カメラマンの私がWEB開発現場でデザイナーをやる4つの理由

カメラマンの私がデザイナーをする理由

1月から3月末まで東京の八重洲のWEB開発現場でUXデザインとSEO案件でフルコミット、加えて業務委託でLPデザインとコーディングというUX/WEBデザイナーとして働いていました。

これは私がカメラマンそして活動していくためには必要だと思っている経験です。毎年1年のうち2ヶ月くらいなのですが、今回は3ヶ月とかなり長い期間の開発となりました。

カメラマンがWEB開発をするとどのようなメリットがあるのかを私の経験からまとめてみます。

写真の仕事は「作品」と「素材」の2通りある

写真は作品と素材の2通りある

まず私が担当する撮影には大きく分けて2つ。写真そのものに販売価格がつく「作品」と、その写真を使ってクライアント・企業・メディアがプロモーションをする「素材」です。大事なのがこの「素材」の方。

遅れてのご報告になりますが、2017年3月からフリー写真素材サイトのぱくたそに写真の提供をはじめました。それに至った経緯はかなり複雑なので機会を見てぱくたそのどこかで書かせていただく予定です。

https://www.pakutaso.com/

提供している写真を分類すると、ぱくたそに掲載している写真は基本的に「素材」になります。山の写真に関しては一点突破型の「作品」に近いです。こちらは多くの人に山を好きになって欲しいという私のわがままで掲載してもらっています。

この素材としての写真の扱い方、需要やトレンドをキャッチアップするために毎年WEB制作現場にアサインしています。

多くの写真はプロモーションと組み合わせて価値が出る

写真を使用したプロモーション
【ぱくたそ】URL:https://www.pakutaso.com/event.html

カメラマンはWEBマーケティングができないと仕事が失くなるのではないかにも書かせていただきましたが、多くのクライアントにとって写真は素材であり、プロモーションツールです。写真を撮ることが目的ではなく、撮った写真で利益を出すことが目的です。

その中で現在の露出のメインはWEBです。コンテンツマーケティングを仕掛けたり、掲載料を支払いメディアに載せるといった方法が取られます。

そういう背景があることから、私は定期的WEBデザインやサービスの最前線に入りトレンドや最新技術のキャッチアップを行なっています。

どのような写真が使われるとコンバージョンが高くなるのか、メディアに掲載されている写真の品質が低いときはなぜなのか、自分ならどのようにしてこれを改善しするか、など色々なインプットを行なうことができます。

現状のWEBの課題、求められているスキル、ウィークポイントを知ること。これが私が定期的にWEB開発現場にアサインしてUXデザインやディレクションをする最大の理由です。

ここから少し深く掘り下げて、どのようにしてそのような結論になるのかを4つの理由から説明します。

【理由1】素材としての写真は多くの人に見られないと意味がない

ぱくたそに専門の山岳写真以外の写真などを掲載しています。

https://www.pakutaso.com/yamasha.html

山の写真はとりあえず置いておいて、料理写真や温泉の撮影技術に関しては私はこのレベルです。

専門分野を山岳写真 / ネイチャーフォトと決めていて特化するような勉強と仕事をしてきたので、他分野に関しては同額の料金をいただけるクオリティには至っていないという判断をしています。

私よりも上手く撮れるカメラマンはたくさんいらっしゃるので私に気を遣う必要はないのですが、ありがたいこと定期的にお仕事のお話をいただきます。

そのご要望にお応えするために撮影した写真と、所持しているWEBスキルと組みわせてプロモーションにつながるような施策を提案するようにしています。

料理写真の品質

例えばこの写真、
これが料理写真としてどのレベルにあるのかとは関係なく、このままではクライアントは写真撮影に対する費用を回収することは難しいです。

なぜかというと誰にも見られないから。
地方の観光協会のWEBサイトや旅館のWEBサイト・メディアは100PV/日いけばいいのが現実です。

このような背景から撮影したクライアントの写真をいかにして拡散させるか、どうやって多くの人に知ってもらい、行動へと変えていくかのWEBプロモーションの技術が必要になります。

ぱくたそに写真を掲載した理由がこの露出経路の確保です。

写真を多くの人に見てもらうことを目的にするならば、やるべきことは1つ。自分がWEBマーケティングの最前線で戦える技術と経験を身につけること、また困ったときに頼れる人脈を作ることです。

これが私が東京のWEB開発現場に定期的に入る理由の1つ目です。

【理由2】WEB業界を俯瞰できる立場になる必要がある

写真の使われ方を俯瞰してみることが必要

現在は地方であったり海外の特定の地域にスポットを当てて活動をすることが多いですが、一番大事だと感じているのがその分野のWEB業界を作っている企業やサービスの内部を理解することです。

特に地方は自社でプロモーションできる技術や体力のある地域が少ないため、どこかしらのプラットフォームに依存する傾向が強く悪循環の流れに入ると搾取の対象となります。

メディアやプラットフォームを作る側での立場の視点、地方の中に入りプロモーションをかける視点の両方を持っていないと間違った方向に進む可能性が高くなると感じています。

これが私が東京のWEB開発現場に定期的に入る理由の2つ目です。

【理由3】大手WEB事業の予算の使い方を知る

WEBサービスの開発予算を知ることができる

マーケティングやプロモーションに関しては中小企業のクライアントであれば個人で請け負うことも可能だと思います。あえて大企業の中でWEB開発するのにも理由があります。それが予算です。

1つのプロジェクトで数億円の予算が投入されるケースだと、成果物であるWEBサービスにどのくらいの人員・予算・工数がかかり、そのPR手法も経験のない人では想像がつかないような複雑なものになります。

それをひとつひとつ紐解いて消化します。そうすることで大手企業のプロモーションにアサインしても、カメラマンとして自分が何をするべきなのか、どうすればより売上を出すことができするのかを考える事ができるようになります。

企業案件にアサインするとき、自分で事業を立ち上げるとき、特定の地域で大きいプロモーションを仕掛けるときにこの経験は強みになります。特に地方創生の分野のWEBで戦うのであれば必須条件とすら思っています。

これが私が東京のWEB開発現場に定期的に入る理由の3つ目です。

【理由4】自分の市場価値を知るバロメーターになる

自分の市場価値を知ることができる

私のような職種の場合は地方だと単価が安く海外だと過剰に評価される傾向があります。デザイン職だと稼げる可能性が高い海外で頑張る人も多いですね。

カメラマンというのは杓子定規に料金設定をするのが難しい職業です。クライアントが求めるクオリティの撮影によっては拘束時間が長くなり単価が高くなってしまうこともありますし、必要経費がかさむ事もあります。

そういうことから大手企業の開発現場から来る依頼の「仕事の難易度」「拘束時間」の要望に対していくらの報酬が提示されるのかを定期的にチェックするようにしています。

WEB開発案件の中にカメラマンという職種はありませんので、ここでは私のWEBディレクター・デザイナー・UXデザイナーとしての評価になります。

しかし中に入ってからは撮影にどのくらいの予算をかけていて、どのレベルの人に発注し、いくらの報酬を支払ったのかが分かるので、カメラマンとして元の生活に戻ったとき、同じような内容の依頼が来たときに提示する料金の参考にすることができます。

これが私が東京のWEB開発現場に定期的に入る理由の4つ目です。

写真技術だけを追い求めるのはカメラマンの1つの道に過ぎない

技術の追求は選択肢の1つ

いい写真を撮るために勉強したり、たくさん撮影したりすることはモチベーションを維持できますし、何よりも楽しいです。

しかし写真を撮ることを仕事にしようとすると作品としての写真よりも素材としての写真の方が需要があります。そして素材としての写真が撮れても人に見られなければ意味がない。

激戦区のWEBでいい写真を露出させてクライアントの売上をあげることは容易なことではありません。

その写真を上手く使うためにディレクターやコンサルティングがいるという意見もありますが、これには前提条件があります。

写真に関していうと業務レベルでの写真撮影ができる技術を持っていない人のディレクションよりも写真が撮れる人の方が指示が的確です。撮影経験がないとどうしても要件もふわふわしていてこちらが要件を詰めなければならないことが多くなります。

逆にWEBのことを知らないカメラマンがWEB開発のディレクターやコンサルとコミュニケーションを取ることも難しいです。

衝突する撮影とディレクションと開発を最低レベルであるにせよ1人で業務としてこなせるレベルを維持することで、精度の高い成果物を出すことができると思っています。

結果として1人のカメラマンとして仕事をする時、ディレクターやデザイナーとのフォトディレクションが円滑に進みいい仕事ができるようになりますし、企業からはそういうことができるカメラマンとして認知されます。

このように写真を「作品」として扱うことから「素材」にシフトさせるとカメラマンとして仕事を増やすためのチャンスは広がっていくと思います。

私は専門である山岳写真は作品としてのこだわりがありますが、他の分野の撮影に関してはクライアントが望む「素材」にすることに抵抗はありません。みんなが喜んでくれるのが一番です。

最初から色々なことに手を出すのはやめた方がいい

最初から多くのことには手を出さない

時代のニーズに合うように写真とWEBを組み合わせていくのが「素材」としての私の写真への向き合い方ですが、最初からこれをやろうとすると「何もできない人」になってしまう可能性が高いです。

特に若い方は競合との差別化をしてオリジナリティを出したくなると思います。しかし最低でも自分の専門分野でしっかりと生活ができるようになるまでは1つの企業、1つの分野、1つのプロジェクトに全力で取り掛かるべきだと思います。これはカメラマンだけでなく、すべての分野で言えるかもしれません。

カメラマンという職業はフリーランスとして活動する、せざるを得ないことがたくさんあります。そのときに自身のスキル以外の部分である、礼儀、マナー、振る舞いなどの社会人としての常識が欠落していることで仕事が貰えない人をたくさん見てきています。

個人メディアのトップランナーgori.meのg.O.R.iさんが力説する「フリーランスになるなら会社員経験はしておいたほうがいい」という意見には大賛成です。フリーになったばかりのときに数少ないチャンスを掴んで行くためには大事なことです。

https://gori.me/blog/95006

まずは1つのことに注力して実力をつける。その上でプラスアルファのスキルとしてクライアントのゴールを共有し写真から始まるソリューションとしてWEBがあったりデザインスキルを身につけるべきだと実感しています。

若く経験の浅いうちは業務横断することはできませんし、本人が色々な面で全力を出している認識であっても経験者から見れば中身が薄い「手を抜いた成果物」という評価を下されやすいです。逆に失敗したとしても1つのことに打ち込んでいると普段の態度でわかるようであれば周りはフォローしてくれます。

写真撮影を仕事にしたいなら堅実な選択肢の1つ

一通りの撮影技術があることが大前提ですが、その上で受注できる範囲を広げるためにWEBに強くなるのはカメラマンとしては堅実な一手だと思います。

いきなり大手のWEB開発現場の最前線でデザインやディレクションをすることは難しいと思いますが、WEBに携わっていけばそういう機会もあるでしょう。

私は写真撮影をしているときにデザインやディレクションをやってよかったなーと思うことが多いので、これからも定期的にWEB開発の現場に入ってトレンドをキャッチアップしていこうと思います。

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