仕事で厳冬期上高地に撮影に入った時に装備を公開します。エクストリーム志向で冬山に大量の撮影機材を持ち込む方、冬山登山初心者の装備選びの参考になるかもしれません。特に冬にオススメのアイテムを詳しくご紹介します。
しかし冬山はどんな山でも甘く見ると死亡事故につながります。上高地でもマイナス20℃あたりまで気温が下がるので十分危険です。初心者の方はこの記事を鵜呑みにせずに必ず経験者と一緒に入山してください。
撮影機材
撮影機材
- ボディ:Nikon D4s
- レンズ:Nikon AF-S 14-24mm F2.8
- レンズ:Nikon AF-S 24-70mm F2.8
- レンズ:Nikon AF-S 70-200mm F2.8
- レンズ:Nikon AI AF-S TELECONVERTER TC-17E II
- フィルター:Kendo Zéta ワイドバンド C-PL
- レリーズ:Nikon リモートコード MC-30A
- レリーズ:Nikon ワイヤレスリモートコントローラーセット WR-10
- 三脚:Velbon El Carmagne 645
- カメラケース:ロープロ トップローダープロAW 70
- 備品ポーチ:MAMMUT ADD-ON POCKET
- D4s交換バッテリー
- モバイルバッテリー
Nikon D4s
極地の撮影には絶対の信頼をおいているNikonのフラッグシップモデル。まず壊れない。低画素故に画質もよく、レタッチ耐性も高いのが魅力。私の撮影スタイルではネイチャーフォトはD4sの一択です。ロープロ トップローダープロAW70に24-70mm F2.8を付けて収納します。
厳冬期ではバッテリーの消費が激しいので交換バッテリーを2つ持って行きます。
レンズ:14-24mm 24-70mm 70-200mm F2.8
通称「大三元」と呼ばれるレンズです。仕事として写真を撮るならこのレンズが基準の品質になります。悪条件でも対応できるズーム倍率は3倍までが限界です。事前調査で撮る構図が決まっていればそれに合わせた単焦点を持って行きます。
厳冬期は密封性の高いケースはレンズを壊しやすくするので、通気性のあるメーカー純正のものが一番使いやすいです。雨なんて絶対降らないので水対策は不要です。
アクセサリー
テレコンバーターを1本、レリーズを2つ持って行きます。バッテリーに余裕があれば無線レリーズを使用し、不安なら有線にします。PLフィルターを入れるポーチはMAMMUTのものを使用しています。程々のクッション性があり便利なアイテムです。モバイルバッテリーはアウトドア用の堅牢なものを使っています。緊急時にはライトにもなる7500mAhのものです。
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三脚
Velbonのカーボン三脚 El Carmagne 645を使用しています。もう10年くらい使っています。登山に持っていく三脚として非常にバランスが良く、剛性と軽量化のいいところをついています。
現行のモデルならGeo Carmagne E645M IIになります。
厳冬期撮影の注意
ザックの中というのは背中の体温が広がるので意外に暖かく、マイナス20℃以下のところでいきなりレンズを出すと結露した水分が一気に凍ってフォーカスリングが動かなくなります。よってピントがまったく合わせられなくなります。
ザックを下ろす>数分放置>レンズケースをザックから出す>数分放置>カメラに装着。このように徐々にレンズを冷やしていくことが必要です。夜間の撮影はテントの中でレンズを出し、徐々に冷やしていくのがオススメです。
登山用具
主な登山用品
- ザック:MAMMUT Heron Pro 85+15L
- テント:エスパース デュオX
- シュラフ:ナンガ AURORA 750SPDX
- マット:サーマレスト Neo Air Xlite
- ヘッドライト:MAMMUT X-SHOT
- ランタン:Black Diamond Orbit
- ストック:Black Diamond トレイルショック
- スノーシュー:MRS ライトニングアッセント
- ショベル:MAMMUT アリゲータープロ
- ストーブ:ジェットボイルZIP
- ストーブ:イワタプリムス P-153
- ガス:イワタニプリムス ウルトラガス IP-250U
- ライター:ソト(SOTO) ポケトーチ
- クッカー:snow peak Treck1500
- マグ:snow peak チタンシングルマグ 450 MG-043R
- ハイドレーション:Platypus ビッグジップSL 2.0L
- GPS: Garmin GPSMAP62SCJ
- カラビナ×2 スリング×2
ザック MAMMUT Heron Pro 85+15L
撮影機材を詰め込むときはいつもこのザックを利用しています旧型のHeron Pro、MAMMUTザックの傑作です。現在は大型ザックの開発を中止していて、日本での販売はしない方向らしいので大切に扱います。
2気室で使いやすい構造でベルトの位置などを微調整できるザックで超重量を背負って身体のあちこちに負担がかかたら、ベルトの位置を替えたりして負荷がかかる場所を変えることができます。
テント エスパースデュオX
なぜかネパールで認知度の高いメーカー。マカルーに初めて持って行ったときに強風に耐える頑丈さが分かり、それからずっと愛用しています。少し重いのですが第一に頑丈であること、次に室内の高さがあることで快適性があること。
撮影機材が多く、テントの中での作業が多いことから、2人用のものを使用しています。
雪の上に迂闊にペグダウンすると朝になって雪が凍って抜けなくなるケースがあるので注意してください。
シュラフ NANAGA AURORA 750SPDX
永久保証を謳う日本のシュラフメーカーです。最近は防寒具も作っていますね。AURORAシリーズはシュラフカバーが必要ないように表面がコーティングされているモデルです。外側は若干ガサガサしますが、中にはいってしまえば気になりません。
しかしダウンシュラフなのでやはり結露によって保温性は著しく落ちます。3日使うのは厳しいでしょう。新しく買うならfinetrackのポリゴンネスト(化繊)のシュラフですね。
マット サーマレスト Neo Air Xlite
マット界のロールスロイス、サーマレストです。冬はエアー式のマットをオススメします。空気が断熱材となり背中が冷えないからです。このサーマレストのNeo Airシリーズはマットの中に銀色の断熱シートが入っていて背中の体温がそのまま跳ね返り温めてくれます。
スノーシュー MRS ライトニングアッセント
重量があるので小さいスノーシューだと雪を踏み抜いてしまいます。上高地だと河童橋より先に人が入ることはまずないので、小梨平や徳沢・常念岳方面を目指す人は大きめのスノーシューが必要になります。
ショベル MAMMUT アリゲータープロ
雪上にテントを設置するのに少し掘り起こして地面を固めたりする作業が必要ですので、ショベルがあった方が便利です。ザックの右側につけて持って行きます。
カラビナとスリング
テントの中にグローブなどの小物を吊るしたり、晴れた昼にシュラフやマットをテントにくくり付けて干したりするのに便利なもの。クライミングをしない人でも使い方を覚えると便利です。
ウェア
「そんな装備で大丈夫か?」厳冬期の山では装備を間違えると命に関わりますのでしっかりと調べて必要なものを調達しましょう。個人的意見ですが、金で解決できるものならケチらずにいいものを買うことをおすすめしています。「いちばんいいやつを頼む」の精神です。
ウェア
- ハードシェル上:MAMMUT Nordwand Pro Jacket
- ハードシェル下:MAMMUT GORE-TEX Quantum Stretch Pants
- フリース:MAMMUT Yadkin Jacket
- 速乾シャツ:MAMMUT MOENCH LONGSLEEVE
- ドライレイヤー:finetrack スキンメッシュ
- パンツ:MAMMUT PORDOI PANTS
- インナーパンツ:CX-W GENERATOR
- 防寒具:The North Face マクマードパーカ
- 防寒具:MAMMUT Broad Peak II Jacket
- 防寒具:Magiqueマウンテン ダウンパンツ
- フェイスマスク:MAMMUT Fleece Neck Gaiter
- グローブ:MAMMUT Shelter Mars Windstopper Gloves
- 靴下:finetrack メリノスピンソックス EXPロング
- ゲーター:MAMMUT GORE-TEX Gaiter
- ブーツ:MAMMUT Mamook GTX
ハードシェル MAMMUT Nordwand Pro Jacket
厳冬期は基本的にハードシェルを着たままの行動になります。ダウンジャケットを中に来ていても風邪が吹くと体温をごっそりと奪われるからです。ハードシェルの中に薄手のダウンを着るかフリースを着るかは運動強度によります。
ハードシェル MAMMUT GORE-TEX Quantum Stretch Pants
GORE-TEX3レイヤープロシェルのストレッチ素材を使用したパンツ。MAMMUTらしい細い作りで身体にフィットします。機能性と運動性のバランスがよく、これ1つでほぼすべての雪山に対応できる汎用性の高いシェルパンツです。左に入ってる青いロゴはMAMMUTさんに入れてもらったものです。コラボアイテム?になるのでしょうか。
速乾シャツ MAMMUT MOENCH LONGSLEEVE
冬は長袖のポーラテック素材がおすすめです。速乾性もあり程々の保温性もあります。夏もそうですが汗が付着するウェアは基本的にピッチピチのものでないと発汗できないので、ゆるゆるのものは避けましょう。
ドライレイヤー
コレなしでは登山する気にはならなくなるほど常識を覆したアイテムです。finetrackすごい。体力と体温を奪っていくのは自分の身体から出た汗によることが多く、ドライレイヤーはその汗を外にだして中にはいれないためのウエアです。厳冬期ほどその有能性を体感できます。
防寒具: The North Face マクマードパーカ
写真撮影用の防寒具。真夜中にタイムラプスを数時間撮ると普通の登山用の防寒具だと対応できなくなります。ポケットの中に撮影用のアクセサリーをたくさん入れられたり、ボアが入っていて素手でも暖かかったりと便利な機能が多いウェアです。ただ重い。
普通に収納したのではザックの中に入らないので、生地が硬いスタッフバッグに無理やり詰めてザックのボトム部分に外付けにします。
撮影用の防寒具を買うのでしたらヒマラヤンパーカーをおすすめします。私は極地撮影の仕事で最初に支給された思い出もあってかこのマクマードパーカを使用することが多いです。
防寒具:MAMMUT Broad Peak II Jacket
行動中の防寒具でハードシェルの下に着ます。そのためにフードがないモデルをつかっています。750フィルとそこそこのダウンを使用しています。東京の冬ならTシャツの上にこのジャケットを羽織るだけで過ごせますね。
フェイスマスク:MAMMUT Fleece Neck Gaiter
これを使用していないと、風吹かれると唇がたいへんなことになります。そう、大変なことになります。ご飯とか食べれなくなります。
グローブ:MAMMUT Shelter Mars Windstopper Gloves
シャッターは素手でシャッターを推したり、レリーズを切ったりするので、指が出せるブローブは便利です。稜線に出ない上冬の高地での撮影なら中綿入りのグローブは必要ありません。このレベルのもので十分です。一応インナーグローブもあると精神的に安心できます。
ブーツ:MAMMUT Mamook GTX
冬の上高地に単独でテント泊なら靴は吟味すべきです。万が一靴の中に浸水したら指が壊死します。冬山対応のブーツは必需品です。私の使っているモデルは日本ではあまり流通していないモデルです。このレベルの靴になるとMAMMUTだとMAGIC PEAK HIGH GTXあたりでしょうか。
食事類
機材とギアですでにザックがパンパンなので食事はこだわりません。栄養補給できればそれでいいです。しかし上高地なのでそれほどの熱量食も必要ありません。基本はカップラーメン。カロリー補給にスニッカーズです。
食事
- ボトル:Platypusソフトボトル2L
- スニッカーズ
- カップラーメン
- ココア
- 珈琲
- ナッツとドライフルーツ
Platypusソフトボトル2L
水はテント近くの雪を溶かせばいいので必需品ではありません。どちらかというとザックに詰め込んだ撮影機材の緩衝材としての役割が大きいです。
熱量食 スニッカーズ
私はスニッカーズ系のチョコバーを冬は好んで食べます。夏はチョコが溶けて大変なことになりますが冬はそういった心配がありません。これの一番の利点は夜中にお腹が減ったときシュラフの中で食べられることです。同様にハイドレーションも寝ながら水分補給できるので、どんな季節にも必須アイテムです。
食事 カップラーメン
厳冬期の山の中で食べるラーメンはなんであんなに美味しいんでしょうね。ジャンクな味なほど美味しい気がします。私はトムヤムクンヌードルと欧風チーズカレー、トマチリヌードルの3つは必ず持って行きます。
ココア・コーヒー
必要なものではありませんがロマンの問題です。コーヒーはインスタントはやっぱり味気がないです。安くてもいいのでドリップ式にこだわっています。穂高と星見ながら飲むコーヒーは最高です。
携行食 ナッツとドライフルーツ
ナルゲンボトルの中に入れてMAMMUTのボトルホルダーをウエストベルトに装着して傾向します。厳冬期の上高地は釜トンネルからかなり歩く必要があるので、それなりにお腹がへります。
その他
その他
- ティッシュ
- コンパス
- ホイッスル
- 紙地図
あとは状況に応じて小物を増やしていきます。冬の上高地だとこのような撮影機材と登山用具を揃えます。危ない箇所がないので、アックスやガチャ系は必要ありません。まだまだ余裕で背負えます。
重量?それは聞いてはいけない。
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