出先での撮影が多い私はテザー撮影が多く、宿泊施設でレタッチ作業を行います。そのマシンとして今まではMacBook Pro 2015 13インチを使用していました。
作業環境としては快適でしたが、最高とは言い難い問題がありました。その殆どが解決したのが今回のMacBook Pro 2017 15インチ 。
それは事前に購入する前には予測がついていました。3ヶ月近くもじっくり使い込んだ今レビューを書くのは、カメラマンがデスクトップPCを使わずMacBook Pro15インチのみで作業が完結できるかを検証していたからです。
もしデスクトップの代わりが出来たとしたら省スペース化と母艦の持ち歩きが実現し、仕事のパフォーマンスが跳ね上がります。フォトグラファーとしては理想ですね。
それを旧モデルと比較しながらプロカメラマンの立場からレビューします。ベンチマークなどは他のサイトでたくさん出ておりますので、写真を扱う作業での感覚値で行います。
スペック
型番 | MacBook Pro2015 13インチ | MacBook Pro2017 15インチ |
---|---|---|
CPU | Core i5 2.7GHz Haswell | Core i7 2.9GHz Kabylake |
メモリ | 8GB 1867 MHz | 16GB 2133 MHz |
GPU | Intel Iris Graphics 6100 1536MB | Radeon Pro 560 4GB |
ストレージ | 256MB PCIe SSD | 1TB PCIe SSD |
購入したMacBook Pro2017 15インチのお値段374,544円。ノートPCとしては中々の投資です。Windows機にすればもっとパフォーマンスのいいマシンがあるとは思うのですが、探すのがめんどくさい。MacBookのいいところは次のモデルもMacBookを買えばいいという選択肢が1つしかないこと。
使い慣れているマシンのバージョンアップを繰り返していく感じで、手にとってからすぐに業務に移れるため数年前からずっとMacBook Proを使用しています。仕事に追われる日々を過ごしていると選択肢がないことのメリットというのを感じるようになります。
持ち運びに重要な薄さは抜群
移動時の電車やバスの中での作業、出張先でのテザー撮影やプレゼン。各地を飛び回ることが多い私が重要視するのは薄さです。その点MacBook Proは15型のPCの中ではかなり薄い作りになっており、普段使用しているリュックであるMAMMUT ROCKPRO SEにらくらく収納できます。
リュックに入れての持ち運びの感覚は13インチも15インチもそう変わりません。

ケースはInateckのフェルト時のケースを使用しています。バッグに緩衝材が入っているので薄くて持ち運びのいいものを選びました。電源を収納するポーチもついてきてお買い得感があります。
カメラマンに必要なノートパソコンはハイスペック
今まで使っていたMacBook Pro 2015 13インチは良いマシンです。コストパフォーマンスで言うならば15インチモデルよりも優れています。レタッチやテザー撮影のみであれば特に不満はありませんでした。

しかし様々な作業を同時並行させるにはやはりCore i5の8GBメモリでは不十分。
ネックになるのがレタッチしながらの並行作業。出先ではじっくり作業することはなくレタッチしながらPhotoshopで編集したり、Chromeを大量に立ち上げてブラウジングなどを行います。
この一連の作業をMacBook Pro13インチ 2015で行うと画面遷移や作業がカクついていましたが、2017年モデルの15インチでは滑らかに動きます。出先で求めるスペックは十二分に満たしています。
LightroomやPhotoshopなどのアプリが入っているAdobeCCはバーションがあがる度にCPU負荷・メモリ使用量が増えていっています。最低2年使うことを考えると、Core i7モデル。つまりは15インチMacBook Proがベターな選択です。
大容量の高速SSD
テザー撮影を行う場合は高速な環境があると作業がはかどります。Lightroomのカタログの読み書きを考えるとSSDは必須。数日間の撮影に耐えられるように容量は1TBを選択しました。
私の場合はテザー撮影や出先の撮影データの退避の他にデザインファイルやWEB開発などを行うためかなりの容量を使用します。撮影だけに使用するのであれば512GBで十分かと思います。
出先で撮影したものを自宅においてあるNASに入れるというワークフローにすればMacBook Proのストレージ容量がいっぱいになることは防げます。1TBあれば私の使用用途ですと容量は十分でした。

Dropboxの同期
データ管理や仕事での画像の受け渡しにDropboxを使用しています。作業ファイルは常にクラウドに保存してファイルの保守しています。
テザリングで不用意な事故が起きたら大変ですのでレタッチデータに関しては作業は共有ファイルでは行わず、書き出したJPEG画像をドロップボックスに同期しています。
Dropboxの有料プランは1TB。MacBook Pro2017 15インチ一台ですべての作業を行うのでしたら保守の観点からも相性はすごくいいと思います。
ストレージに関して言えばクラウドサービスとNASを組み合わせればデスクトップと遜色ないパフォーマンスと保守性があると感じました。
デスクトップ感覚で使うなら15インチディスプレイとGPUは必須
MacBook Pro2017の液晶画面はノートPCの中では高品質です。2880 x 1800pxの220ppi、P3の広色域に対応しているため出張先でのレタッチ作業に困ることはありません。必要ならここで色を合わせて納品、時間に余裕があるなら自宅でカラーマネジメントモニタでしっかりと色を合わす作業をしています。
そして13インチのMacBook ProにはないRadeon Pro560というGPU。MacBook Proを外部ディスプレイに接続しても発熱量が少なく画面もスムーズに動きます。1台の接続ならファンが唸りを上げることもありません。
MacBook Proの15インチモデルはちょっとしたデスクトップPC並のスペックがあるためほとんどの人はMacBook Pro 15インチ+外部ディスプレイで日常作業にストレスを感じることはないのでは?と思います。
野外ではMacBook Pro2017単体、自宅で外部ディスプレイに接続しデスクトップマシンと遜色ない環境を作るなら15インチモデルのGPU搭載型のモデルでないと厳しいと感じました。
自宅での作業はUSBハブ必須
MacBookといえばUSB-C。良くも悪くも話題になるインターフェイス。充電もできるしディスプレイ接続もできるすばらしい規格ですが、残念ながら周辺危機が出揃っていません。
iPhoneを接続するにも変換ケーブルが必要という尖った製品がMacBook Pro。現状ほとんどの外部ディスプレイはディスプレイポートやHDMIですので変換する作業が必要です。
またカードリーダー用に通常のUSB3.0も必要ですので、2017年現在で写真のレタッチ目的でMacBook Pro2017を使用するならUSBとHDMIが使用できるハブは必須です。
つまりメインマシンとして使うならUSBハブがなければつかいものになりません。
私はHyper Driveを使用しています。MacBook Proとのデザインの親和性もよく、帯域幅が50Gb/sあるため高速です。端子もUSB3.0が2つにHDMIがあるため、これが1つあるだけでMacBook Pro2015とほぼ同じ使い方ができるようになります。
キーボードのトラブルを防ぐためのキーボードカバー
MacBook Pro2017に使われているバタフライキーボード。旧モデルとはタッチの感覚がまったく違うので最初は戸惑いました。しかし慣れると極薄のキーを軽くタッチをするだけでいいので、高速のタイピングができるようになります。
しかしそのキーボードに問題が。gori.meのg.O.R.iさんによるとキーボードに少量の埃が混入するだけでも接触不良を起こしてキーボード修理が必要なるとのこと。
撮影現場はきれいなところがむしろ少なく、スタジオは割りと埃が舞っています。そのリスクを失くすためにキーボードカバーを導入。常にMacBook Proも持ち歩く生活をしている人は着用したほうが良さそうです。
私はg.O.R.iさんから頂いたmoshi Clearguardという極薄でフィット感が良いカバーを使ってます。キーボードの叩きすぎでかなり跡がついていますが、それだけ汚れからキーボードを守っているという証拠!
左右どちらからも取れる電源は重宝する
山岳写真が専門なので岐阜や長野といった北アルプスの麓の旅館を拠点にすることが多いです。旅館でパソコンを使ったことのある人はご存知だお思いますが、旅館は電源がすごく取りづらいです。
テーブルの位置とコンセントの位置が絶妙に使いづらい関係にあることがほとんどです。そんな中MacBook Proの左右どちらからでも充電ができる仕様は重宝します。
これはスタバなどの喫茶店で作業するときも席を選ぶ必要がなく便利です。
高負荷時の発熱は大問題
MacBook Pro 2017 15インチモデルは旧型13インチに比べると素晴らしくパフォーマンスが良いです。Lightroomで作業しつつ色々な作業をしていてもストレスを感じることはありません。デスクトップPCは必要ないのではと錯覚するほどに。
同時に使うアプリケーション
- Lightroom
- Photoshop
- Illustrator
- Chrome
- Slack
高負荷な作業をこなすことができますが、それに比例してとんでもない発熱をします。外部ディスプレイに接続する程度では問題ありませんが、そこでレタッチやRAW画像の書き出しするときもかなりの熱になります。
数百枚のRAW画像を書き出すとCPU温度は99℃を記録。キーボードを叩いてるだけで熱さを感じます。MacBook Proはパワーユーザー向けの製品なのか、13インチに比べるとバッテリー駆動のときでもかなりの熱になり、電車で膝の上において作業するときも若干気になります。
特にChromeの大量立ち上げとDropboxなどのクラウドとの同期が発熱の一員になっているよう感じます。
バッテリーの持ちは13インチモデルとほぼ同じ、公称の数値と違いはあまりないのでそういう仕様なのだとおもます。
自宅で詳細なレタッチ作業などを行いCPU負荷の高い状態を維持するのであれば冷却対策は必須です。
カメラマンがMacBook Pro2017をデスクトップ代わりにするのは難しいが、持ち歩き用PCとしては使いやすい
一通り業務をこなしてみた結果、フォトグラファーがレタッチ・現像をするマシンとしてのスペック不足は感じませんでした。唯一あるとすれば大量のRAW画像の一括書き出し作業でしょうか。
CPU・メモリ | ○ |
---|---|
ストレージ | ◎ |
外部ディスプレイでの作業感 | ◎ |
発熱 | ☓ |
スペックは十分で作業もサクサクこなせますが、ハードウェア設計の面でデスクトップ代わりに使うことには抵抗があります。
外部ディスプレイを使用しての高負荷作業はとにかく発熱が怖く、故障するのではないかという不安があるからです。
MacBook Proが壊れたらすべての業務が止まってしまうためデスクトップ代わりにすることは諦めました。
しかし持ち運び用の端末としてはパワフルで・バッテリーの持ちもいい。液晶もキレイでテザー撮影が捗ります。フォトグラファーが持ち歩くには最適なノートパソコンではないかと感じました。
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