9月になると山では秋シーズンに途中です。ベースレイヤーも長袖や厚手に変わってきます。夏シーズンで使用したウェアをメンテナンスしてタンスにしまう時期です。
その前にチェックしておきたいこと、それは速乾性シャツの機能が落ちていないかの確認です。
Finetrackのドライレイヤー、ミレーのダイナミックメッシュといった汗冷えを防ぐウェアはその上に着るベースレイヤーの性能とセットで考えないとベストなパフォーマンスを発揮しません。
登山は常に危険が伴うアクティビティ。装備の不備がないかチェックしましょう。
速乾性シャツの機能は吸水性と通気性
速乾性シャツの機能は汗を吸い上げ速やかに拡散して蒸発させること。ウェアに残る水分を効率よく発散させることで常に肌がサラサラの状態を保ち汗冷えを抑え、快適な山行を可能にします。
確認方法は簡単、使用している速乾性シャツに水滴を垂らしてみるだけです。
性能が低下していない速乾性ウェア

この時速やかに吸い込んで水滴が広がっていくなら機能は十分残っています。これからも安心して着用して登山ができます。水滴が玉になって吸い込み・拡散されない場合は機能が低下してきています。
機能が低下した速乾性ウェア

登山経験の浅い人ですと「シャツだけで水滴弾いてくれる!小雨でもなんとかなるかも!すごい!」と思うかもしれませんが安全面考えるとまったく逆。
低体温症の原因になるのは自分の体内から出る汗。それがウェアにとどまり肌と密着するととで体温が奪われていきます。
速乾性シャツはポリエステル系を多く使っています。以前は吸水性能に問題がありましたが現在は多層構造にするなどの技術の進化で吸水性と速乾性を実現しています。さらにアウトドアメーカーは独自技術で給水・蒸散性能を出すために後加工などを施しています。
問題はこの後加工でスペックを上げているというこうと。使用・洗濯を繰り返すほど機能性は低下していきますのでずっと新品時と同じ性能だと思って着用を続けていると思わぬ事故を起こすかもしれません。
ベースレイヤー汗を吸い上げ拡散して蒸発させる機能がなによりも重要です。
ドライレイヤーの機能は撥水性
速乾性シャツは下に着るドライレイヤーといったメッシュと組み合わせで使用するとベストパフォーマンス。合わせて性能低下していないか確認しておくことをおすすめします。
チェックの仕方は速乾性シャツと同じで水滴を垂らすだけです。撥水すれば機能が残っていて、吸い込んでしまえば交換時期にきています。
メッシュと速乾性シャツの組み合わせの関係性
身体から出た汗はドライレイヤー・ダイナミックメッシュののようなメッシュを通して外に出します。そして撥水性によって一度出た汗が肌に付着するのを防ぎます。
次に汗を速乾性シャツが吸い上げ生地の中で拡散して空気に触れる表面積を大きくします。そして蒸散を促す。こういう仕組みで汗冷えを防ぐシステムができあがります。
よってドライレイヤーで汗が肌につかないように気をつけても、その上に着るベースレイヤーである速乾性シャツの吸水性が低下しているといつまでたっても汗が蒸散せずに、結局のところ汗冷えにつながってしまいます。
冬山登山ほど汗処理は慎重に行う必要がある
日本は湿潤気候なのでレイヤリングによる夏シーズンの汗処理は難しいです。新品のドライレイヤーとベースレイヤーを着用しても湿度が高いと効果がありません。気温が高い雨天でハードシェルを着ていればほぼ役に立たないといってもいいんじゃないかと思うくらいです。
逆にドライレイヤーとベースレイヤーの性能がフルに発揮されるのが冬季。肌に付着する水分のほとんどは自分の身体から出るものです。
冬季シーズンは汗冷えによる体温の低下が夏の比ではないので、秋シーズンが始まるまえにベースレイヤーの機能の確認をおすすめします。汗処理の機能が低下しているのであれば買い替えも検討したほうがよいと思います。
ウェアの機能を落とす原因の1つは洗剤
アウトドアのウェアは後加工による撥水・吸水性が多いため合わない洗剤を使用すると一気に機能を低下させてしまいます。アウトドアウェアの洗濯の注意ラベルを見るととにかく細かい指定が書かれています。
一般の洗剤や柔軟剤はほとんど使用することができないと思うほどです。
ウェアに合わせて使用する洗剤を探すのも、複数使い分けるのも大変なので私はfinetrackのオールウォッシュですべての登山用ウェアの洗濯をしています。
ダウン以外ならどんなものにも使用でき、ブーツやテントもこれを使用して洗っています。
安全登山は装備のチェックから始まっている
登山の事故は地図の不携帯、無茶なタイムスケジュールなどに目が行きがちですが、装備のメンテナンス不足も要因の一つです。どのような山であれ遭難リスクがあるので事前に潰せる危険性はすべて排除しましょう。そういった意味では「お気に入りのウェア」というのは少し危ない考え方かもしません。
登山用ウェアは年々進化を続けており、最近のものは必要十分な機能があるのだからファッションで選んでもいいのではという意見があります。しかし山で事故を起こさないという視点で考えるならば、アウトドアメーカーはより安全なウェアを開発するべきで、登山者はそれを手に取り登山するのが良いという考え方をしています。
もちろん資金がないとできない理想論ではありますが、職業として登山をしている身としては金で買える安全ならいくらでも投資します。
見落としがちなウェアのメンテナンスと交換。特に肌に近いレイヤーのものはパフォーマンスに大きく影響します。一度見直してみてはいかがでしょうか。
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