山岳写真にベストな三脚とは何なのだろう。私個人の話であれば筋トレしてGITZO システマチック三脚5型とマンフロットのギア雲台405(現在はアルカスイス互換に改造中)に至りました。
どれだけ重たい撮影機材を乗せてもわたみませし、強風でもブレず積雪量のある場所でも雪にズボッと入れてば自重のみで安定感を出してくれる最高の三脚。雲台を外してエルダークローンのレールをつければ構図を移動させながらのタイムラプスだってできる。まさに最強の三脚。
しかし問題点は「使い手」を選ぶということ。超重量の撮影機材を扱わなければ無用の長物となりかねない三脚であることは間違いありません。
そして今私は軽量がウリのAPS-CのボディであるFUJIFILM X-H1とXF16-55mmF2.8 R LM WRがある。その組み合わせにふさわしい三脚を調達しました。
それがGITZOマウンテニア1型であるGT1542。GITZOの三脚シリーズの中でスタンダードで汎用性の高いモデルです。
X-H1を使用した山岳写真の作例はこちら。

エレベーターの標準搭載
ポジションの微調整をするためのエレベーターがついてます。多くの三脚には搭載されている昨日ですが、愛用しているシステマチック三脚にはついていません。なぜなら安定性を犠牲にするからです。
ポジションは三脚の脚の長さのみで調整します。
しかしほとんどのシーンでそこまでシビアに安定性が気になるシーンも少ないのも事実。使い勝手を考えればエレベーターは便利な機能です。
エレベーターのロックは根本のつまみを回して行います。精度は高くロックするときにポジションがずれることはありません。
ローポジションを取ることができる
エレベーターバーを搭載している三脚はバーが邪魔してローポジションを撮ることができないものがあります。これは渓谷をはじめローアングルを撮ることが多いネイチャーフォトでは致命的な弱点となりますので、低いアングルを取れる三脚を選ぶことは必須です。
もちろんGITZO GT1542は対応しています。
ローポジションでのエレベーターポールの外し方
GITZO GT1542などのマウンテニアシリーズでローポジションを取るときはエレベーターバーを取り外す必要があります。
グラウンドレベルと書かれているロックを解除すると下のポールがすぽっと抜ける使用になっています。
これが一番手軽なやり方であり、純正の使い方として正しいのですが、元に戻すときにポールがハマったのか確認し辛いというデメリットがあります。これを山でやるとポールを落下、紛失する恐れがあるので私は一度分解して確実に再セッティングするやり方をしています。(フォロワーさんから指摘を受けるまでこのシステムのことすら忘れていたくらい使っていません)
ローポジションを取るためにパーツ分解する方法
バーの下端についているウェイトの引っ掛けるパーツを取り外し上に引っ込抜くだけなので簡単な作業です。あとは雲台を上から取り付けてロックを締めるだけだけです。このシステムをグラウンドレベルセットというらしい…。
一度エレベーターポールを上から引き抜いて外し、もとに戻すときはサイドジョイントを確認して上から通すため、ポールがハマっていることを確実に確認できる安全性があります。
山岳写真以外ではほとんど必要のない作業ですが、私はこちらの手法を採用しています。
脚の角度は3段階調整可能。ロックを引き上げて脚を広げて調整します。
ウェイトを乗せるフック
GT1542は三脚自体が軽いので剛性が高くても強風などの外部要因に対する影響を強く受けます。そんなときに必要となるのがウェイトフック。ここにザックなどを引っ掛けることで自重を重くしてブレへ対応させます。
雲台はGITZO センターボール1型 GH1382QD
雲台は自由雲台のGT1382QD。軽量の1型マウンテニアとの相性がぴったりの軽量の雲台です。
自重が500gに対して耐荷重は14kg。理論値での剛性でいえばNikonやCANONのフラッグシップ機に70-200mm F2.8程度のレンズの組み合わせなら十分すぎるほどのスペックです。
GITZO純正ながらアルカスイス互換
GH1382QDの面白い点はGITZO純正のアルカスイス互換。付属のクイックシュープレートGS5370SDもアルカスイス互換性を持っているので他メーカーの雲台でも使用することができます。
軽量の雲台であることから縦位置構図には不安がある、そんな悩みはLプレートを使用してボディと雲台を直接つなぐことで解決できます。
精度の高いなめらかなボールの動き
二硫化タングステンコーティングを使用したボールで非常になめらかに動きます。少しロックのテンションをかけてからフレーミングする際に効果を発揮しているように感じます。
ボールのテンションを変えるフリクションコントロールノブ
ボールのロックの方法が2つあり、外側は一般的な時計回りにぐるぐる回転させてロック、ツマミは少ない回転数でボールをロックできる仕様に分かれています。
機材重量に合わせて内側のツマミ「フリクションコントロール」を調整することで程度なテンションを残しながら正確なフレーミングを行い、最後に外側のロックを締めるのが正しい使い方みたいです。
フリクションコントロールだけでもボールをロックすることができるため、このシステムの使い方は個別最適化できます。
FUJIFILM X-H1とGITZO マウンテニア1型とのバランス
GITZO マウンテニア1型GT1542と1型雲台GH1382QD、FUJIFILM X-H1とXF16-55mm F2.8の組み合わせ。とてもバランスがよいです。
X-H1は673g、XF 16-55mmは655g、トータルで1326g。三脚の耐荷重10kg、雲台の耐荷重14kgからみても余裕のある組み合わせです。
このくらいの重量ならば縦位置でも安定性に不安はありません。縦位置は今現在注文しているRRSのX-H1のLプレートが届いたら雲台の横位置ポジションにそのまま乗せるのでより安定すると思います。
GITZO システマチック5型システムとの比較
三脚 | 重量 | 耐荷重 | |
---|---|---|---|
軽量システム | |||
三脚 | GITZO マウンテニア GT1542 | 1280 g | 10kg |
雲台 | GITZO GH1382QD | 500g | 14kg |
重量システム | |||
三脚 | GITZO システマチックGT5543LS | 2820g | 40kg |
雲台 | Manfrotto 405 | 1600g | 7.5kg |
私の運用しているシステムを比較すると三脚は圧倒的にGITZOのシステマチック5型が耐荷重性能で圧倒していますが、Manfrottoのギア雲台405よりもGITZOの軽量雲台であるGH1382QDの方が重たい機材を装着できます。
これは私が雲台は耐荷重よりも正確なフレーミングを作りたい、7.5kgの耐荷重は雲台では十分と判断しているからです。
剛性の高いCarbon eXactチューブ
メイン三脚のシステマチックGT55432LSも、今回採用したマウンテニアGT1542も同じカーボン「Carbon eXact」を採用しています。体感値での剛性は高く、ボディ1台を乗せるだけならたわみなどを感じたことはありません。

撮影機材 | 重量 | |
---|---|---|
軽量システム | ||
ボディ |
FUJIFILM X-H1 | 637g |
レンズ | XF16-55mmF2.8 R LM WR | 655g |
重量システム | ||
ボディ | Nikon D4S | 1350g |
レンズ | AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8E FL ED VR | 1430g |
私が山岳写真で使う機材で一番重たい組み合わせです。FUJIFILMシステムならなら約1.3kg、Nikonシステムなら3kg。カタログスペックだけみるならどちらもGITZOマウンテニア1型のGT1542のでも十分すぎるくらいのスペックなのです。
山岳写真の安定性は雲台よりも三脚に依存
ブレの原因は機材の重さよりも対外的な原因である風や足場の悪さなどという経験値があります。よって背負える三脚で一番剛性のあるGITZOシステマチック三脚5型を持って行っています。三脚に関してはあまりカタログスペックは信用していません。
GT1542とGT5543LSの4段目の脚の太さの比較。これほどの違いがあります。GITZOのカーボン三脚は軽さに対しての剛性には定評がありますが、それでも5型に比べると若干の頼りなさを感じてしまします。
カタログスペックではフルサイズ機のフラッグシップ機と重量のあるレンズの組み合わせでも対応できるGITZOマウンテニア1型ですが、体感的に使えるのはFUJIFILMのボディとレンズまでで、Nikonシステムで長時間露光やタイムラプスをするのは少し気が引けるという印象です。
山岳写真に使いやすい軽量で剛性の高い三脚
一眼カメラはミラーレス化の一途をたどっており、これからは軽量なボディが定番となっていきます。機材が軽量になることは登山の安全に直結し、支える三脚も軽くできることから大歓迎です。
当然今まで使っていたレフ機用の超重量の三脚はオーバースペックになり、最適な三脚を選び直すことになります。
私がミラーレス用に選んだ三脚はGITZOのGT1542と雲台GH1382QDの組み合わせ。超軽量の部類ながら三脚は10kg、雲台は14kgまで荷重対応できるモデル。
Nikonのフラッグシップ機に70-200mm F2.8のような長いレンズを着用した上でのタイムラプスなどでは不安ですが、14-24mm F2.8を使用したケースでは強風で無い限りブレもありません。
趣味で安全に山岳写真を楽しむ方にはおすすめできる組み合わせです。
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