【Studio9中原氏執筆】写真のことが全部わかる本をフォトグラファー目線から書評

写真のことが全部わかる本 センス&知識ゼロからの写真のはじめかた、教えます。

写真メディアStudio9主宰のプロフォトグラファー中原一雄さんが執筆した「写真のことが全部わかる本 センス&知識ゼロからの写真のはじめかた、教えます。」が発売されました。

月間25万人に読まれている(PV数は恐らくその2〜3倍)、恐らく日本で一番見られている写真HOW TOメディアの集大成が1冊の本に凝縮されたとあれば注目せざるを得ない…!うちのサイトの2倍以上あるぞ…。

お会いするときは大体飲み会になってしまうのでプロフォトグラファー同士というよりも飲み友達になってしまっている最近ですが、ありがたいことに献本していただきました。

せっかくですのでカメラ初心者の方に向けて書かれたこの本を書評してみます。

写真を撮るまでのプロセスが丁寧に解説してある

3段階のレベルの構成

「写真のことが全部分かる本」初級編・中級編・上級編で構成されています。特徴的なのが露出やホワイトバンス・ボディやレンズの仕組みが中級編に位置づけられていて、初級編にはいい写真を撮るために必要な考え方に徹していることです。

構図の考え方も「こうすれば上手く撮れるよ!」というだけではなく、なぜその構図にすると美しい写真に見えるのかをロジカルに説明しています。「センス&知識ゼロからの写真のはじめかた」の謳い文句に偽りなし。

中級編〜上級編まで読破すれば写真のことが全部分かるというのは本当。カメラの使い方からマクロレンズ・魚眼レンズの使い方からレタッチ、ファイル管理まで網羅しているのは流石。

ユーザーが勉強しやすい機材を前提にしている

共感できたのが、まずはズームレンズを使用して写真の勉強をしようというもの。写真を勉強するなら単焦点という考えから対極に位置します。

単焦点のレンズから得られる知識もありますが、初心者はまず広角から望遠の画角を使って色々な写真を撮る経験が必要。ズームに頼ってしまうという問題はただの意識の問題に過ぎません。良質な経験を積むにはどうすれば良いのかのポイントがまとめてあります。

もちろん単焦点レンズならではの表現についても掘り下げられています。

技術や機材の前の「着想」を大事にしている

写真撮影の着想

初級編では「機材や技術よりも大事なことがあるよ!」と言わんばかりの充実した内容。その一つが視点。カメラを始めた頃は楽しくて色々な取り方をしますが、撮影に慣れてきて機材が充実するとレンズに頼りきった撮影の手法になりがちです。

観光地や有名なイベントに行くとみんながみんな三脚を立てて自分の目線(アイレベル)で撮影している風景を見ます。そんな人には耳の痛い話題かもしれません。

ポジションとアングル

特に私の専門としているネイチャーフォトは広角レンズを多様することもあり、ポジション(高さやアングル)とパースのかけ方は生命線です。いつの間にか忘れてしまうけども大事なこの部分を深くまでより下げて解説しているので、中級者〜上級者の方でも一読の価値ありです。

上級編はストロボの使い方の解説も

ストロボの使い方の解説

写真を勉強していて多くの人がつまづくのがライティング。つまりは光の扱い方。失敗ケースを例にストロボを使うことでどのように解決できるのかを丁寧に説明されています。

個人的にも、初心者の段階からストロボを使うことでどんな写真が撮れるようになるのか、どれほどの失敗写真を救えるのかを知っておくことは写真が上達する上で必須だと思います。

上級編に位置づけていますがここは初心者〜ライティング未経験の人にぜひとも読んでもらいたいところ。

プロの技術をわかりやすく噛み砕いている

プロの技術を初心者でも扱えるように解説しています。

一見「プロが書いているんだから当たり前でしょ?」と思うかもしれませんが、これはすごく難しいので少し説明します。

プロカメラマンの技術も元を辿れば三分割の構図や基礎ライティングから始まっています。それが経験値として溜まっていくといちいち考えることが少なくなり、無意識にロジックを組み立てる感覚にシフトし「この構図いいな」と思ったものが三分割+フィボナッチ黄金比+パースによる主題の浮き出しの組み合わせだったりと複雑になっていきます。

なのでプロとして経験値が高すぎると、その感覚をロジカルに落とし込んで初心者に伝えるのが難しくなります。

編集者の方も頑張ったんだなーと思いますが、そこを不必要な情報は入れずにカメラ初心者が分かるようにアウトプットするバランスはすごいなーとしか言えません。私じゃ絶対にできない(‘A`)

Tispとコラムが実践的

ほぼすべてのページに「この技術を応用するとこんなこともできるよ!」というネタが散りばめられていき読者の挑戦を促す仕組みになっています。それもう初心者のレベルじゃないよとツッコミたくなるような技術も少しありますが、読者をフィールドに連れ出して楽しく撮影しようよという中原さんの意図が伝わってきます(間違っていたらゴメンナサイ)

勉強した先のビジョンが作例とともに紹介してるのでカメラ初心者の人は挑戦のしがいがありそうです。

始めて一眼レフやミラーレス一眼を手にした人の教科書として

一眼カメラ初心者の教科書として最適

ゆるい絵ながらいきなり「視点とアングルに気をつけよう!」と写真に慣れてくると忘れてしまう着想を大事にしている良書です。さすが写真系ブロガーのトップラナンナー、いい写真を撮れるようになるまでのコンテンツの組み立て方がとても上手いです。

一番楽しく読める層は、「一眼カメラを購入したけど使い方がイマイチわからない人〜仕組みは理解したけれど思うような写真が撮れない人」だと思います。

始めてカメラを手にする人のために技術をわかりやすく解説している内容ですが、よい写真を撮るための本質に触れる部分も多々あるのでハイアマチュア・プロの人でも自身を省みることができます。

写真撮影からレタッチまでの一通りを学ぶことができる「写真のことが全部わかる本 センス&知識ゼロからの写真のはじめかた、教えます。」、カメラ初心者の方にはオススメできる内容ですので、手にとってみてはいかがでしょうか。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

内容をご確認の上、送信してください。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

スポンサーリンク

0
38
0
6
19
0
写真のことが全部わかる本 センス&知識ゼロからの写真のはじめかた、教えます。

この記事が役に立ったらいいねをしよう!

Facebookで最新情報をお届けします。

関連記事

同じカテゴリーで読まれている記事