作りの良さから三脚や雲台で最近評判の良いアメリカのカメラアクセサリーメーカーRRS(Really Right Stuff)。
ハードな山岳写真ではGITZOのシステマチック5型三脚とManfrottoのギア雲台405の組み合わせがベストだと思っていますが、最近日本の山岳でそのパフォーマンスを遺憾なく発揮する場が多くないこともあり、汎用性に優れたシステムを探していました。その1つの候補が堅牢性が高く使いやすい自由雲台。
知り合いのプロ機材の販売員から「今まで使ってきた中で一番いい雲台」と聞かされていたので山岳写真などの用途でも使用できるものなのか気になり購入してみました。
Nikonのフラッグシップ機をメイン機にしているためシリーズの中でも一番大きい雲台であるBH-55LRを選択。
海外の公式通販で購入したほうが安いのですが、日本で買えるものは日本で買いたいスタンスなので正規代理店である銀一で購入しました。
購入したのはBH55とレベラーリリース
RRSの雲台はクランプ(カメラを装着する部分)を選択することができます。私が選んだのは公式ページでいうと下記の組み合わせ。
- CLAMP OPTION:Lever-Release
- CLAMP SIZE:Full-Size
ハンドルをクルクル回して固定するタイプのScrew-Knobは愛用しているManfrottoのギア雲台405で使っているのですが、今回は実験も兼ねてクックリリースタイプを選びました。装着の速さに関してはこちらのほうがスムーズです。
RRSの自由雲台の使い方
メインロックノブ
BH-55の一番大きいノブが「メインロックノブ」。撮影時の正位置では左手で操作することになります。これを締めることで雲台のボールをロックする構造です。
このハンドルが大きくかつ手袋をつけても快適に操作できることで非常に使いやすいです。またロックの精度も見事なのでLプレートを着用したカメラボディがロックしてから下にオジギするようなこともありません。
ドラッグセットノブとパンロックノブ
右手で操作するのがボールの動きにテンションをかける「ドラッグセットノブ」と「パンロックノブ」。
上にあるドラッグセットノブを締めるとボールの動きが固くなります。自由雲台は構図をきっちり決めてロックをかけるまでグラグラと動きすぎてストレスになることがあります。それをこのドラッグセットノブを使い最適なテンションをかけることで自分の好みの動きの硬さ・柔らかさにすることができます。
この機能はアウトドアフィールドでの悪天候の中などで構図を決めるときに非常に有効で、私は少し固めにして軽く力を入れてカメラが動くようなテンションをかけています。
最高まで締め上げるとメインロックをせずともカメラから手を離しても全く動かなくなります。
下にあるノブが「パンロックノブ」。名前の通り雲台を回転をロックするためのノブで突出して何かあるわけではありません。
この2つのノブで最初気になったのは2つのノブの間のスペースの狭さ。グローブを着用してない素肌で操作しようとすると時々指が挟まり痛い思いをしました。
ただ操作に慣れた今になると、ボールのテンションを操作するドラッグセットノブは変更することはほとんどないし、パンロックノブだけの操作なら指を挟むことがありません。
そういう設計をしているようでRRSの雲台の使い方がわかるようになると快適ですが、どのノブがどの機能なのかが直感的わからない買ったばかりのときは少し扱いづらいかもしれません。
レベラーリリースクランプ
公式ページには記載がありませんがモデル名はB2-AS-Ⅱというものらしいです。
アルカスイス互換のクランプです。
1mmごとの目盛りがついており、水準器も搭載されています。基本の忠実な質実剛健な設計です。
リリースのレバーはステンレスになっており、引っ張り上げるとロックが解除中央で一度止まります。この段階で固定したクイックシューやLプレートをスライドさせて抜き取ることができます(メーカーによる相性はあり)。さらに反対側に押し倒すと完全に解除されます。
Lプレートなどを使用するときは完全開放の状態で上に乗せてからロックをかけると使いやすいです。
押し倒すとロックされる機構です。
RRS BH-55にカメラを装着する
RRSのLプレートを装着したX-H1を装着します。
レバーはかなり力を入れて締めるタイプで、ガッチリとホールドされます。
Lプレートの溝を使うことで半分ロック解除でも擦り落ちないようになっているため、RRSの純正のLプレートを使うとスライドさせながら装着/着脱ができます。
重量のある雲台なので自重でも倒れることがありません。FUJIFILM X-H1とXF16-55mm F2.8を装着しても自立します。
Lプレートを使用して縦位置を取るとカメラの重心と雲台の重心の左右が一致するので安定します。
Manfrottoギア雲台405と比較
山岳写真に必須なManfrottoのギア雲台405。これはファインダーや背面液晶を覗けないギリギリの場所に三脚を立てても構図を作ることができる唯一無二の機構です。もちろんロックしてから微調整することもできるのでネイチャーフォト全般で優れたパフォーマンスです。
しかしデカイ。この雲台とRRS BH-55LRを比較します。
405 | BH-55 | |
---|---|---|
重量 | 1600g | 890g |
耐荷重 | 7.5kg |
23kg |
シンプルな作りのRRS BH-55LRは重量はManfrotto405の半分、耐荷重は3倍というスペックです。
23kgまで耐えられるので一眼カメラのシステムならほとんどのシステムに対応していると考えていいでしょう。
Lプレート以外での縦位置では注意が必要
Lプレートを使用すれば雲台の上にそのまま乗せればよいのですが、ほとんどの人が三脚を使うときに使用するクイックシュー形式だとクランプを倒して縦構図を作る必要があります。RRSのBH-55では倒す箇所が2箇所あります。
雲台のポジションによっては三脚と干渉して縦位置が取れないことがあります。
パンを動かして三脚に干渉しない位置に調整することが解決できます。しかしその場合は三脚の位置を変更して構図を作る必要があるためひと手間かかります。
RRSはLプレートを押し出しているメーカーということもあり、縦位置はより安定するLプレートを付けて雲台の重心と同じ位置に置いて欲しいという意図なのかもしれません。
Lプレート以外のアルカスイス互換のクイックシュー
おそらくほとんどの人が使っているであろうクイックシュー。RRSのBH-55はアルカスイス互換なので選択肢はたくさんあります。
そこで気になるのがクイックシューを装着したときの安定性です。
使用してみた結果問題なくガッチリと固定されます。
さすがはRRSのフラッグシップ雲台と言うべきか取り回しも快適です。一度ロックしたらピクリとも動きません。
ただしクイックシューが負ける可能性が高いです。指で装着するタイプのクイックシューでは重たいボディを支えきれずにずれて来ることがあります。
重たいボディでクイックシューを使うときは六角レンチで固定で強く締め付けられるタイプのものをおすすめします。
剛性があり使い勝手もいい万能の雲台
RRS BH-55LRはロックのハンドルが大きく動きも滑らかでグローブをした状態でも使いやすく、フラッグシップボディを使った上での剛性も十分。クイックシューをしっかりつければ縦位置でも問題なく使えます。
特にボールの動きがホントに滑らかで使っていて気持がいいくらいです。
ハイエンドの雲台なので剛性のある三脚とセットで使用することが前提ですが、多くの人がメインで使える雲台だと思います。
私もこれから多くのシーンで活躍しそうです。
スポンサーリンク
コメントを残す