三脚を使用しての撮影は写真の基本です。しかし三脚を取り出し、脚を広げ、カメラを固定し、水平垂直を出すという作業が必要になるためフットワークが重たくなります。
スナップ写真や登山の最中で三脚を立てたいけど場所がない。このシャッタースピードなら手ブレせずにいけるかも…という中途半端なシチュエーションは誰もが経験していると思います。
そんなときに有効なテクニックをご紹介します。三脚を立てることが禁止されている場所でも有効なテクニックですが現場のマナーに則って判断して使用してください。
私は登山でよくこの三脚の使い方をします
登山用のスリングを使用する
クライミングをする人ならば誰もが使用する登攀用具のスリング。わかりやすく言うと強度があり、ちぎれにくい紐です。登攀地中に滑落しない工作をする際に使用されます。
まずこの登山用のスリングをたすき掛けします。サイズは自分の身体にピッタリのサイズを選びます。
三脚の脚をスリングに通す
こうすることで身体と三脚が密着し、手で持ち運ぶ必要がなくなるため両手を使用することができるようになります。
この三脚の持ち運びの仕方が活かされるのが登山。安全面から考えて両手は常に使えるようにしておく必要があります。そしてザックを背負いながらの行動なので、基本はザックの横に三脚をくくりつけることになります。
- ザックを下ろす
- 三脚を取り出す
- 写真撮影を行なう
- 三脚をザックに取り付ける
- ザックを背負う
この一連の動作が必要となり撮影をすること自体が億劫になる人が続出します。スリングを使った三脚の携行方法は登攀には向きませんが、平坦な場所で移動しながら撮影する場合に重宝します。
雲台に肘を乗せて手ブレを防ぐ
登山用のスリングを使用した三脚の使い方の一番重要なのがコレ。雲台に肘を載せてフォームを固定することができること。持ち運びが楽になるのはただの副産物です
短いスリングと大きめの三脚と雲台の組み合わせだとなお安定します。現在はGITZOのシステマチック三脚5型であるGT5543LSとManfrottoのギア付き雲台405を使用しています。
肘を下に押し付けると手ブレがかなり軽減され、またファインダー越しに構図が揺れることもありません。レンズに手ぶれ補正がついてないボディ内手ぶれ補正の一眼レフを使っている人は、より効果を感じることができると思います。
ザックを背負ったまま三脚を持ち運ぶこともできる
この三脚を使用した撮影方法のもうひとつのメリットは、ザックを背負ったまま手ブレがしないシステムを携行できることです。比較的傾斜がゆるい登山道で撮影スポットが多そうな場所にきたら、ザックに装着していた三脚をスリングシステムに切り替えます。
そのまま撮影しても良いし、スリングから三脚を抜き取ってしっかりと立てて撮影するもよし。
カメラホルダーやベストを着用して一眼レフを携行するとさらにパフォーマンスがあがります。私はベスト+スリングシステムの組み合わせが基本です。

三脚を装着したままザックを下ろすことができる
フォトジェニックなシーンになっても、スリングと三脚を外すことなくザックを下ろすことができます。両手を使用することができるため一眼レフを持って歩くのも楽ですし、フットワークも軽くなるのでしっかりと撮影する時のパフォーマンスも向上します。
三脚を立てずに手ブレをしない写真を撮れる
もちろん三脚をしっかりと立てて写真が撮れるに越したことはありません。しかしフィールドに出ると決め打ちで撮影する以外では臨機応変な対応が求められます。
シャターシャンスが急にきた、一段の手ぶれ補正が効かせされれば手ブレしない、手ブレの心配はないけれど構図の詰めに不安がある…そんなときにこの三脚の使い方は便利です。
スリングを複数持っておくと便利
私は細めと太めのスリングを2本携行しています。細いスリングを使えば肩へガッツリと食い込むので安定性が上がります。太めのスリングを使用すると肩への負担は減りますが滑りやすくなるため服によっては扱いづらいです。
山岳写真で稜線に出るときは低気温であり、風も強いためGORE-TEXのウエアを着ることが多くなります。その時は細めのスリングを使用した方が安定します。
カラビナを使うことで機能拡張できる
スリング+カラビナという組み合わせは撮影のパフォーマンスを向上させることができます。例えばグローブなどをループに通して持ち運んだり、レンズケースを装着することもできるようになります。
アウトドアフィールドで撮影をする人が多いカメラマンの方は登山用品とクライミング用品を組み合わせることで新しい撮影スタイルを発見することができるかもしれません。
地面に立てるだけが三脚の使い方ではない
ネイチャーフォトをしていると良い構図、シチュエーションだけれども三脚が立てられないというケースが多々あります。
例えば北アルプスの森林限界を越えた岩場。断崖絶壁なので3本の脚を広げることはできません。そんなときはセルフビレイを取り、スリングに三脚をかける。雲台に肘で押し付けて固定し、脚を1本だけ岩に押し付けるようにして固定することもあります。
私はこのような三脚使い方を多用するのですが、北アルプスの中でもこのようなスタイルを見かけたことがありませんでしたのでご紹介してみました。手持ちよりもチョットだけ固定感が欲しいシチュエーションが多い方はぜひお試しください。
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