動いているものを撮影するということを一眼レフのマニュアルで簡単そうに書いてありますが、実際はかなりのレベルでの一眼レフの機能理解と撮影技術が必要となります。
ジャストでピントを合わせ撮影するには一眼レフの持つ高速のオートフォーカスと、被写体を確認しやすいファインダーの大きさ、直感的に操作できるシャッターボタンとレスポンスの良さなどが可能にする撮影方法です。
一眼レフの機能をフルに使い切ってはじめて上手く撮れる撮影方法です。 よってコンパクトデジタルカメラでは機能的に難しい撮り方です。
また一眼レフ初心者の方には難易度が高い撮影方法であることは間違いなく、カメラの設定を最適化し、撮影のコツを掴まなければ上手く撮ることは難しいでしょう。
しかし一度覚えてしまえばペットの撮影・運動会・お祭りなどの撮影の幅が一気に広がります。
一眼レフの醍醐味の1つとも言える撮影方法ですので、私が使用している動く被写体の撮影方法をご紹介します。
撮影モードの基本はAF-Cモード
一眼レフのオートフォーカスモード
- M(マニュアル)
- ニコン:AF-S(シングルAFサーボ) / キヤノン:(ワンショットAF)
- ニコン AF-C(コンティニュアスAFサーボ) / キヤノン:(AIサーボAF)
一眼レフにはこの3種類のフォーカスモードがあります。普通の撮影ではAF-S(ワンショットAF)とAF-C(AIサーボAF)を使い分けることになりますので、この2つの基本的な使い方を理解しましょう。
AF-S(シングルAFサーボ)
シャッターボタンを半押しすることでピントを合わし、そのピントを維持し続けます。
被写体が動いてしまうとピントの範囲から外れてしまうことになります。
動く被写体に関してはピント外しが多くなりますが、正確なピントが取れるため静物に関してはAF-S(シングルAFサーボ)の一択です。
また多くの一眼レフのボディではシャッターを半押ししピントが合っていないと、シャッターが切れない設定になっています。
AF-C(AIサーボAF )
シャッターボタンを半押しすることでピントを取り、動く被写体に合わせてピントが追従していくフォーカス設定です。
カメラや被写体が動いても自動でピントを取り直してくれるので一眼レフの撮影はこちらをメインの方がいいのではないかと思われがちですが、フォーカスの精度が甘いという欠点があります。
被写体の目でピントを取ったけれども、いつの間にか服にピントが合ってしまっているということは高確率で行います。
そしてこのモードの最大の欠点はピントが合っているのか自分で確認できない点です。
完全に一眼レフのボディの性能を信じることになります。 ピントが合っていなくてもシャッターが切れるため、本当にピントがあっているのかの不安がつきまといます。
それでも 前後に頻繁に動く被写体はAF-C(AIサーボAF )がよい
ピントが合っているのかどうかが自分で判断できない不安はありますが、経験的にはAF-C(AIサーボAF )の方がピントがしっかり取れている写真を撮ることができます。
しかし使い方にコツがあり、ただピントを撮る~シャッターを切るという作業だけではいい写真が取れないので、動く被写体に対してどのように撮影のアプローチをするのかを解説します。
AF-C(AIサーボAF )の基本的な使い方
ピントをあわせたエリアに入っているものに自動でピントを合わせます。
ほとんどのメーカーの一眼レフではピントから外れた被写体を周辺のフォーカスエリアでピントを取り続けるサポート機能がついています。
動く被写体のピントを捉え続けますが、気をつけなければならないことに、フォーカスエリアで被写体を追い続けないとピントを外すということです。
例えば中央のフォーカスエリアでピントを取り、被写体を左に配置するようにカメラを振り3分割の構図をつくる。このような使い方はできません。3分割したときに中央にある被写体にピントが合うことになります。
AF-C(AIサーボAF )では任意のフォーカスポイントで被写体を置い続けることがルールであることを覚えてください。
被写体にピントを追従させつつ自由な構図で撮影したい場合はニコンなら3Dトラッキング、キヤノンならばEOS iTR AFのようなメーカー独自機能を使うことになります。こちらは後ほど説明します。
一度のシャッターを切ったらピントの追従をキャンセルする
ピントを合わせてオートで追従を開始してシャッターを切るまでは一眼レフのボディを信じます。
シャッターを切ったあとは一度シャッターボタンを指を離し、再度改めて欲しいピントにフォーカスを合わせてAF-C(AIサーボAF )で追従を開始します。
こうすることで間違ったところにピントが合い続けてしまうリスクを回避することができます。
連射を多用する
AF-C(AIサーボAF )と連射はセットで考えてください。
例えば目でピントを取っていたけれどいつの間にか服に合ってしまうケース。
カメラマンは確認の使用がありませんし、頻繁に起こるケースです。その中でも目にピントがあっている写真が欲しい場合は連射を使用することで偶発的に撮れる可能性があります。 特に前後に動く被写体ほど成功確率が上がります。
注意点はフラッグシップ機のように連射速度が選べるものを使用している方は極力高速での連射設定を使用します。
高性能のボディでの低速での連射ではピントの追従機能が有効で、連射中でも間違ったピントでAFが追従します。
流し撮りではシャッタースピードを落とす
車や自転車などの速度感を表現するために背景が流れていて被写体のみがきっちりと止まっているように撮影する流し撮り。
シャッタースピードが早すぎると背景までかっちりと切り取ってしまうため、シャッタースピードを落とし被写体の動きに合わせてカメラを動かしつつシャッターを切ります。
AF-C(AIサーボAF )が動作していると、シャッターが降りている最中も被写体の動きを追ってくれるのでピントを外さずに流し撮りの成功率を上げることができます。
スポーツカーのレースなど、確実にそのピントの範囲で撮影できるとわかっているものに関してはマニュアルでピントを取り、車が通過するタイミングでM(マニュアル)モードで撮影するのが一般的です。
これを置きピンといいます。
動く被写体でもAF-S(ワンショットAF)を使うこともある
AF-C(AIサーボAF )のデメリットとしてカメラを急に動かしすぎたり、被写体の動きが不規則だとピントを外してしまうことです。
ピントを取り被写体が動く前に構図を決めてシャッターを切れる技術がのあるカメラマンはAF-S(ワンショットAF)を使用することもあります。
たとえば結婚式などは高速で被写体が動くわけではないので、被写界深度にもよりますが構図を決めて0.3秒くらいで構図を決めてシャッターを切れるならば高確率でピントがジャストにあった写真を撮ることができます。
他にも横移動の際はAF-S(ワンショットAF)、前後移動のときはAF-C(AIサーボAF )と瞬時に切り替えて撮影することもあります。
私はブライダルフォトではほとんどAF-C(AIサーボAF )は使用しませんが、構図をじっくり決めたい人や動いている被写体を撮り慣れていない人はAF-C(AIサーボAF )を使用した方が無難です。
ピントを追従させつつ自由な構図を取る方法
ニコンならば3Dトラッキング・キヤノンならばEOS iTR AFの用に被写体の追従の精度を向上させる独自機能を持っています。
色のコントラストを判断して構図を変えても自動で被写体にピントを合わせ続けてくれます。 フォーカスに関してはほぼすべてをカメラに任せっきりになるので、ピントの精度や追従機能がどこまで実用範囲なのかを把握しておくことが重要です。
色や明るさの差がない被写体では上手く作動せずに1枚もピントが取れていなかったということもありえます。
構図はゆっくりと作る
構図を作るのが上手いほどやってしまいがちなのが中央のAFエリアでピントを取ったら高速でカメラを振って構図を作るやり方。
これを3Dトラッキングなどで行うと、ピントの追従機能が追いつかず背景などの見当ハズレのエリアにピントを再取得してしまうことがあります。
ファインダーを覗きながらピントがしっかりと被写体を追っていることを確認しつつ構図を作るようにしましょう。
動く被写体を上手く取るためには一眼レフのボディの機能を理解すること
動いている被写体にピントを合わせるということだけならば、どれだけカメラの機能を理解して使いこなせるかの1点のみです。
説明書を熟読して色々な被写体で練習すれば誰にでも身につけられます。
3Dトラッキングのような被写体にピントを合わせつつ構図も取れるメーカー独自機能は一眼レフのボディにスペックやメーカーの技術特性により使い勝手が違うので、どのレベルまで実用なのかを把握しておくことが大事です。
いきなり実戦投入してもうまく撮れることはないと思います。
動いている被写体であっても、カメラからみて横移動ならばAF-C(AIサーボAF )を使わずにAF-Sで撮影したほうがピントの精度が高いこともありますので、自分の撮影技術と合わせて使い分けを行うと撮影の幅が広がります。
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