フリーカメラマンの出張撮影に最適!Lightroomのテザー撮影を使用したブツ撮り

テザー撮影のワークフロー

商品撮影や料理撮影などの「ブツ撮り」は構図とライティングを追い込む作業です。

仕事でブツ撮りをするときはちょっとしたピントのズレ、ライティングのミスなどが致命的になるこもありますし、クライアントの確認も必要なためLightroomを使用したテザー撮影を行なうことが多くあります。 毎回商品をスタジオに持ち込んでアシスタントと一緒に撮影できれば良いのですが、地方での仕事、料理撮影の仕事になると現地に赴いて撮影するのが基本になります。

フリーランスのフォトグラファーの方は1人で出張撮影するスタイルが多いのではないでしょうか。 そんな状況で安定したパフォーマンスを出すために撮影データをすぐPCで確認できるテザー撮影は重宝します。

より高品質な写真を取りたいフォトグラファーや、構図やライティングの勉強をしたい人にもオススメの撮影手法です。

私が普段使用するテザー撮影でのライティングや構図の詰め方と一緒に解説します。

テザー撮影とは

撮影した画像をパソコンモニタで確認しつつ、ワークを進めることができる撮影スタイルです。

一眼レフのボディについてる液晶では露出の確認をするには不向きなことに加え、サイズも小さいのでピントが合っているかどうかの確認も大変です。

そのため精密なピントと最適な露出・ライティングが必要とされる現場ではテザー撮影を用い、PCの画面で画像を確認しながら撮影をします。

Lightroomを使用したテザー撮影の準備

USBでパソコンと一眼レフをつなげるだけの簡単な作業です。物撮り用に長いUSBケーブルがあると便利です。

Lightroomを立ち上げて、ファイル>テザー撮影>テザー撮影の開始と進めていくと撮影を開始することができます。

テザー撮影の開始

対応している一眼レフであれば表示される浮動バーに機種名が表示されます。

Lightroomからシャッターが切れる

Lightroomは多くの一眼レフのテザー撮影に対応していおり、数世代前の一眼レフであってもほとんどの機種に対応しています

Lightroomのテザー撮影対応機種

シャッターをLightroomから切ることができる

Lightroomのシャッターボタン

浮動バーの右側にあるボタンをクリックすると接続されている一眼レフカメラのシャッターを切ることができます。

構図を三脚で固定し、ピントも合っている状態であとはライティングを詰めるだけという段階で使用すると便利です。 Lightroom上にシャッタースピード・F値・ISO感度・ホワイトバランスも表示されるため複数人で撮影を進める場合の指示出しにも便利です。

設定が終わったらテザー撮影を開始

テザー撮影を利用した商品撮影

テザー撮影を駆使して撮った写真です。適当なライティングでテストしながら構図やライティングを詰めていく作業が円滑に行えるのが強みです。

撮影したデータをそのまま編集することができる

テザー撮影の開始

テザー撮影のデータはメディアがなくてもパソコンの中に保存されます。万が一撮影にメディアを忘れてしまっても近所の家電量販店に行く必要はありません。

セッションを開始すると撮影データは自動でLightroomのカタログの中に保存されて表示されます。そのまま現像画面に切り替えてその場でレタッチすることができます。

まずは1灯の単純な光で当ててPCのモニタでライティングの確認

ライティングを詰める作業が楽

まず適当に1灯のストロボを右斜め後ろから照射して左側のレフ板で影を起こします。

構図の中にレフ板が入ってしまっても問題なりません。細かいことを気にすると結果として撮影が遅くなります。まずは被写体に当たっている光だけを確認すればOKです。 私は最初は1灯からスタートして必要に応じて光源を増やしていくやり方を基本にしています。

最新の撮影データが選択されますので、普段のレタッチと同じように露出などのパラメーターをその場で編集することができます。物撮りをするアイテムが決まっているならこの段階でホワイトバランスを合わせてしまうのもありです。

狙ったライティングや構図になるように調整する

気になった点は全体的に光が回りすぎて眠い画像になっていること、背景に光が当って締りがないことです。

一眼レフのモニタでは「まあいいかなぁ」と思うようなことでもPCのモニタでキチンと確認すると「これはレタッチじゃなくてライティングで直すべき」という認識に変わることが多々あります。 ボードで照射角を制限

全体的に光が回りすぎているのでアンブレラを外して標準搭載しているリフのみにしました。

背景に光が当たっている問題はストロボの横や正面の半分にボードを入れることで照射角を制限しています。

テザー撮影でライティングの調整

背景が締まり、全体的にいい感じになってきました。ある程度ゴールが見えてきたらライティングで詰める部分とレタッチで詰める部分をわけます。

ここでは右端に入ってしまっている光はレタッチで消し、マムートロゴが暗いのはライティングで解決してみます。

この時点でのブツ撮りのライティング

この時点での物撮りのライティング設定です。機材の固定具などは出張先で使えななかったりすることも多いので、

周辺にあるものでどうにかライティングを完成させる応用が必要です。 今回は自宅の簡易撮影室に置いてあるもので適当にボードや背景紙を固定してみました。仕事先ではもうちょっとしっかりと基礎を組み立てます。

正面の露出不足をストロボ手持ちで行なう

テザー撮影でライティングの調整

モノブロックストロボをスタンドから外して手持ちしました。

正面直射はディテールがなくなってのっぺりした写真になるので、左側に置いているレフ板に照射して反射した柔らかい光で正面の光源を補います。何度かテストをしていい感じになったら、スタンドで固定するか、そのまま手持ちで撮影するかを判断します。 テザー撮影の便利なところは撮影したデータがすぐに大きい画面で確認できることはご説明したとおりです。

これを利用すると片手でモノブロックストロボを持ち、微調整しながらLightroom上のシャッターボタンをガンガン押してライティングを詰めることができることです。 三脚で固定したカメラまで手が届かなくてもPCを手元に置けばシャッターを切ることもモニタで写真の確認をすることも簡単にできます。

ストロボはスタンドで固定すると被写体への距離が長すぎたりスポット的に使用するのも難しくなるため、機材も人材の不足しがちな出張撮影でのブツ撮りではテザーをうまく使いこのような手法でライティングを詰めていくこともあります。

Lightroomで露出を適正値に合わせる

テザー撮影でレタッチを行なう

ライティングが確認できたら、テザー撮影でシャッターを切りすぐに表示される画面で簡単なレタッチを行ってしまいます。

スタジオ撮影でもない限り露出計を使用して明るさを合わせに行くのは敷居が高いので、テストで数枚撮影してLightroomで露出を合わせいくのが手軽なやり方でしょうか。 撮影したデータを選択し、まずは露出の補正が必要かチェックします。このときの目指すべき明るさにして露出の補正量が+2と表示されたならば、ストロボの出力を2段分あげるか、F値を2段下げるかになります。 F値を変更すると被写界深度がへ変わりピントの範囲が変わるのでストロボの出力を変更した方が無難です。

テザー撮影で露出をしっかりと決めてから本番の撮影に移れば、あとからLightroomで露出を変更する必要がないため、画像の劣化を防ぐことができます。

ライティングを追及するときには必須の撮影方法

ブログ用の撮影ですと適当にストロボを発光させて、Lightroomで調整することも多いですが、しっかりとした撮影だと一眼レフを三脚で固定して構図を決めてからライティングを詰めます。

ストロボの出力の調整、被写体までの距離、スヌートやグリッドを使ったスポット、トレーシングペーパーやアンブレラを使ったディフューズなど、アプローチ手法は無限大です。「こんなライティングはどうだろう」みたいな思いつきでストロボやレフを手持ちで撮影してすぐにプレビューできると撮影が捗ります。

その中でテザー撮影をしながらライティングを調整すると、どこにどのような質の光が当たっているかが分かりやすいため、ライティングの微調整ができます。 特に、どこまでをライティングで対応して、どこからレタッチで修正する判断が正確になるので結果として撮影時間の短縮にも繋がります。

テザー撮影に最適なノートPC

MacBookPro 13インチRetinaモデル

出張型式で撮影することが多いため基本的にはノートパソコンを使用しています。その中でもマシンパワーがありそこそこ色が出るモニタであるMacBook Proを愛用しています。ストレージがSSDなので編集をサクサク行なうことができます。

テザー撮影で使用したデータを別のPCに移行するときの注意点

撮影データはMacBook Proでレタッチして、自宅やスタジオに帰ってからデスクトップPCに移して画像のレタッチの続きを行います。 その際注意するのが移行するRAW画像と一緒にレタッチ情報も移すことです。これを忘れるとすべて初期設定のRAW画像になってしまいます。

Lightroomでレタッチ情報をXMPファイルで出力する

xmpのメタデータを出力する

別のPCにレタッチ情報を含んだRAW画像を移す場合は、Lightroomで画像を選択してCtrl+Sで「メタデータをファイルに保存」を選択します。 RAW画像を格納しているフォルダの中に画像と同名のXMPファイルが生成されます。

RAW画像とXPMを同じフォルダに入れて別PCのLightroomに読み込ませることでMacBook Proで編集したRAW画像レタッチの続きをデスクトップPCで行なうことができるようになります。 出張先ではLightroomで簡単なレタッチを行い、帰宅してからNASにデータを移して編集するのが基本的な私の物撮りのスタイルです。

フリーカメラマンの出張撮影に向いている撮影方法

1人で商品撮影するときはだいたいいつもこのような感じで撮影しています。

テザー撮影をすることでストボロやレフの微調整がスムーズにできること。加えてクライアントの確認が同時にとれますので撮影が捗ります。 特にレタッチとライティングのどちらで写真の品質の詰めていくかの線引がはっきりするのでクオリティが安定します。

じっくりと物撮りの勉強をするにもLightroom+テザー撮影

多くの写真愛好家の方に使用されているAdobe Lightroom。

せっかくテザー撮影の機能があるのに使わないのはもったいない。 テーブル一台あればスピードライトと三脚を使用してライティングセットを組むことができますので、テザー撮影と組み合わせることで効率のいいブツ撮りができます。

なによりライティングの違いで写真の印象がどのように変わるのかの経験を積むことができます。 一つ上のレベルのブツ撮りに挑戦したい人にオススメの撮影環境。それがテザー撮影です。

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