失敗できない写真撮影には三脚は欠かせない機材です。どれだけいいボディとレンズを揃えていてもブレていたり意図した構図とずれていては意味がありません。
特にネイチャーフォトは精密な構図をつくり、スローシャッター、長時間露光などの技術を多用することから信頼できる三脚を使用することは重要です。
プロ寄りの機材を使用していくほど機材は重たくなっていくため、それに対応できる三脚の買い替えが必要になります。
2017年になり難易度の高い撮影や海外の撮影チームにアサインする予定が増えてきていることから、機材を昔のものに戻しました。
今までGITZO GT5543LS(の旧型)を使ってこなかった理由は単純に重くて携帯するのが大変だということと、
下見として山に登り、良いポイントがあったら撮影というスタイルをしていたことから、必要性を感じていなかったこと。
あとは機材を単独で北アルプスの山頂まで背負って行かなければならないため未経験ルートでは危険だと思ったことです。
北アルプスのメインフィールドの山は大体登って良いポイントがわかってきて、決めたポイントでのベストショット1枚を撮るために登山することが増えるので、
機材トラブルの少ない信用性のある装備が必要になった経緯です。
海外に置きっぱなしの三脚を送ってもらおうかと思いましたが、
GITZOのシステマチック三脚シリーズがリニューアルしたので旧型は後輩に譲り最新型のGT5543LSを新調しました。
経験値でいったらネイチャーフォトでは一番使い慣れている三脚ですので、山の写真を撮るためにメリットや特徴などをご紹介します。
GITZOの三脚で最も太い5シリーズ
GITZOの三脚は1型~5型まであり、1型が最も細く、5型が一番太い経の脚になります。
つまりGITZOシステマチック三脚の5型はGITZO三脚の中で一番太く堅牢な三脚です。登山でよく使われるマウンテニアシリーズは3型までしかありません。軽量さと堅牢さのバランスが素晴らしく、スチールのほぼすべてをカバーできる十分すぎるスペックです。
しかし、私はネイチャーフォトで使用するため三脚はGITZOのシステマチック三脚の5型の4段を使用し続けていました。
これは新調したGT5543LSも同じです。その理由をまとめます。
耐荷重40Kg。GITZOの三脚の中で最も高いシステマチック三脚シリーズ
GITZOのシステマチックシリーズの特徴は耐荷重性が上がられます。これはエレベーター機能を排除した初期設定をしていることも1つの要因です。
ポールを排除する代わりに雲台をつける土台の面積を広げることができるため、望遠レンズなどを使用した際の三脚の捻じれやたわみに強くなります。
センターポールを使用したエレベーター機能が欲しい場合は別売りのアクセサリーを装着することで機能拡張することができます。
購入したGITZO GT5543LSの耐荷重は40kg。ネイチャーフォトの機材としてはオーバーペックなのですが、例外があります。それがレールを使用したボディ2台での撮影とタイムラプス撮影です。
チームで撮影するときは1つの三脚に2台のボディというのはよくやる撮影手法で、その分荷物が減るため行動時のフットワークが軽くなります。以前GITZOの5型を使っていた理由はこちらにないりますが、今回はそれにプラスして単独でのタイムラプス撮影のやりたくなりこの三脚をメインに据えることにしました。
横50cmほどもあるレールを三脚につけ、フラッグシップボディに重たいレンズをつけて撮影したいならかなりの耐荷重性が求められます。このような理由から多くの人が登山用にチョイスするであろうマウンテニアシリーズではなく、システマチック三脚を選びました。
強度が上がったCarbon eXactを使用
リニューアルしたシステマチック三脚の売りがCarbon eXact。マウンテニア三脚で使用されていた新型カーボンで剛性が向上しているため、
より安定性が向上しました。以前のカーボンよりも細くなりつつも剛性が向上しています。
GITZOの三脚の特徴であるノアールデコール
GITZOの三脚の特徴といえば、マグネシウムやアルミなど金属部分の特殊表面加工。アールデコと呼ばれている処理です。元々は強度や耐久性のために加工ですが、現在はGITZOの三脚を象徴するデザインになっています。
ローポジションは2段階
三脚の脚の根本にあるギミックを引くことでローアングルが必要なときに脚の開口度を広げることができます。脚を閉じていくと自動でロックがかかっていく仕様になっています。
グラウンドポジション対応
限りなく地面に近いローアングルを取ることできます。これもセンターポールをは排除している仕様の特徴です。
地面の形にアジャストする石突き部分
脚の末端の作りが自由雲台のようになっていて、接する地面に対して適切な角度を取ることができます。グラウンドポジションのときは画像のように設定することで、三脚の安定性を向上させることができます。
GITZO GT5543LSとVelbon El Carmagne 645の比較
日本での撮影のメインの三脚はVelbon El Carmagne 645を使用していました。軽量性と使いやすさのバランスが良くフラッグシップモデルのボディに24-70mm F2.8のような大口径レンズでも対応できる三脚です。ただ70-200mmだと少し不安。そのくらいの評価をしています。
現行機種でいうとGeo Carmagne N645M IIになります。こちらと比較するのがわかりやすいです。
GITZO GT5543LSの方が一回り大きい
全体的な大きさが一回りほどGITZO GT5543LSの方が大きいです。
けれどもザックの横に装着することは容易にできるので登山の邪魔になることはありませんので安心。
脚の太さは2倍くらい違う
ウレタンの下にある足がVelbon El Carmagne 645の最も太い経の足です。GITZO GT5543LSの方が2倍ほど太い作りになっています。
GITZO GT5543LSを登山用ザックに装着
使用しているザックはMAMMUTのHeron Pro 85+15L。この三脚を使用するのであれば荷物の中の1/3くらいは撮影機材になると思いますのでザックが小さすぎてバランスが悪いということはないと思います。
バランス的には最低でも50Lくらいのザックを使用したほうが歩行が楽だと思います。
ネイチャーフォトを本気でやるならおすすめできる三脚
耐荷重性や使い勝手をみるならば現存するカーボン三脚の中でも最高レベルのランクに在ることは間違いない三脚です。欠点はセンターポールが無くフットワークが重たいことと、三脚自体が重たいということです。
汎用性はあまりない
センターポールがないためアイレベルの微調整ができない、カーボンの4段とはいえ大きくて重いので持ち運びが楽というわけではありません。ちょっとした調整でも時間がかかるため、動く被写体やタイムスケジュールが過密な撮影シーンには向かないと思います。
しかしじっくりと構図を作れるネイチャーフォトに関しては汎用性を捨てたことで得られる安定性という絶対的な恩恵があります。山の稜線の強風であろうとへっちゃら。
山岳写真を撮る仕事をしている経験からの1つの答えがGITZO 5型システマチック三脚
登山はいかに軽量化をするかという考え方が基本なので、GT5543LSはそれに逆行します。しかしスチール用の三脚でレールを使ったタイムラプスをしようとしたり、70-200mmのような長めのレンズを山に持っていく人には有力候補に上がってくる三脚だと思います。重さに関しては鍛えればいいのです、身体を。
山に登りながらフルサイズ一眼レフのガッツリとした機材で本気で写真に取り組みたい人であれば非常におすすめできる三脚です。けれどそれ以外の人はこの三脚と、それにふさわしい雲台を持ち運ぶのは苦痛なだけだと思いますので、GITZOならばマウンテニアシリーズの方が幸せになれると思います。
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