登山靴はサイズを間違えると足が痛くて辛いだけ。失敗しないベストな選び方

登山靴の選び方

登山靴はサイズを間違えると歩いている途中で足が痛くなり楽しい登山どころではなくなります。試し履きしたときは快適であったのに、登山の下りで親指や小指が靴にあたり痛くなってくるパターンは初心者の登山靴選びではよくあることです。これが12本爪対応の硬く作られている冬山用登山靴になると顕著に現れます。

登山を仕事にしていて10足以上の登山靴を履いてきましたが、未だに自分だけで登山靴を選ぶことができません。必ずプロの方に見てもらっています。それだけ登山靴を自分で選ぶのは難しいです。

登山靴は夏山用でも安くて2万円、冬山用なら5万円から。ミスショッピングは避けたいところです。最後の判断はその人になるので確実にフィットすると保証できる選び方はありませんが、出来る限り自分に合う快適な登山靴と出会える方法を私の経験則からまとめます。

メーカーで登山靴は選ばない。足型が細めのヨーロッパブランドは注意

ヨーロッパブランドのブーツには注意

登山用品店に置かれている登山靴のメーカーはヨーロッパブランドが多い傾向にあります。AKU・SCARPA・GARMONT・MAMMUTなどのブーツをおすすめされた事がある人も多いのではないでしょうか。石井スポーツさんはAKU推しなイメージです。

もちろんそれが自分の足型にフィットしていれば最高ですが、基本的に細めの設計になっているヨーロッパブランドのブーツは感覚で選ぶと足が広めの日本人ではトラブルを起こしやすいというのは否めません。

日本人に多い広い足型を使って作られているモデルもありますが、それに混じって細いブーツが多くあります。以前使っていたブーツがジャストフィットした経験から「このメーカーだから自分に合う」という先入観は持たない方が安全です。

例えば私の場合、MAMMUTのMAGIC GTXは幅広の足型で作られているので快適に夏山を縦走する時に愛用していますが、同じMAMMUTのMamook GTXというブーツは幅が狭く締め付けがキツイため歩行にはあまり向かずアイスクライミングに使いやすいです。このようにサイズ感がまったく違います。

すでに購入済みで一度山に持っていってサイズが小さすぎた場合は返品ができません。親指や小指の外側がぶつかって痛いときは夏山用のブーツならシューフィッターでなんとかなる可能性もありますが、硬く作られている冬山用のブーツは救済できる可能性は低いです。

サイズを正確に計測する

足のサイズを正確に計測する

自分の足のサイズを正確に知らないと登山靴は選べません。まずやるべきことは自分の足のサイズを正確に計測することです。いきなり靴を履いてみて「しっくり来た」という選び方は失敗する可能性が高いです。

足の形は人によって様々、しかも左右で形が違います。日常生活で使用している靴のサイズも実際合っているかどうかわかっている人は少ないと思います。そのくらい靴は感覚え選ぶ人が多いのが事実です。

メーカーや登山用品店によっては自分の足のサイズの図り方を紹介しているものもありますが、ほとんどが踵から爪先までの縦の長さのサイズ(ブーツのサイズ表記でCM・EU・UK・USと書かれているもの)です。もう一つ大事な要素である横の長さであるワイズ(E・EE・EEEなど)が選ぶ基準に入っていません。ここを無視すると、サイズは合っているのに締め付けが強かったり、親指や小指が靴の中で先に当たり靴ずれなど、出血を伴うトラブルに発展します。

それを避けるために必ずショップにある専用の計測器でサイズを測ります。

足のサイズを計測しないのは登山靴選びでは論外です。よく靴の先まで足を入れて踵に指1本分ということを聞きますが、感覚に頼る前に数値で詰めるところは詰めないと失敗します。そういう対応を受けた場合は正確なフィッティングをしてくれるかは疑問です。

靴下を持参する

登山靴選びには靴下を持っていく

登山靴のサイズ合わせは靴下を履いた状態での実寸を元に行うものがほとんどです。夏なら中厚から薄手、冬季は厚手のソックスを使用している人が多いと思います。使用しているソックスによって登山靴のサイズが変わる可能性もありますので、ブーツに合わせて試着した靴下を買うか、使用してる靴下を登山に用品店に持っていってください。

私は夏でも冬でもfinetrackのスキンメッシュソックスとメリノスピンソックスEXPを使用しており、登山靴のフィッティング時にも持っていきます。ドライレイヤーが汗を全部出して肌に触れないようにしてくれるので、蒸れ感がなくなりテントに入ってブーツを脱いでも臭いが気になりません。

販売スタッフにフィッティングをお願いするときの注意

自分の足の形を正確に計測できたとしても、そこからフィットする登山靴を選ぶスキルがなければ結局は足に合わない登山靴を購入させられることになります。ここが登山靴選びの一番難しいところだと思います。

特に都会はアウトドアショップが多すぎて、販売員に登山経験の少ないアルバイトの方が登山靴を求める多くの人に接します。研修は受けていると思いますが、杓子定規的に計測・案内と進むのですべてを信用するのは難しいと言えます。

その対応は怪しいなと判断するにも、相応の登山経験がないと得られないということが難儀なところです。

昔、登山用品店で買ったという登山靴を見せてもらったらサイズは合っていないし、ただのハイカットの靴でそもそも登山靴でなかったなんてケースもありました。

多くのメーカーを取り扱う登山用品店での注意点

登山靴を購入するときはショップの内部事情などを含めて検討すると間違えることが少なくなります。

ショップによっては登山靴メーカーと直接取り引きしているところがあります。安く仕入れて安く販売することができるため、そういう意味ではカタログスペックから見たコストパフォーマンスが高いのではないでしょうか。

そのような背景があるので自社利益を高めつつ満足度が高いと思われるブランドの靴を販売の軸に置くことは双方にとってメリットがあります。…がそれは足のサイズが合っていることが最低条件です。

他ブランドがいくつもあるのに、1つのメーカーだけをオススメしてくる販売員さんに捕まったら逃げた方がいいと思います。

最初からインソール交換をオススメしてくる

最初からインソール交換は必要ない

フィット感がいまいち…という質問に対してソール交換で対応しようとする店員。これはかなり危ないです。

私はインソールは最初から変える必要はないと思っています。登山用に作られたブーツなので当然中敷きのインソールもその目的に沿って作られているため、どちらかというと実際に歩いてみて足に合わないと感じたときの帳尻合わせに使うものと考えています。

登山用品店にはなぜかランニング用のインソールも置かれているところもあり、とりあえずインソール紹介しておけば買ってくれそうという邪なサービス精神を感じるところも少なくありません。

小細工に騙されず、最初はカスタマイズせずにしっかりと足にフィットする登山靴を選ぶことから始めることをおすすめします。

疑問点は質問して回答がしっかりしてるか確認

初めての登山靴を選ぶときは質問のしようもないので、運も絡んできますが登山靴で失敗した経験のある人、トラブルにみまわれた人でしたら色々と質問できます。とにかくコミュニケーションを取って納得する答えを販売員がロジカルに説明できるかを確認して信用に値するか見定めると良いと思います。

質問例

  1. 下りだと右足の小指が痛くなるんですけど、原因はなんでしょうか
  2. 販売員さんはこのブーツつかってますか?合わないアイゼンとかありますか
  3. 靴紐が解けない結び方を教えてください

このような質問をすることがあります。特に平坦では普通に歩けるのに下りで指が当たって痛いというケースは多くの人が経験し、販売員が最適な靴を提供する腕の見せ所。こういう「痛い・辛い」系のノウハウが多い人は信用できると思います。

普通の感覚ですとサイズが小さい靴だと足指が当たって痛いのではと思いますが、実際は大きすぎる靴でも指と靴の隙間が大きすぎて歩行中に何度もぶつかり痛くなります。なので最適なサイズの登山靴を履き、かつ靴紐も下3段がしっかりと締められて足が固定されているかが重要です

足指が当たり痛い場合は靴紐が原因のときがある

靴紐は足首の固定のためにギュッと締めるイメージが強いですが、大事なのは下の方です。ここがしっかりと締め上げられてないと指の固定が不十分になり足の指が痛くなることがあります。

登山靴には各メーカーにガイドラインがあり、足のサイズが正確にわかれば基準となるサイズのブーツがわかります。そこからは個別の足に合わせて微調整になるのですが、足のサイズを計測したのに「じゃあワンサイズ上げましょう」と切り替えるやり方もあまり信用できません。

靴紐の締め方を確認してみたり30分ほど歩き回って少し靴を馴染ませるなど、直感でのフィット感から使用感でのフィット感に変えてみたりと、ヒアリングするための材料を集める方法はいくらでもあります。

登山靴のフィッティングのプロがいる登山用品店を選ぶ

登山靴選びのプロに計測・選定してもらうのが1番確実です。大手アウトドアショップが有名すぎて個人経営のショップが隠れがちですが、フィッティング精度をウリにしている登山用品店もあります。

私が使用したことのあるショップ、東京だと吉祥寺駅から徒歩1分にある山幸、長野なら安曇野の山の中、常念・蝶ヶ岳の麓の山の中にあるバックカントリー穂高、この2店でのブーツのフィッティングで問題が起きたことはありません。

特にバックカントリー穂高さんは山岳ガイドの店長が2時間かけてフィッティング(予約制)をしてくれるため精度は高く、使用目的に沿ったチョイスをしてくれます。ご自身の使用経験のあるものをメインに販売されているとのことでメーカーは限られていますが、失敗をさけることが第一の人にはおすすめできます。北アルプス登山の帰りに寄るのに最適な立地です。

販売価格は定価ですが、登山のプロが2時間かけてフィッティングやアドバイスをしてもらえることを考えるとコストパフォーマンスは抜群によいかと思います。

命に関わるギアですから、定価であってもしっかりしたサービスを受けた上で納得して買いたいと思っています。

登山靴は合う合わないがすべて

登山靴の選び方

登山靴はメーカーで選ぶべきではありません。足に合わないものを使用すれば行動中ずっと痛みを伴い事故リスクも跳ね上がりますし、なにより楽しくありません。

私はなぜか昔からMAMMUT色が強いと思われがちですが、登山靴は色々なメーカーのものを使っています。夏の軽登山ならマインドル、縦走ならMAMMUT、冬季縦走とバリエーションはLOWA、アイスクライミングはMAMMUT(あれ、MAMMUT多い…)。

特に初心者の方、初めて冬山のブーツを選ぶ人は自分のサイズやフィット感が正しいものなのかの判断ができませんので、同じ登山靴の買い増し以外は通信販売や個人輸入は避けて専門の人にアドバイスを受けながら購入することをおすすめします。

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