると、光が固く照射角も狭いので一眼レフに装着するクリップオンのスピードライトの直射に似たような光の質になります。

アンブレラにモノブロックストロボの光を反射させることで光の質を柔らかくし、照射角も広くします。モノブロックストロボで商品撮影を行う場合は場合はこのアンブレラと1セットで考えます。

ディフューザー

アンブレラに反射させた光をさらに拡散させて柔らかい光にするために使用します。こちらはトレーシングペーパーでも代用できます。

被写体の直前でトレーシングペーパーを置いて光を拡散させるのか、ストロボの近くで光を拡散させるのかで光の質も変わりますので、シチュエーションや撮影するものによって調整します。

ブーム

撮影用ブーム

ストロボを被写体の真上に設置したり、半逆光になるように調整するために使用する機材です。

料理など質感が大事な写真は素材の凹凸感を出すためにメインライトを逆行・半逆光が基本になります。その時に、脚とストロボだけだとテーブルにつっかかり撮影環境を作るのが大変なのでブームを使用して環境を整えます。

グリッド・スヌート

スポットで光を当てるグリッド
アンブレラやディフューザーとは逆の考えで被写体の一部のみに強力な光を当てたい場合もあります。その時に必要となるストロボアクセサリーがグリットやスヌートといったものです。

グリットは光を網目状の枠を通すことで光の拡散を防ぎい直線に光を出すための撮影機材です。

スヌートは光の出口を絞り一点に光を集めるためのアクセサリーです。

小物の撮影をするときにモノブロックストロボだと照射角が広すぎて狙った陰影が出ないことがあります。そのときにグリットやスヌートを使い照射角を絞ってイメージに近づけていきます。


レフ板を自作しよう

レフ板の自作

いきなり多灯ライティングは難しいので、まずは1灯だけ導入して補助光はレフ板でつくります。ヨドバシカメラのネットにも売っていますが、値段も手頃で使い勝手もよいので最初はこちらを使用すると良いと思います。1灯なので影が強く出やすいと思いますので、その影を持ち上げてくれる位置にレフ板を配置しましょう。

ライティングに正解はないので色々試してみよう

とりあえず被写体に正面から光を当てるのはやめましょう。光を柔らかくして当てる技術もありますが初期装備でそれをやるのは非常にむずしいです。斜め上45℃、後ろ斜め45℃、真横からストロボの光を当ててみてどのように印象が変わるのかを体感してみてください。

試しに撮ってみる

後ろ斜め45℃付近からなにも考えなしに1灯+レフ板で撮ってみました。何も考えなしでこのくらいの品質の写真は出せますよ。

こういう写真はモノブロックのようなストロボを買わないと撮れない写真なので、まずは楽しんでください。HOWTO本などもたくさんありますので感覚がつかめてきたらステップアップしていくと良いと思います。

一式揃えるのに必要な金額~メイドインチャイナ~

http://www.prokizai.com/shopbrand/ct02-4

3万円を切りますが…色々と自己責任がついてまわる商品です。ストロボ自体もプラスチックで出きていて高級感といったものは皆無です。しかしモノブロックストロボの練習と割りきってつかう分には十分魅力的な価格帯であると思います。1年で壊れてもいいという前提で導入してワークフローを作ったお店もあります。

一式揃えるのに必要な金額~メイドインジャパン~

65000円ですね。メイドインジャパン製品でサポートもしっかり付く。品質もバッチリなので私はこちらを書くことをおすすめします。コメットのストロボは品質はイイのですが、スタンドやアンブレラなどが割高な感じがあるので他社製品にして安価に調達するのもいいかもしれません。

ホンキで商品撮影をする人、これから仕事で商品撮影を始める人は「本気で商品撮影をするなら購入するべき撮影機材一式」をご参照ください。

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