写真撮影を仕事にしているカメラマンはデータのバックアップは必須。ハードディスクは故障率が高いので1台でクライアントのデータを管理することはできません。クラウドストレージへの退避もしますが作業効率を考えるとNASの運用が基本となります。
最近は趣味で写真撮影を楽しんでいる人も大量の撮影データが消し飛んでうことを考えてNASでバックアップしながら画像管理している人も多いですね。
今回、新しい写真データ管理としてSynologyのHDD6台登載のNAS DS3018xsを導入しましたので、SynologyのNASの初期設定手順を最初から解説します。モデルは違えど恐らくほぼすべてのNASはこの手順でPCからデータの読み書きをできるまで設定できると思います。
初回は導入方法と基本設定・RAID6の構築、組み上がったシステムの速度をご紹介します。
DS3018xsの外観
電源ボタンは本体正面にあり、アラートや接続している衣装してるLANポートの表示機能があります。
正面下部にUSB3.0ポートがあります。ここからNASにデータ転送ができますのでノートPCと一緒に持ち運ぶポータブルのHDDのバックアップに使用するのに便利です。プリンタを接続してLAN経由でプリントアウトすることもできます。
デュアルファンになっているため冷却性性能は期待できそうです。ファンが故障すると警告音がなる親切設計です。
LANは4ポート登載。LANポートを複数使い、SMBマルチチャネル転送機能という裏技を用いることで10Gbspに匹敵する爆速環境を作ることができますが、実験的な機能であることと対応しているLANハブが必要になるため、バックアップを取ってから使用するようにアナウンスされています。よってとりあえず今回はLANケーブル1本での通常運用でNASでを構築していきます。
EXPANSIONと書かれているポートはHDDの容量がなくなったときに拡張ユニットを接続する専用のもの。DS3018xsはDX1215に接続することができます。大量に画像や動画を扱う人には嬉しい機能です。
フロントのUSB3.0と同じ機能です。据え置きの外付けHDDなどを接続してPCでも認識できるようにする使い方になりそうです。
ベイは上部を押仕込むと外れるスイッチ指揮。多くのNASで見られるスタンダードスタイルです。
内部はハードディスクのシリアルATAコネクタのオス側がついています。下のレーンにハメてスライドさせることで簡単に接続することができます。
Synology DS3018xsの特長の1つがこのPCI-Expressの拡張スロット。M.2のSSDを組み込んでキャッシュに使うことで大量のトラフィックでも安定した速度を出したり、10Gbpsのネットワークカード(NIC)を接続することにより高速データ転送が可能になります。
一通り基本設定で運用してみてからここを拡張して10Gbps環境を作ってみたい。
付属品
電源ケーブルとLANケーブル2本、2.5インチのストレージの固定具とベイのロックキー。必要最低限のアクセサリーはついてきます。LANケーブルはカテゴリー5なので拡張カードで10Gbpsにする場合はカテゴリー7のケーブルを別途用意する必要があります。
ハードディスクの組み込み
今回採用したハードディスクはWestern DigitalのNAS用モデルであるREDシリーズ。6TBを6台です。これならしばらくは容量に困ることはなくなります。
SynologyのNASのHDDマウントは取り付けに一切の工具を必要としません。まずはサイドにストッパーを開きます。
上からマウントにはめるとキレイにはまります。そうしたらストッパーを閉めれば準備完了です。
接続する全てのHDDをマウントに装着します。NASの環境を作ってから後でHDDを追加することもできますが、今回は全てのベイをフルに使って環境を作るため6台のHDDを最初から使用します。
ハードディスクをNASに接続していきます。下のレーンにピッチリハマりますので失敗することはありません。HDDを乘せて奥にスライドすると自動でNASとHDDがシリアルATAで接続されます。
オフィスでの運用を想定してらうため、ハードディスクが取り外せないようにロックするキーが付属しています。私は個人での運用なので必要としませんが、気になる人は使用しておくとよいでしょう。
これでハードウェア面での準備は完了です。
PCからDS3018xsにアクセスする
外付けハードディスクの様にケーブルを繋いだからといってすぐに使えるものではありません。ここから少し複雑な作業が必要になります。
まずはSynologyのマニュアルに従いLANケーブルでルーターにLANケーブルを繋ぎ、ルーターからPCにケーブルを繋ぎます(無線LAN接続のPCなら接続の必要なし)
その後はブラウザ(IE・Google Chromeなど)で【http://find.synology.com】と打ち込みエンターキーを押します。
そうするとネットワーク経由でNASにアクセスすることができます。ここの画面上でNASの設定を行っていきストレージとして使用できるようにします。
まずは【接続】をクリック
【設定】をクリック
NASの設定をする
DiskStation Manager(DSM)をインストールします。QNAPのNASを使っていた人は「なんだろう?」と思うかもしれません。これはSynologyのNASののOSに相当する部分でインストールしないと先に進むことができないので心配なく先に進みましょう
ハードディスクの初期化の警告が出てきますが、元々中身は何も入っていないので【OK】を選択して先に進みます。
DiskStation Manager(DSM)のインストールが開始されます。しばらく待ちましょう。
管理者アカウントの作成
DSMのインストールが完了したら管理者アカウントを作成します。ここで入力したユーザー名とパスワードを使ってNASにログインすることになります。
PCでいうOSのアップデートをどの様に制御するかを決めます。不具合が出るのが怖いのですべてのソフトウェアを更新するのではなく【DSMの重要なアップデートを自動でインストールする】にしました。
DSMのインストールが完了するとNASの設定を行うことができるようになります。PCのOSに似たUIになっているため感覚的に操作することができます。
次に出先からインターネット経由でNASにログインするためのアカウントを作成します。これを設定しておくことでどこからもNASのデータを共有できるようになります。
URLは【http://QuickConnect.to/QuickConnect ID】になります。ブラウザでこのURLを入力しパスワードを入れるとNASにログインできます。これでNASのアカウント設定は完了。
次にNASに組み込んだストレージの設定を行っていきます。
ハードディスクの設定を行う
ストレージマネージャーを開くと接続されているハードディスクを確認できます。6TBのハードディスクが6台接続されていることが確認できます。5.5TBと表示されているのは1MBを1024KBで計算しているからです。
RAID6を構築する
仕事でNASの構築をしている方からTwitterでRAID6がおすすめとコメントをいただけたので、今回のNASは6台のHDDをフルに使ってRAID6でシステムを組むことにしました。専門外のことはプロの意見に従ったほうが幸せになれることは経験的に間違いない。
よって4台分の容量(24TB)使用するストレージとして残りの2台をパリティ(データ保護)用に使用します。
当初はSynologyの独自技術のNASシステムであるSHR(Synology Hybrid RAID)を使用するつもりでしたが導入したDS3018xsは業務用のモデルらしく非搭載モデルでした。そんなこともあり正統なRAID6というシステムの採用です。
一般の方が買うモデルにの多くに登載されているシステムですのでハードディスク容量をフルに使いたい人はSHRで組むとよいでしょう。
https://www.synology.com/ja-jp/support/RAID_calculator
RAID6の特長は運用中に2台のHDDが同時に故障しない限りは復旧可能であることです。仮に1台が故障しても同じ容量以上のHDDに交換することで復旧することができます。
SynologyのDS3018xsはホットスワップに対応しているため、電源を入れたまま故障したHDDを抜いて新しいものに換装することができます。やることと言えばHDDを引っこ抜いて、新しいのを差し込むだけという簡単なお仕事です。
唯一の弱点としては復旧中に停電などが起きると全てのデータが消えてしまうリスクがあることです。ですので余裕がある人はUPSなどの補助電源に繋いでNASを運用すると安全です。
上の【1つのボリュームまたはiSCSI LUN(ブロックレベル)のRAID group】を選びました。こちらは4台のストレージを1台のストレージとして使うモードです。つまり24TBとしてHDDを認識させます。
もちろん【PHOTO】【MOVIE】などの共有フォルダに分けて使用することができますので1つHDDの中でフォルダ分けしなければならないなんてことはなりません。感覚としてはHDDを複数台積んだ感覚で使用できます。
対して複数ボリュームの方を選択すると、作成するボリュームに対して使用する容量を指定することができますのでこちらは複数人でNASを使うワークフロー向けです。個人で使用するとHDDの容量を使い切ることとが難しいので効率が悪くなり、またパフォーマンスも若干低下します。
DS3018xsは6台のHDDを積めるので最大ドライブ数は6を選択。
使用するドライブをドラッグして割り当てて行きます。【必要はHDD】は使用するストレージ、【追加HDD】はパリティ(データ保護用)になります。
6台全てのハードディスクをRAID6のシステムに組み込みます。
6TBのHDDを4台使って21.81TB。これで適用をクリックで設定完了。
ボリュームを作成する
ストレージマネージャのボリュームを作成します。RAID6を構築したときに【1つのボリュームまたはiSCSI LUN(ブロックレベル)のRAID group】を選択したのですべての容量を使って1つのボリュームを作成します。サイズの割り当てはグレーアウトされており入力することはできません。
これでRAID6で作成したボリュームを使えるようになりました。
共有フォルダを作成する
次にPCで使うために共有フォルダを作成します。まずはNASを導入した最大の目的である写真管理用の【Photo】フォルダを作ります。
手順に従って作業をすすめていきます(基本的には何もしなくて大丈夫)。最後に最初に設定した自信のユーザー名に書き込みと読み込みの権限が付与されているのかを確認します。
あとは同じ用途にあわせて共有フォルダを作って行きます。
PCのネットワークドライブに登録する
今までの作業を終了すると、NASの中ではフォルダができてデータのやり取りができるようになっています。しかしそのままではPCが認識してくれません。次に行う作業がPCにNASの中のフォルダを認識させる作業です。
管理画面のシステム情報に記載されてるLAN◯◯の横にあるIPアドレスを確認します。私のPCだと192.169.11.18となっています。この数値をコピーします。
エクスプローラーのアドレス欄に【¥¥192.169.11.18】と打ち込みます。(IPアドレスは管理画面で表示されているものを使用)。そうするとSynologyのNASの管理画面で作ったフォルダが表示されます。
このままでも使用することはできますが、毎回IPアドレスを打ち込んでフォルダを表示させるのはめんどくさいのでマイコンピュータに登録してしまいます。
フォルダを右クリックしてネットワークドライブの割り当てを選択
ドライブを選択します。ここで【Y】を選択すればマイコンピュータ上でYドライブとして認識されます。
ネットワークドライブの割り当てをしてしまえばあとは普通の使い慣れたハードディスクと同じように使うことができます。RAID6で1つのボリュームにしましたが、このようにネットワークドライブで切り分けることができます。
容量は全てのドライブで分け合う形になりますので効率良く使うことが可能です。
DS3018の速度
何も設定せずに計測した速度がこの通り。ReadもWriteも100MB/sを超える上々の速度です。今まで使っていたQNAPのTS-421というNASが30MB/sになっていたので3倍以上の高速化です。ルーターとPCのLANが共にギガビット対応(1000Mbps=125MB/s)なのでほぼ理論値通りです。
ただルーターがバッファローのWZR-900DHPという古いものなので、こちらを最新機種に変更すればより高速になるかもしれません。検証の必要がありそうです。
SynologyのNASの基本設定はここまで
今回は業務用の性質をもつDS3018xsというモデルを使いましたがSynologyのNASの初期設定はほとんどのモデルで同じ手順です。今回組み上がったNASはRAID6で運用しているので自動でバックアップが取られるため(パリティ)、2台同時に故障しない限りはデータが保守されます。写真の管理だけみれば必要な機能は揃っています。
ここからさらにローカルファイルの定期バックアップ、リモート操作、クラウドストレージの連携などを行うためのアプリケーションのインストールや設定などを行っていきます。よってこの記事は定期連載になります。
次回更新をお楽しみに!
RAID6からさらにクラウドストレージに自動バックアップする方法を追加しました。

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