FUJIFILM X-H1のネイチャーフォト実写レビュー。山岳写真で使えるミラーレス一眼なのか

FUJIFILM X-H1

防塵防滴耐低気温のミラーレス一眼FUJIFILM X-H1。過酷な環境で撮影することの多い私としては現行のミラーレス一眼の中で唯一心惹かれたカメラ。

カタログスペックを見る限りは極地での山岳写真、ネイチャーフォトのサブ機として限りなく理想に近いボディです。プロユースを謳う富士フィルムのフラッグシップ機が実際のプロ用途でどのくらいの実用性があるのか気になり購入しました。

唯一の懸念点は操作性やバッテリー、そして画質が仕事で使えるレベルで完成されているかという点。一般的なネイチャーフォト運用で問題があるなら山岳写真では使い物にならないためみっちり検証しました。

合わせて購入したフジノンレンズ XF16-55mmF2.8 R LM WRとバッテリーグリップVPB-XH1の運用方法も含めた実写レビューです。写真でご飯を食べてるフォトグラファー視点プラス比較対象がNikon D4Sなので少し辛口です。

外観

FUJIFILM X-H1

今までの富士フィルムのボディに比べてブリップが前に出ていてるためカメラとしての機能性が向上しています。その分重たくなっているため良し悪しの評価は人それぞれですが、仕事で写真を撮る私としては購入理由にしたほど高評価です。

カメラは単純に軽くて小さければ良いとは考えておらずボディとレンズとのバランス、そして仕事で使うプロユースのものであるならば堅牢性も必要です。25%厚みを増したマグネシウム合金のX-H1は必要最低限の重量アップでプロが仕事で使えるボディにきっちり仕上げてきた印象を持ちました。

その恩恵もあり、XF16-55mmF2.8 R LM WRとのバランスはよくバッテリーグリップなしでも最適なホールド感を得ることができます。

X-H1の背面

操作は上部のダイヤルとボタンで行います。ファンクションキーを押しながらメニューボタンの上下左右のボタンを押すことで色々な設定にアクセスすることができるため、個別最適化の自由度は高いです。

バッテリーグリップを装着したX-H1

メイン機でNikon D4Sを長年使っていることもあり、バッテリーグリップVPB-XH1を装着するとホールド感は慣れ親しんだものとなり安定感はより向上します。スナップ重視のX-H1単体モード、本格的撮影のためのバッテリーグリップモードと切り替えて使用できます。

特に山岳写真においては登攀中に携行するボディは小さいものが理想ですから普段は単体で持ち歩き、稜線に出てからバッテリーグリップをつけるという運用方法ができるとしたら魅力的です。

スペック

FUJIFILM X-H1
有効画素数 2,430万画素
撮像素子 APS-C(23.5mm×15.6mm)
手ブレ補正 5.5段ボディ内手ブレ補正
連写 14コマ/秒(電子シャッター)
11コマ/秒(VPB-XH1装着)
8コマ/秒
ファインダー 0.5型有機EL
約369万ドット
視野率約100%
ファインダー倍率 0.75倍
動作環境 -10℃~+40℃
撮影時質量 673g

X-H1はFUJIFILM初のボディ内手ぶれ補正が搭載されています。5.5段分のセンサーシフト方式5軸補正なので、55mm(フルサイズ換算82.5mm)でもシャッタースピードは1/10秒なら実用範囲内です。

X-H1の登場により画質は良くても手ぶれ補正がついてないことから避けられがちであったXF16-55mmF2.8 R LM WRなどのレンズが使いやすくなりました。

画質

富士フィルムのミラーレス一眼といえばX-Trans CMOSというAPS-Cセンサー。近年発売されたミラーレスはこのX-Trans CMOSⅢと画像処理エンジンX-Processor Proの組み合わせになっており、最軽量モデルのX-E3からフラッグシップモデルのX-H1まで基本的な画質は同じです。

そしてFUJIFILMが長年のフィルム製造技術を培った経験から作ったフィルムシミュレーション。豊富なプリセットを楽しむことができ、撮って出しのJPEGの完成度は他社の追随を許さないため、これを富士フィルムのミラーレス一眼を買う理由にあげる人も多くいます。

FUJIFILMのフィルムシミュレーション

PROVIA、Velvia、ASTIAなどフィルムを扱う人にはとても魅力的なラインナップ。そしてX-H1からは超低彩度でシャドウトーンの豊かさを表現するETERNA(エテルナ)が搭載されました。

RAWで撮影してもLightroomでプロファイルを読み込ませることでFUJIのフィルムの色を再現できるため、好みのフィルムの色を反映させてからレタッチできる強みがあります。

APS-Cサイズのセンサーとフィルムシミュレーションの組み合わせでどこまで実用なのか。フィールドに出て撮影して確認しました。

X-H1で撮影した作例

X-H1 Velviaでの渓谷の撮影

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 10秒 | F8 | ISO100

ND16フィルターを使用しフィルムシミュレーションVelviaで撮影した渓谷。彩度が強いモードですがやりすぎ感が出ることなく記憶色からのアプローチには最適なフィルムです。コントラストも強くシャドウが潰れる傾向があるため露出をアンダーにして写真を撮るときは注意が必要です。

作例の写真もLightroomでシャドウを少し持ち上げています。

森の中の光芒

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/40秒 | F8 | ISO640

5.5段の手ぶれ補正があるので55mm(82.5mm換算)でも1/40秒のシャッタースピードを安心して使うことができます。

XF16-55mmの逆光耐性

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/80秒 | F18 | ISO400

XF18-55mmの光条の出方

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/300秒 | F16 | ISO400

XF16-55mmF2.8 R LM WRは逆光耐性も良く、光条もきれいに出ます。流石にF16以上絞ると回折現象が起きて像がゆるくなってきますが実用の範囲内と捉えています。

X-H1とXF16-55mmの遠景の解像感

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/2500秒 | F4 | ISO200

開放だと光量落ちが気になるレンズですがF4まで絞れば解消します。FUJIFILMの出す色と高原の緑や黄色は相性がとてもよく、VelviaかASTIAを当てればだいたい「いい感じ」に仕上げてくれます。つまりエモい。

70mm領域での解像感

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/640秒 | F7.1 | ISO200

センサーとレンズ性能が如実にで出る作例ですが、しっかり解像しています。この点に関しては期待をしていなかったのですがレンズをAPS-C専用設計にしているせいなのか、思いの外カリカリな画を出してくれます。

X-H1での星の撮影

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 6.5秒 | F2.8 | ISO6400

センサーサイズの問題もあり暗所でISO感度6400以上を使用して撮影したものはレタッチ耐性は皆無と考えたほうがよいです。星を撮る場合はISO3200を上限にして明るいレンズを使用しないとシャッタースピードの確保と画質の両立が厳しくなりそうです。

星を点で撮るためにシャッタースピードを上げるという撮影手法はフルサイズに軍配が上がると思います。

長時間露光

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 30秒 | F4 | ISO400

暗所での高感度は決して褒められたものではないのですが、逆に低感度での長時間露光では素晴らしい色を出してきます。Velviaの青は独特の深さがあります。FUJIFILMの考える記憶色の中での青はマゼンダを若干入れ込んでいるみたいです。たしかにエモい。

朝焼け

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/200秒 | F8 | ISO400

Velviaの青

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/500秒 | F8 | ISO400

VelviaのJPEG撮って出しの2枚。レタッチなしでこの写真を出せるのはFUJIFILMだけな気がします。Nikonのそれはもうそっけない感じですし…。視認しやすいEVFと露出補正、AEロックが使いやすいX-H1ならスナップ感覚で撮ることができます。

このあたりはX-E3にはないカメラとしての完成度の高さの恩恵によるものです。

フィルムシミュレーションETERNA(エテルナ)

エテルナの作例

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/3000秒 | F4 | ISO200

フィルムシミュレーションETERNA

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/500秒 | F8 | ISO400

光が溢れているシーンやハレーションを上手く使って牧歌的な空気感を作ったり、シャドウトーンの粘りを楽しみたいシーンで活躍しそうなフィルムシミュレーション。

とても階調が柔らかいので真夏の山の霞などを表現に向いていると感じました。この色調は未経験なので今夏で色々と試してみたいと思っています。

画質には満足。けれど誤魔化しがきかない

カメラとレンズの評価基準は解像・高感度耐性・発色…色々なものがありますが、仕事で写真を撮る立場からするとクライアントに自信を持って納品できるかに尽きます。その立ち位置からの評価だと十二分に満足。

けれどもやはりAPS-Cのサイズなのでレタッチ耐性はフルサイズには及びません。具体的には撮影した時点で露出はプラスマイナス1EV以内のズレで収めておかないと使い物にならない可能性が高いです。

アンダー目に撮影しておき、あとでレタッチで持ち上げるという考えで撮影する方法もありますが、それをこのカメラで行うと痛い目を見ることがありそうです。FUJIFILMのカメラは狙った露出できっちり撮るという撮影技術の初歩、使う側の技量が求められるボディです。

パノラマ撮影

美ヶ原のパノラマ

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/220秒 | F8 | ISO640

霧ヶ峰のパノラマ

XF16-55mmF2.8 R LM WR / | 1/900秒 | F8 | ISO400

撮影モードをパノラマにして身体を中心にして半円を描くようにカメラを移動させると簡単にパノラマ撮影ができます。RAWでは撮影できずJPEGの撮って出しになりますのでFUJIFILMのフィルムシミュレーションの強みが出るシステムです。

最近山岳写真を教えることが多くなってきたのでこういった広角パノラマを撮影してどこをどう切り取るのかなどの実践的な技術をまとめるのに重宝しています。

現在執筆している山岳写真技術noteの無料追加記事にもX-H1で撮影したパノラマからどこをどう切り取るのか、構図を作るためにどのようにアプローチしていくのかの説明をする予定です。

操作性

X-H1のダイヤル操作

さすがはフラッグシップ機ということもあり撮影に関する設定のほぼ全てをダイヤル操作で行うことができます。

  • シャッタースピード
  • ISO感度
  • AEロック
  • AF-ON
  • AFモード(AF-S / AF-C / M)
  • ドライブモード(ブラケット・連写・パノラマ・など)
  • 測光モード

一眼レフのフラッグシップ機と同等の操作性能を小さいボディに詰め込んでいます。慣れれば違和感なく操作することができますが、気になった点はISO感度とシャッタースピードダイヤルのヒューマンエラー。

コットンキャリアのストラップショットに装着し山に入りスナップを行おうと高確率でダイヤルが変更されてしまいます。

露出をマニュアルにしているときは気づきますが絞り優先で枚数を撮ることを重視しているとISO200で撮っているはずが実はISO3200になっていたということがありました。

ダイヤルロック機能があるので設定を変えたときに毎回ボタンを押し込みロックしておけば回避できますが、もう少しダイヤルを固く設定して欲しかったです。

チルト式液晶モニター

チルト式背面液晶

ハイアングル・ローアングルで撮影するときにします。タッチパネルになっているためデフォルト設定ではタッチでオートフォーカスが動きますが、ファンダーを除くと鼻がモニタにあたりフォーカスポイントが移動してしまうため、タッチパネル機能をオフにしています。

画面端をタップすることで簡単にタッチパネル機能をONにすることができるので使い勝手が悪くなるということはありません。

縦位置対応のチルト液晶

カメラは縦位置だと手ブレをしてしまうことが多いため、X-H1のモニタの縦位置対応は撮影ポジションだけではなく手ブレ対策としても機能します。

サブ液晶

X-H1のサブ液晶

X-H1は複雑な設定をボディのダイヤルで行うことができる分、使い込こむと現在の設定がわからなくなりがちです。その際はサブ液晶を確認すると設定のすべてを確認することができます。

ダイヤル設定でヒューマンエラーが出やすいので、撮影をする前に一度確認する癖をつけておくと間違った設定で撮影してしまうこともなくなります。

Nikonライクな撮影設定にする

X-H1は露出の組み合わせをある程度カスタマイズすることができます。メインのNikon機と操作性を近づけるために設定を変更しています。

絞り設定をフロントダイヤルする

フロントダイヤルをF値設定に変更する

X-H1のデフォルト設定ではF値はレンズ側の絞りリングを回して行います。対してNioknの最新のレンズはグリップにあるフロントダイヤルを回すことでF値を変更します。

X-H1のボディサイズやシステムから考えるとレンズに付いている絞りリングを回した方が操作性はいいのですが、ボディに表示されるF値に時間差があります。一気にF値をいじると自分の設定したい数値が表示されるまでタイムラグがあります。

これがストレスになるため、グリップのフロントダイヤルを回すとF値が変更されるようにカスタマイズします。これはNikonシステムになるため私にとっては馴染みのある操作性です。

少しわかりづらい設計ですが、fnキー(露出補正ボタン)を押しながらフロントダイヤルを押し込むことで操作の対象を【F値】【プログラムシフト】【ISO感度】と変更することができます。

素手の場合はレンズの絞りリングを回したほうが操作の一体感が出るためこちらの方がおすすめです。しかしグローブを着用したときのことを考えるとダイヤル操作をしても手に感触が伝わらないため、厳冬期での操作に慣れるためにあえてフロントダイヤルを回して画面に表示される数値だけを見るようにしています。

フロントダイヤルでF値を変更する絞り優先モード

絞りをAに変更する

FUJIFILM XF16-55mmF2.8 R LM WRの場合は手前の絞りリングを回してF22の先にある【A】に合わせます。そしてシャッタースピードのダイヤルを【A】にします。

この時フロントダイヤルの設定がF値に設定されていれば絞り優先モードとなり、Nikonと同じ操作にすることができます。

この設定を行っておくとNikonのボディとかなり似た操作性になるので、ニコンユーザーとX−H1は相性がとても良いと言えます。

ネイチャーフォトのスナップで使用してる設定

  • 絞り優先モード
  • ISO感度オート
  • シャッタースピード下限設定

FUJIFILMのカメラはどう考えてもフルマニュアルで使いやすいように設計されています。じっくり設定を詰めて最高の1枚を撮るなら確実にMモードなのですが、被写界深度だけコントロールしてあとは自動にしたいシチュエーションも多くあります。その時の設定です。

シャッタースピードの最低速度を設定しておけば、それよりも低速にならないようにISO感度が自動であがります。山岳写真でも本格的な撮影をする前のスナップやロケハンなどではこの設定を愛用しています。

バッテリー1つで300枚撮影の不安

X-H1最大の不満点がバッテリー。躯体を大きくしてプロユースのフラッグシップボディであるのにミニマム設計X-E3と同じNP-W126Sです。

撮影したら電源を落とす運用方法でRAW+FINE(JPEG)で撮影すると約300回のシャッターでバッテリーが尽きます。
お世辞にも持ちがいいとは言えません。

プロユースになるほど様々な理由でバッテリー交換の機会がなくなっていきます。それなのにお散歩カメラであるX-E3と同じバッテリー…。

明らかに極地で撮影することを意識して作られているプロモーション映像がたくさんあるのにどうしてそのバッテリー容量に落ち着いたのかまったく理解できません。プロからどんなフィードバックもらってるんだろう…。

もちろん事前に知っていた情報ではあるのですが、多くのプロからのフィードバックの元に開発されたとストーリーに書いてあったので実際の運用ではそんなに困ることないのかな?と期待していたのですが悪い方向に裏切られました。

ネイチャーフォトのスチールでのスナップでも2時間持たないことがあるので、動画をしたり連写を多用するとすぐにバッテリーがなくなりそうです。

仮にX-H1をメイン機にするとした場合、Nikon D4Sと同じ様に扱うとしたら1回の3泊4日の山行で15個のバッテリーを持っていかなければなりません。

ここはGFXのバッテリーを積むなり新設計のものを採用するなりしてくれると嬉しかった。

バッテリーを意識した撮影手法が必要

メイン機であるNikon D4Sでは3個のバッテリーで3000〜6000枚近く撮影撮影できます。そこで多用する撮影方法が絞り優先ブラケット。カメラによる適正露出・+1EV・−1EVの3枚を連写することで、適正露出の写真を得られる可能性が高く、また3枚のうちどれかが手ブレていなければレタッチで救済できるというメリットがあります。

この手法をX-H1でやろうとすると実質100枚の撮影でバッテリーを1つ使い切ってしまいます。よって撮影手法をX-H1では1枚で決め打ちで撮る方法に切り替えました。

EVFの長所を活かしてAEロックを使用

AEロック

ミラーレスの強みは露出の設定がEVFや背面液晶に反映されること。ファインダーを覗いたものに近い写真が撮影できます。よって絞り優先モードで思う通りの露出になったところでAEロックをして露出を固定してシャッターを切れば精度の高い写真を素早く撮ることができ、バッテリーの消耗を防ぐことができます。

マニュアルで撮影する時間がないときはこの設定で撮影機会と速射性を上げる運用方法になりました。

バッテリーグリップVPB-XH1

X-H1専用バッテリーグリップVPB-XH1

バッテリー問題を解決するには純正のバッテリーグリップであるVPB-XH1が必要になります。バッテリーを2個入れることができるためボディ内のバッテリーと合わせて3つ駆動が可能になります。

バッテリー3個の状態確認が可能

バッテリーグリップを装着すると連射が11コマ/秒に向上します。また背面のモニタで3つすべてのバッテリーの残量を確認することができるようになります。

しかしNikonのフラッグシップ機を一回り小さくしたくらいのボディサイズになってしまうため登山の登りでの携行には不向きです。

現在はNikon D4Sを身体の真正面に、X-H1をコットンキャリアのストラップショットで左肩にかけてベストバランスです。グリップをつけるとボディバランスの関係上肩のストラップに装着することが難しくなるので、実質D4Sとのトレードオフの関係になります。

…当然D4Sを外すという選択肢はありません。

稜線に出てベースキャンプを作ってから撮影する場合は急登も少なく身軽なのでバッテリーグリップを装着しますが、登山口からテント場までのアプローチ中の撮影はグリップを使わないのでバッテリー交換しなければならないという手間があります。

山岳写真のメイン機にするなら実用的なミラーレス一眼。プロユースとしてはまだ成熟が必要

山岳写真とFUJIFILM X-H1

画質は申し分なく、機能を使いこなせばミスショットは一眼レフよりも少なく、渓流や滝の撮影での水しぶきでも全く問題なかったことから堅牢性の高さも期待できます。

風景写真の色のリファレンスともなっているVelviaを使えることもありネイチャーフォト・山岳写真に強いミラーレス一眼であることは間違いありません。

しかしバッテリーの持ちの悪さが良点すべての足を引っ張っています。

ちなみに夏山なら全く問題ありません。ポケットに入れておいたバッテリーを取り出してサクッと交換すればいいだけです。

問題は厳冬期の山の中やヒマラヤなどのエクストリームフィールド。気温の低さから撮影枚数も良くて3割減になるでしょうし、何よりもバッテリーを交換する作業自体のリスクが高くなります。

いくらシーリングされているボディであってもバッテリー交換の際は蓋をあけるので故障リスクは高くなりますし、防寒具を着込んだ状態でスムーズに行える自信もありません。通電させてない冷え切ったバッテリーがすべて動いてくれるのかという不安も残ります。

それを解決するにはバッテリーグリップを装着したX-H1をメイン機にしてサブ機としての運用を捨てるしかないという結論になりました。プロは他社のボディ使っちゃダメだよ!というFUJIFILMの熱いメッセージ性を感じます。

バッテリーグリップをつけて1台体制で山岳写真を撮影するなら理想的なミラーレス一眼です。しかしどうしても気になってしまうのがグリップがない状態でのエクストリームフィールドでの中途半端感。

防塵防滴耐低温、画質も実用的でレンズも小さくコンパクト。エクストリームネイチャーフォトグラファーの求める機能は完璧だったのにバッテリー交換できないシチュエーションが想定されてなかったことがホントに勿体無い。

そもそも私が山岳写真を専門にしたネイチャーフォトを仕事をしてるという尖った存在なので、求める機能がおかしいという根本的な問題がありますが、ネイチャーのプロがプロとして使うための完成度はNikonやCanonの方がまだ圧倒的だと感じました。

90%以上の山岳写真愛好家には自信を持っておすすめできるミラーレス一眼ですが、残りの10%の海外の山や厳冬期北アルプスなどに挑む方は運用方法に注意が必要という感想です。

…あとバッテリーの持ちが1.5倍あったら最高の山岳写真用のミラーレス一眼でした。

FUJIFILM X-H1の個性は把握できたのでこれからテント泊での夏山での検証を開始しますが、サブ機として厳冬期の撮影は…ちょっと難しい予感がしています。

とはいえ富士フィルム初のAPS-Cプロ機ということでX-H1を手にしたプロカメラマンからのフィードバックがどんどん集積されていくと思います。今後の改良に期待です。

バッテリーグリップをつけたX-H1は運用上まったく問題ない感触なので、近いうちにメイン機をNikonかFUJIFILMどちらにするのかの選択を迫られることになりそうです。すべては今年発売されると言われているXF8-16mmF2.8 R LM WRを含めたシステムの完成度次第。

X-H1を使用した山岳写真の作例

X-H1のウリである強力な手ぶれ補正を検証するために白馬岳で作例を撮ってきました。詳しくはこちらから。


Yamasha Professional -白馬岳-

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