Nikon Z7とZ6が発売されてだいぶ落ち着いてきました。画質やレンズに関しては高評価のZシステムですが多くのユーザーを困らせている問題があります。それがFTZ。ZマウントとFマントを共存させるマウントアダプターですが、これがボディに三脚用のクイックシューを取り付けると装着できないという大問題。正直ネイチャーフィールドで使い物になりません。
それを解決し、かつ登山でのカメラ携行システムの定番であるピークデザインのキャプチャーとの両立を目指したシステムをできる限り安価で作り上げることに挑戦しました。
FTZがクイックシューと干渉する問題
Z7/Z6のボディにクイックシューを装着してNIKKOR Zのレンズを使う人が多いと思います。しかしその状態でFTZ経由のFマウントレンズを装着しようとすると、クイックシューが干渉してしまうFTZ自体を取り付けることができません。
これを解決するためには、ボディからクイックシューを外してからFTZを装着し、FTZにクイックシューを取り付けて三脚に乗せるという手順が必要になります。2019年3月現在、Zマウントの超広角と中望遠以上のレンズがなくFマウントレンズを使うことが前提であるシステムでこの使い勝手の悪さは致命的です。
普段「レンズ交換をするためにクイックシューを外す」という意識がないためレンズを外してFTZをつけようとしたことでこの干渉問題に気づき、無駄にセンサーをゴミで汚してしまうことがよくありました。
小さいクイックシューを使用しても三脚装着に問題が出る
ではFTZに干渉しない大きさのクイックシューならどうなのか。
ピークデザインのキャプチャーに付属しているスタンダードプレートなどはアルカスイス互換がある中で最小クラスのクイックシューです。FTZの装着はできたとしても雲台にFTZが干渉してしまい三脚を使うことができません。よってどんな小さい雲台を使ったところで三脚をするためにはクイックシューを外さなければいけません。
そもそもの問題がZ7/Z6のボトムとFTZの高さが一致していないことで干渉が起こります。ボディがFTZよりも下にあるのならば解決できるのです。よって真っ先に考えられる対処法がLプレートの装着です。
アルカスイス互換のLプレートを購入する
FTZの干渉をなくしZマウントとFマウントの両立をさせるためだけのLプレートなのでRRSなどの高価格帯のLプレートを購入するのはためらわれます。なので今回はAmazonで探して見つけた激安のLプレートを購入してみました。
あれ…なんか結構質感もいいし造りもしっかりしているぞ2600円のLプレートなのに…。まずはこちらをNikonZ7に装着していきます。
ガタツキが出ないように3点にゴムがあり、出っ張りはZ7のボトムのヘコミにしっかりフィットするように作られています。
カメラへは付属の六角レンチで締めて装着します。
プレートにはZ7という文字がプリントされています。なんかいいかもしれないぞ2600円のLプレートなのに…。
サイドプレートの取り外しが可能
サイドのプレートは付属のレンチで取り外すことができ、縦位置でアルカスイス互換が必要なければボトム部分だけの着用で運用をすることができます。
ボトムを残すだけでも直接アルカスイス互換の雲台に乗せることもできますし、FTZとの干渉もなくなるのでFマウントとZマウントの両立が可能になります。
2600円のプレートなので精度は期待していなかったのですがボディにピッタリのサイズ。なにこれすごい。
こちらもぴったり
サイドプレートもぴったり…
インターフェースへのアクセスも潰すことがありません。これホントに2600円のLプレートなのか…。
アルカスイス互換の雲台で検証してみる
FTZとの干渉はクリアしました。あとはこの激安アルカスイス互換のLプレートがホントに互換性があるのかを確認します。
RRSの雲台BH-55LRで確認したところ完璧に乗りました。
縦位置も問題なく装着可能。
GITZOの雲台でもManfrottoのギア雲台405に装着したアルカスイス互換のクランプでも問題ありませんでした。手元に雲台はすべて対応していました。


FTZにクイックシューを装着して雲台に乗せる
Lプレートを使えばZマウントとFTZを装着したFマウントレンズの付け替えで干渉することがなくなります。しかし大三元レンズなどの重量のあるレンズはフロントヘビーであるため公式でボディではなくFTZの三脚座を使用することが推奨されています。
よってLプレートを使用してZマウントのNIKKOR Zレンズを使いながら、FマウントではFTZでクイックシューを使うことが必要になってきます…ホントめんどくさいぞ。
このようにLプレートでZ7/Z6のボディボトムをかさ増しすると、今度はボディがFTZに装着するクイックシューに干渉します。よって使用するクイックシューを吟味する必要が出てきます。
つまりFTZとジャストフィットするか、前方にスライドできるクイックシューが必要になります。これに関しては小さめのクイックシューであれがほぼ対応できます。
まずはピークデザインのスタンダードプレート。こちらは問題なく装着できます。
別角度から見るとこのような装着になります。
アルカスイス互換の雲台にしっかりと装着することができます。
他のアルカスイス互換の雲台でも問題なく装着することができました。
色々なクイックシューで試してみる
GITZOの雲台GH1382QDに付属しているクイックシューGS5370SDではジャストフィットするサイズ感です。
サイズが小さいピークデザインのプレートに比べて剛性が期待できます。
Lプレートを付けたボディと、FTZに装着したクイックシューとの共存はこのようにボディが干渉しないギリギリの位置でFTZに装着したアルカスイス互換のクイックシューを挟むことで可能になります。
Siruiのクイックシューも小型のTY-70なら装着することができます。
ここまでのシステムでFTZの干渉問題とクイックシュー問題は解決です。
Zマウントのレンズを使用するときはアルカスイス互換のLプレートで三脚を使う、重たいレンズを使用するときは対応するクイックシューを装着したFTZを使用する。これだけでレンズ交換も快適で三脚の運用できるようになります。
ほとんどの人は快適にZマウントのシステムが運用できるようになると思います。……山岳写真を除いては。
山で快適にZ7/Z6を使おうとするならさらなるシステムを作っていく必要があります。
山岳写真に必須の携行システムと組み合わせる
山岳写真ではネックストラップなどでカメラをぶら下げると危険なため、肩や胸部に取り下げるシステムをオススメしています。


ピークデザインのキャプチャーやコットンキャリアの3Gストラップショットが代表的なので、今回はピークデザインを例にシステムを作ります。上記画像のようにクイックシューに厚さがあるとホルダーに装着することができなくなるため、FTZに装着するクイックシューを厳選する必要があります。
結論はピークデザインのスタンダードプレートを2枚使うこと。FTZを使う時は手前のプレートで肩に固定し、Zマウントのレンズを使うときはボディに装着したプレートで肩に固定する。このフローになります。
現在は販売されていない旧型のプレートは高さがあるため、ボディに旧型、FTZに新型をつけるとさらに段差が失くなるためボディとFTZどちらのプレートもキャプチャーに装着できます(上がその画像)
このようにボディにピークデザインのプレート、FTZにもプレートを装着しておくことでどちらのレンズを使用しても携行システムのキャプチャーに固定することができます。
Fマウントレンズを使用して三脚を使用するときはこのようにアルカスイス互換の雲台に固定します。クイックシューが小さいので固定力に不安が残りますが現状ではこれしか快適に運用できる方法を思いつきませんでした。
山岳写真で使用するNikon Zシステム
まずZマウントはLプレート+ピークデザインのプレート。これでFTZの装着問題を解決しながら携行システムのキャプチャーの運用が可能になります。アルカスイス互換の雲台なら縦横どちらの構図も対応できます。
次にNikon Z7/Z6で使用するFマウントシステム。Zマウントシステムに追加してFTZにピークデザインのプレートです。この組み合わせを作っておけば運用でストレスを感じることはありません。
ただこれは軽量をコンセプトに掲げるZマウントの思想とは真逆で、かなり余分な重量が加算されることを意味します。本来ならこういう小細工はせずに運用したかったのですが現在のニコンのZマウントの運用はそれほど完成度が低いのが現状です。
あまりZ7に関しては触れるつもりはなかったのですが、山岳写真においてあまりNikonのZ7/Z6の運用に関しての情報が少なく愕然としている人も多そうでしたので付け焼き刃ですが私が運用しているシステムをご紹介しました。
これを実現する要であるLプレートが2600円で買えるのがせめてもの救いです。値段に対して造りも精度もコストパフォーマンス抜群です。Zシリーズ使いなら1つ持っておいて損はありません。
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