スリーシーズン対応のライトアルパインブーツは本当に使いやすいものなのかを検証を開始

ヨーロッパを拠点にしていて日本に帰ってきて不思議に思ったのが登山用品店にあるライトアルパインブーツの多さ。俗に言う3シーズン用の後ろにコバがついたセミワンタッチと呼ばれる形式のアイゼンが装着可能なモデル。

残雪期から夏山、低山なら冬山までこなせるコストパフォーマンスに優れたブーツということで多くの登山用品店でおすすめされることがあります。

ただ最近3シーズン対応のライトアルパインブーツは本当に必要なのかと少し疑問に思うようになりました。確かにほとんどのシーズンに対応できるのでコストパフォーマンスはよく、安くない金額のする登山靴なので第一候補に上がってくる理由もわかります。しかし決して歩きやすい靴でないことも事実。

結果として新品の夏用レザーブーツとライトアルパインブーツの2足を新品で購入して交互に履いて登山することでその違いを経験として蓄積させることにしました。

その理由をまとめます。

日本の夏山は雪や氷がない

日本の夏山の雪渓

ヨーロッパだと標高が4000mを超える山も多いため夏山でも雪が残り山頂付近ではアルパイン要素が入ってくることがあります。岩稜も多いため固くて剛性のあるソールやアッパー、ガッチリとフィットするセミワンタッチアイゼンが装着できる後ろコバのあるライトアルパインブーツとの相性は最高です。

しかし日本だとあっても雪渓。ノーマルルートではまずアイゼンを使用するアルパインの要素は入ってきません。雪渓歩きのためだけにセミワンタッチアイゼンが必要なのか?と言われれば即答でNO。グリップ式の6本爪や10本爪で十分です。

そこにライトアルパインブーツの必要性を見出すことができなくなりました。

岩が少なく長時間の歩行が多い

岩稜が少ない

岩稜帯をメインにするのであればライトアルパインブーツの方が良いのですが、日本の山は岩よりも土道の歩行が大半を占めることがほとんどなので堅牢性はグリップはほどほどでも反発力のあるソールで歩行のしやすい夏山ブーツの方がパフォーマンスがいいのではないかと思いました。

特にアルパイン系のブーツは基本的に下りを長時間歩行することは考えて設計されていないものが多く、下山中に足が痛くなることがあります。体感値としてどのくらいの違いがあるのかはとても興味があります。

スリーシーズンライトアルパイン:LA SPORTIVA TRANGO ALP EVO GTX

LA SPORTIVA TRANGO ALP EVO GTX

検証する3シーズン用の登山靴はスポルティバのトランゴアルプエボGTX。トランゴシリーズの中でもっともタフなモデルでありながら快適な履き心地を謳うモデル。複数のスポルティバの3シーズンアルパインブーツを履いてみた一番歩行性が高いと感じました。

ソールはVibramのキューブというモデル。使ったことがないので未知数ですが3シーズンということで夏用のものよりも固く作られていると思います。こちらも履きこなしてじっくり検証したいと思います。

超重量長時間行動に適した3シーズン登山靴なんてないのは分かってたので、その中でもベストチョイスをするために登山用品店に勤務しているヤマワカ主宰の南蒼樹君に選んでもらいました。

夏山用ブーツ:LOWA TAHOE PRO GT WXL

LOWA TAHOE PRO GT WXL

夏用のブーツに選んだのはローバーのタホープロGT WXL。実に8年ぶりくらいのヌバックレザーブーツ。

特長はWXLという幅広の木型を使っていて日本人の足に合いやすい登山靴であること。私の足の実寸(finetrackスキンメッシュと厚い靴下)は24.4〜5cm。なので25.5-26cmのブーツで横幅がぴったり合うのはジャストな登山靴の目安。

相性のいい靴で25.7cm(EU40/UK6.5)であることが多いです。

マムートのアルパイン系の靴だと横が細いのでEU41と1/3というサイズになり横幅をあわせるために縦を必要以上に長くしています。つまりジャストフィットではない(ここは少し大人の事情)

登山靴の選び方は人それぞれ違い、フィッティングしてくれる店員さんにもよりますので気をつけましょう。

LOWA TAHOE PRO GT WXLのソールはビブラムのMASAI。超重量の長時間歩行に適したクッション性があり、つま先にはクライミングゾーンもあるため、歩きが多く岩が多少あるという日本の山とすごく相性がよいもの。カタログスペックは山岳写真との相性は抜群。

柔らかめのソールの登山靴でガチ目の山岳写真を撮りに行ったことが久しくないので正直なところ未知数。やわらかすぎて足にダメージが来るかも知れないし、カタログスペックの通りクッション性に優れ超重量のバックパッキングに向いているのならパフォーマンスが上がるかもしれない。未知数です。

LOWA TAHOE PRO GT WXLのレビューははこちら。

ヌバックレザーの登山靴を使えるようにする

オイルレザーで加工した革登山靴

久しぶりのヌバックレザーなのでしっかりと下準備してタフな環境でも長持ちするようにしました(レザーオイルなど複数のメンテナス用品で塗っただけ)。

これをしておくと傷に強くなったり汚れがつきにくくなったりと色々お得なのですが、色味がガラっと変わってしまうので好みの問題も出てきます。私はその辺は気にしないので1週間かけてみっちり仕上げました。

夏山ブーツ用アイゼン:ブラックダイアモンド コンタクトクリップ

ブラックダイアモンド コンタクトクリップ

夏用のLOWAのタホーにはコバがついていないのでアイゼンを買い増ししました。それがブラックダイアモンドの10本爪アイゼンでありコンタクトクリップ。

ワンタッチアイゼン、セミワンタッチアイゼンのようにガッツリと登山靴を締め付けることはできないのでアルパインでの使用はできませんが、日本の夏山は雪渓歩きぐらいしかないのでそこまでの装着性は必要なく10本爪もあれば十分です。

ブラックダイアモンド コンタクトクリップ

どんな登山靴でも装着できるので2本目のアイゼンにはちょうどいいかも知れません。

夏山にアイゼンを装着

当然夏用ブーツのLOWA TAHOEは厳冬期の保温性能はないのであくまで残雪期や晩秋などの運用に限定して、雪が降っている季節で使うことはありません。

交互に履いてパフォーマンスを検証します

これからの山行をスポルティバのトランゴアルプエボGTXとLOWAのタホー、交互に履いて山行することで超重量長時間行動のパフォーマンスを調べます。八ヶ岳・北アルプスがメインになりそうです。

その結果日本の登山におけるスリーシーズン用のライトアルパインブーツが本当に適しているのかの答えが見つかればいいな、と思っています。

夏山シーズンが終わった頃に検証結果をご報告します。

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