2017年4月に発売したカシオのアウトドア用スマートウォッチ、PROTREK Smart WSD-F20。先代モデルのWSD-F10の後継機。スマホが圏外な状況でもオフラインマップとGPS連動でルートを表示できるようになりました。
今シリーズから「PRO TREK」の名を冠し、更に販売価格51,000円と安くなりました。
購入に関して注意しなければいけないことはスマートフォンを所持していないと使用できないこと。Androidなら4.3以上、iOS9以上のiPhone5が必要になります。
登山で使用する時計として世界的にも評価の高いPROTREK。そのスマートウォッチということで期待値は自然と高くなります。山屋と写真家の両方の視点からレビューしてみます。
多機能過ぎてまとめることが多すぎるので、まずはWSD-F20のスペックや初期設定の手順、日常生活での使用感から。
詳しい機能やアウトドアアクティビティでの使い方はこちら。

外見は登山用具である「ギア」なデザイン
アウトドア用の時計としてかなりメカメカしい男性的なデサインをしています。登山に向かう際に装着すると気持ちが切り替わって気合が入りそうです。
他のPROTREKシリーズともベゼル部分のデザインは共通性があります。現在PROTREKを使用している人でしたら違和感なく手にとることができそうです。
WSD-F20の主な機能
GPS | 3点測位(アメリカ・ロシア・日本) |
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OS
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Android Wear2.0
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防水性能
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5気圧
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耐環境性能
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MIL-STD-810G
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液晶
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2層構造ディスプレイ(320x200TFT液晶・モノクロ液晶)
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センサー
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気圧・高度・加速度・ジャイロ・方位
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無線
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Bluetooth4.1・IEEE802.11 b/g/n
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充電
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2時間
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電池寿命
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GPS毎秒測位6-8時間、GPS OFF時計のみ1ヶ月以上
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重さ
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バンド含み105g
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特徴
- オフラインでカラー地図で現在位置を確認できる
- アメリカのGPS、ロシアのGLONASS、 日本のみちびき
- カラーとモノクロの2層液晶ディスプレイで視認性が高い
SUUNTO・ガーミンからもアウトドア用のスマートウォチが発売されています。その中でPRO TREK Smart WSD-F20の特徴はAndroidWearを搭載していること。
オフライン地図とGPS連動に関してはGARMINのfēnix 5XがTOPO10MPlus V4を採用、 WSD-F20はGoogleMpa / Mapbox / YAMAP(ダウンロード)という違いがあります。
フルカラーの地図が目当の人ならfēnix 5Xが99,800円・WSD-F20が51,000円。PROTREKのコストパフォーンスは良好です。
Android Wearとの接続
電源を入れると最初にこのような画面が表示されます。タップをすると設定が開始されます。
こういうワクワク感は一般的な登山用時計にはない楽しみがあります。
PRO TREK Smart WSD-F20はカラーのタッチ液晶を採用しています。スマホと同じ感覚でスクロールしていき使用する言語を選択します。多くの人は一番下の日本語を選ぶことになると思います。
使用しているスマートフォンにAndroid Wearをインストールするように指示が出ます。
私はiPhone6s Plusを使用していますので、AppStoreからダウンロードを行います。
Android Wearをインストールしてアプリを立ち上げるとBluetoothで WSD-F20と接続するように指示が出ます。指示に従うだけで設定が完了しますので特に難しいと感じることはありませんでした。Bluetoothを使用したヘッドホンなどの接続と手順は同じです。
ペアリングコードの確認もありますが、iPhoneと WSD-F20で表示されている番号が同じか確認するだけですので、自分で入力するということはありません。
少し待つとiPhoneのAndroid Wearアプリの中にWSD-F20の設定画面が表示されます。この画面でメール自信やカレンダー連携などのGoogleサービスの設定と、表示する画面のデザイン変更を行うことができます。
ウォッチフェイスには複数の画面が組み込まれており、その日の気分やアクティビティに合わせて表示を帰ることができます。WSD-F20の時計画面を横にスワイプさせることでも表示画面を帰ることができます。この表示の切り替えはかなりヌルヌルで気持ちいいです。
CASIOのアプリケーションを最新にアップデートする
PRO TREK Smart WSD-F20をAndroid WearアプリでスマホとつなげたらまずやるべきことはWSD-F20のアプリを最新にすること。Playストアから行います。
これをやらないと後の設定や使い方の確認で絶対につまづきます。具体的にはアップのGoogle / Mapbox表示切り替えやオフライン地図のダウンロードが表示なかったり「カシオのおすすめ」にYAMAPが表示されておらずダウンロードできなかったりの不具合があります。
スタートアップガイドに書いてありませんので注意が必要です。絶対につまづきくない人は取扱説明書を上から順番に読み進めて設定を行いましょう。
おそらくはロットによって初期状態のOSやアプリのバージョンが異なるので個人差はあると思われます。私が手にしたWSD-F20はこのような状態でしたので、設定を進める前にアプリを最新バージョンにすることをおすすめします。
Wi-Fiにつなぐように指示が出ていますので、 WSD-F20の真ん中のボタンを押して、設定>接続>Wi-Fi>と進み無線LANの設定を行います。私はこちらの方でも無線LANの設定を行いましたが、iPhoneがWi-Fiに繋がっていれば大丈夫と説明書に書かれています。
テザリングにも対応しており、Wi-Fi先としてiPhoneを認識させても使用可能です。
無線LANにつながらない場合は再起動しましょう。私は一度ここまで設定を進めていき、スマホのAndroid Wearで無線の設定を行うところまでいきましたが、Android Wearに無線LANの設定項目が見当たりませんでした。
WSD-F20を再起動したところすんなりとGoogle Playにつながりました。
プレイストアに繋がったらアプリをダウンロードしてWSD-F20を最新の状態にします。ここでの注意はアプリの探し方です。画像の画面のどこを選んでもWSD-F20のアプリは見つかりません。この画面で液晶を上から下にスワイプします。
するとこのような画面が表示されます。この左に表示されてるアイコンがWSD-F20を最新に更新するためのプログラムをダウンロードすることができる「マイアプリ」です。ここをタップします。
最新のアプリを一括でダウンロード・インストールを行うことができます。手順に従うだけですので特に問題なく進めることができました。
この作業を経てはじめてWSD-F20「使える」状態になります。
前作からの進化!GPSが内蔵+オフラインマップ表示
八ヶ岳登山の拠点地・茅野駅でマッピングしてみました。改札にある立ち食い蕎麦屋がとても美味しいです。
前作のWSD-F10はGPSが内蔵されていないためスマホとテザリングして現在位置を表示する仕様でありスマホを所持していないと表示ができない、バッテリーがなくなっても表示がでいない厳しい使用制限がありました。
新作のWSD-F20はGPS内蔵衛生3測位(アメリカ・ロシア・日本みちびき )に対応しています。3点測位なので精度は十分です。さらにWSD-F20は標準でオフラインマップが付属しています(スマホ圏外で使用するためには事前にダウンロードする必要あり)
ペア設定したスマートフォンが近くにあり通信できる状態であれば、スマートフォンの位置情報が利用されます。内蔵GPSが使われるのは、スマートフォンの位置情報がOFFになっている/またはスマートフォンと通信ができない場合などです。
Smart Outdoor Watch WSD-F20/F10 – Support – CASIO
通常はテザリングしているスマートフォンからの現在位置を取得することで消費電力をおさえている仕様なのでしょうか。スマホと接続してないときのバッテリー消費の検証が必要がありそうです。
GPS機能を使う時の注意点
GPS使用なし
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カラー表示
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約1日
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カラー表示オートOFF
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約2日 |
時計のみ(タイムピースモード)
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1ヶ月以上 |
GPS使用時
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毎秒測位・カラー表示 |
6-8時間 / 18時間(バッテリー優先)
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毎秒測位・カラー表示オートOFF
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7-9時間 / 25時間(バッテリー優先)
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間欠測位・カラー表示
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約1日(6分間隔測位)
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間欠測位・カラー表示オートOFF
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約2日(6分間隔測位)
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バッテリーの持ちはGPS機能を使うか、使わないかで如実に違いが出ます。フルで機能を使用すると6時間という制限が出てくるため使用用途とWSD-F20の設定に関しては吟味する必要があります。
スマートウォッチとして使用するならGPS使用は必須
WSD-F20を使用する人は日常の消費カロリーやスマホ通知の表示、Android Wearの恩恵を受けたい人がほとんどのはずです。時計機能のみを使用したい人は皆無だと思います。
特に登山に関して言えばオフラインでのマップ表示を売りにしていることから、最低でも間欠測位(6分間隔)を基準と考えるべきだと思います。
実質的なバッテリーの持ちは最長2日間。縦走登山では不安が残ります。モバイルバッテリーでの充電は必須です。
日常生活でのオススメの省電力設定
・「常に画面をオン」をOFFにする。
操作時以外はモノクロで表示されるためバッテリーで寿命が伸びます。時計を見てないないときまでカラー表示する必要性を感じませんでした。
腕に装着しているWSD-F20で時間を確認するために顔のある向きに持ってくると自動でカラーで表示されますので。使う側としてはほぼすべてのシーンでカラーになります。
・トラッキングアクティビティをバッテリー優先にする
GPSの精度は日常生活にそれほど必要としないので、バッテリー重視の設定にして日常の行動ログは間欠測位の6分にする。これならばバッテリーが1日でなくなるということは回避できます。
アプリケーション連携
■CASIO MOMENT LINK
仲間内で位置情報を共有してコミュニケーションが取れるアプリケーション。チームに分かれて登山をする場合にとても便利そうです。現在公式の対応表にはiPhoneは利用できないと記載されていますが、2015/5/2時点ではアプリケーション対応しており、対応表を見る限りAndroidとiPhoneの間での機能差が埋まりつつあります。
■CASIO MOMENT SETTER+(Androidのみ)
スマートフォンから詳細設定を行うアプリケーションはAndroid端末専用で展開されていて、iPhoneで使用できません。
CASIO MOMENT SETTERはWSD-F20の中にインストールされているため機能面では代わりありません。AndroidでCASIO MOMENT SETTER+ を使ったことがないので憶測になってしまいますが。AndroidWearアプリを立ち上げてスマホ側で画面デザインを変更したりできるという気の利いたアプリのようです。
アレば少し便利。なくても全く問題ないという認識で大丈夫だと思います。
1日の活動グラフ
心拍計はついていませんが、身長・体重などから1日の消費カロリーをモニタリングすることができます。
MOMENT SETTERの設定から、初期設定では機能していない「毎日の活動記録を保存をON」にして、身長体重・装着する腕を設定します。あとは腕に装着すればモニタリングが開始されます。当然センサーが常時働きますのでバッテリーを消費します。
改良の余地が残されている点
日常生活での使用でも充分楽しめるWSD-F20ですが、使用してすぐ感じた問題点もあります。それが充電とバッテリーに関してです。
充電システムに難あり
多くの登山用の時計はソーラー式、パッキン式電池交換式を採用していますが、WSD-F20はAppleのMagsafeのような形式の充電を採用しています。
この端子を取り付けることで充電を行います。
近づけるとカチっと接続され、充電が開始されます。充電されていくと自動で電源がONになります。このシステムがちょっと問題。ケーブルの重さで時計がコロンとひっくり返る程度で外れてしまいます。
家で使用する分には問題ありませんが、登山だとちょっと厳しい仕様です。テントの中で充電して寝て、翌日起きたら充電ケーブルが外れていたなんてことがあるとその日のパフォーマンスに影響します。
オフラインでマップが使用できてGPSと連動するということは登山用GPSに取って代わる可能性があります。これが販売価格5万円、さらに腕に装着できると慣れば使い勝手も登山用GPSよりも良く、軽量化にもつながります。
ゆくゆくは登山用スマートウォッチを頼りにルートを作ったり遭難のリスクマネジメントを行なう人が出てくるでしょう。
そうなったときに充電システムが理由でその日の行動ができないのはとてももったいないなと感じました。ヒューマンエラーが発生しにくい充電システムができるとアウトドア用品として信用は盤石になりそうです。
ガッツリと縦走登山で使用するなら外れにくいケーブルの欲しいところです。
設定によってはバッテリーの寿命に不安が残る
GPS使用なし
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カラー表示
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約1日
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カラー表示オートOFF
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約2日 |
時計のみ(タイムピースモード)
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1ヶ月以上 |
GPS使用時
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毎秒測位・カラー表示 |
6-8時間 / 18時間(バッテリー優先)
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毎秒測位・カラー表示オートOFF
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7-9時間 / 25時間(バッテリー優先)
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間欠測位・カラー表示
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約1日(6分間隔測位)
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間欠測位・カラー表示オートOFF
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約2日(6分間隔測位)
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改めて設定とバッテリーの寿命を見てみます。
スマートウォッチとして快適に使える中で節電の設定をしても2日でバッテリーが無くなります。登山に持っていくならば確実にモバイルバッテリーを持っていくレベルです。
試しにモバイルバッテリーで充電したみた結果、5200mAhの一般的なものを使用しても2時間でフル充電することができました。バッテリー残量をみても25%も消費していません。
少し容量の多いモバイルバッテリーを1つ持ち歩けばiPhoneとWSD-F20の両方を充電しながらの縦走登山でも充分運用可能です。
多機能ゆえに使い方を考えるべきアウトドア用スマートウォッチ
他メーカーは機能がパッケージ化されていることに対し、PRO TREK Smart WSD-F20はAndroid Wearを採用しており、機能の拡張やカスタマイズを自分で行なうことができます。
購入して腕に付ければ何でもできるという類のものではなく、しっかりと設定し日常生活・アウトドア・登山の目的に合わせて設定を変えていくことでパフォーマンスが発揮されるアウトドア用スマートウォッチという印象を受けました。
日常生活で試用してみた限りだと各種センサー画面やフルカラーマップなどワクワクするギミックとしてはアウトドア用スマートウォッチとしてはひとつ抜けている感があります。
しかし実際に買って使用する立場になると真っ先に不安になるのがバッテリー関係。どんなに高機能でもバッテリーが落ちればタダの重りです。購入を検討している人は大半はここが気になるのではないでしょうか。
個人的にはモバイルバッテリー運用が必須なので、メーカーが公式に充電2回分の極小モバイルバッテリーをつけたり、バッテリー使用前提でフルパワーでWSD-F20を使用した際の登山のパフォーマンス向上など、アウトドアで使用する生々しいビジョンを提供できれば縦走をする登山者の心的敷居は下がると感じました。
実際使ってみてどうなんだろう?他社と比較した場合のメリットは?という疑問はこれから運用してレポートしていきます。
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