高画素機のRAW現像が快適に行えるフォトグラファー向けのPCを自作した

2018年はNikonやCanonからもフルサイズミラーレスが発売され、これからは小さくコンパクトなカメラシステムが主流になっていく予感がしました。しかしながら画素数は引き続き大きくなっていく傾向があり、高画素機では4000万画素、普及機でも2000万画素以上が定番になりつつあります。

それらのカメラを扱うときに注意したいのがPCのスペック。写真にこだわる人はRAW現像作業が必須であることから、これらのカメラのRAWファイルを扱うには高いレベルのものが要求されます。

特に4000万画素クラスのボディを使う人はパソコン環境を吟味してから購入しないとレタッチにストレスがかかってしまうことも少なくなりません。

4575万画素のフルサイズミラーレス一眼Nikon Z7が手元にあることもあり、次世代の高画素機も考えて扱うフォトグラファー用のPCを自作してみました。

それぞれのパーツの詳細は後日レビューしますので、今回は全体の構成のご紹介です。

CPU:Intel Core i9 9900K

Core i9 9900K

第9世代のCoffee LakeのCore i9。8コア16スレッドでクロック周波数は3.6GHz。ターボブーストで最大5GHzまで駆動します。TDP(熱設計電力)が95Wなのでそこそこの発熱をするため、冷却には少し気を使いたいスペックです。

コア数とスレッド数が多いほど並行作業が楽になります。

フォトグラファーとデザイナーの両方の仕事をすることがあるため、Lightroom / Photoshop / Illustrator / InDesignを並行して使うことがあります。

Adobe製品はマルチコアマルチスレッドに対応しているソフトウェアなのでストレス無く快適な作業をしたい場合はコア数が多いと優位になります。

水冷CPUクーラー:NZXT KRAKEN X72

水冷 KRAKEN X72

Core i9 9900Kのと、搭載するビデオカードRTX2080の発熱を考えてケース内でのエアフローをキレイしたい、CPUの熱をケース内に撒き散らしたくないということで、水冷を選択しました。

導入したのはNZXTの中で一番大きいモデルのKRAKEN X72。

KRAKEN X72のヒートシンクとラジエーター

ラジエーターとヒートシンクが1つの組み合わせになっており、取り外しはできません。これをCPUとケースに装着してラジエーターにファンを取り付けて冷やす簡易水冷というシステムです。

このNZXTのKRAKENシリーズはマザーボードの内部USBと接続し、CAMというアプリケーションを使うことで温度やファンの回転数からLEDのカラーの調整、静音化プログラムの実行など様々なカスタマイズが可能になります。

メモリ:CORSAIR DDR4 VENGEANCE LPX 2666MHz 16GB x4

CORSAIR DDR4 VENGEANCE LPX

写真編集やデザイン作業で必要なのがとにかくメモリ。Adobe Photoshop CCの推奨環境は現在メモリ8GB以上とされていますが、16GBのメモリでも写真編集をするとすぐに限界に達します。

またLightroom Classic CCでは推奨12GB以上とされています。LightroomでベースのレタッチをしつつPhotoshopで写真を追い込むというスタイルであれば少なくても32GBのメモリが必要だと思いました。

メモリ64GB

大量の写真を扱ったり、他のアプリケーションを立ち上げることを考えると64GBのメモリは必須という判断です。

ビデオカード:ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING

ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING

ビデオカードはnVidiaの最新のGeforce RTX2080。Lightroomでは現像の画像調整の反映や、ライブラリでのビューでGPUパワーが使えます。

またPhotoshopでもGPUが強いと動作やフィルター処理がスムーズになるためビデオカードの性能はかなり重要。しかし本来ならばカラーの色調が豊かな10bitが使え、画像処理に特化したnvidiaのQuadroを積むべきなのですが、これだけのスペックのPCを作っておきながら最新のゲームをプレイしないなんていう選択肢はあり得ないのでRTX2080という選択をしました。

ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING

HDMIx2 DisplayPort x2 USB-C x1と出力は豊富で困ることはありません。現在のモニタはBenQ SW271、PV270、SW2700PTの3枚でのトリプルディスプレイ環境です。4Kモニタでゲームをしながら別モニタへの出力してもサクサクに動いてくれます。

システム用ストレージ:Samsung 970 EVO NVMe M.2 500GB

Samsung 970 EVO NVMe M.2 500GB

マザーボードに直接取り付けられるM.2のSSD。シーケンシャルでの読み出し3400MB/s、書き込み2300MB/sでSATAのSSDと比べても桁が1つ違うレベルで高速。

OSの動作がもっさりすると何をするにもフラストレーションが溜まるのでシステムドライブはできる限り高速にしたい。ついでにケーブル不要のストレージをすることでPCの中もスッキリできる。

M.2の発熱問題

しかしかなりの発熱をするようなのでヒートシンクを装着してエアフローをしっかりした環境のほうが良いらしく、それに合わせたマザーボードやケースを選択しています。

マザーボード:ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING

ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING

Z390チップセットのゲーミングマザーボード。オーバークロックして使用することが多いゲーム用とのマザーボードは高品質なパーツが使われていることが多く故障しにくいので、自作するときはTOUGHモデルかゲーム用のマザーボードを選択しています。

M.2の装着とヒートシンク

M.2のヒートシンク

ASUS ROG STRIX Z390-F GAMINGには標準で1つM.2用のヒートシンクが付属されています。

M.2の装着

M.2をスロットに差し込むと斜めの状態で維持されます。

ヒートシンクの装着

ヒートシンクを装着して上から押し付ける形でネジ止めすることで固定させます。これで熱問題もある程度は解決するはず!

PCI-Express3.0 x16が3本

PCI-Express x16が3本ある

CI-e x16が3レーン搭載。うち1本がx4モードで動いているみたいです。このあたりは最近のマザーボードの標準的なスペック。x16のスロットはx1 x4とも互換性があるため拡張スロットが足りなくなる事がなくなり便利です。

ここに4Kキャプチャーボード、来年に10GEのNICを装着予定。

SATAポート

SATAポート

SATAポートは6Gb/sが6個。すでにHDDやDVD/Blue-rayドライブを装着することがないため必要十分です。今回はシステムドライブとは別に旧PCで使用していたSSDを2つ装着します。

I/Oシールド装着済みのパネル

IOシールド装着済み

高級ラインのマザーボードだけあって、パネル部分の作り込みはキレイで、ケースにはめるだけの簡単なお仕事です。廉価対のものだとシールドを別にケースにはめ込む必要があり、失敗するといくつかの端子にケーブルが挿さらなくなるので気が利いた仕様です。

水冷とメモリの干渉はなし

ASUS ROG STRIX Z-390-F GAMINGとNZXT KRAKEN X72の相性

自作PCは自分でそれぞれのパーツを選ぶため、時々相性の問題が出ます。特にCPUクーラーとマザーボードのメモリスロットやビデオカードとの干渉がよくある話です。

今回選んだ水冷のNZXT KRAKEN X72とマザーボードASUS ROG STRIX Z-390-F GAMINGではメモリ、ビデオカード共に干渉することはありませんでした。

4Kキャプチャー:AverMedia GC573

AverMedia GC573

これから動画配信なども視野に入れていくべきだなと思うこともあったのでライブ配信機材を探していたところ、たまたまAverMediaさんからお声がけいただきハイエンド構成での4Kキャプチャーの動作検証用としていただいたLive Gamer 4K GC573を使用。

PCI-Express x4の端子なのでジャストフィットするスロットはありませんが、一番長いx16レーンであればそれ以下のすべての規格と互換性があるので、そこに装着して使用します。

電源:CORSAIR HX750

CORSAIR HX750

Corei9 9900KとRTX2080以外で電力消費するようなパーツは特にないので80PLUS PLATINUMの電源を採用。コンデンサが全て日本製で十年保証がついている堅牢性の高いモデルです。

ケーブル分離型

ケーブルはすべて取り外しができるフルモジュラー形式でエアフローの妨げを最低限にできます。負荷率が40%以下のときにはファンを停止して無音状態にすることもできるため、静音性に優れた仕様です。

ケース:NZXT H700i

NZXT H7001

久しぶりに購入したケースがこのNZXTのH700i。色々と革新的な仕様のプロダクトを出していて注目していたブランドです。

今ままで使っていた星野金属のALTIUM MUSCLEBACK2というケースが時代にそぐわなくなってきたこともあり新調しました。

NZXT H700iの構成

見て分かる通りBlue-rayドライブを装着させる気がサラサラない新時代のPCケース。5インチベイも下部に隠れた場所に2つなど、HDDもおまけ程度の運用と割り切っている仕様です。

冷却ファンはフロント部分に120mm x3、リアに140mが一つ標準搭載。SSDを格納する3.5インチベイが5つあり、拡張性は非常に高い。

さらにケースの中の騒音を計測する機能がついており、それをPC側のアプリケーションを使って機械学習させ静音性を高めるセッティングができる面白いギミックがついています。

この仕様で販売価格3万円を切るのはとてもお買い得感があります。

エアフローを良くする配線

H700iの裏配線

最近のPCケースはインテリアとしての扱いをすることが増えていることも多いせいか、このNZXT H700iもパネルが強化ガラスであったり、標準でLEDライトがついていたりしています。

それは置いておいて、とても優れていると感じたのが配線やストレージのギミック。マザーボードの上にケーブルが来ることはほとんどなく裏配線することができます。

見た目がキレイなことはいいことですし、エアフローも良くなる。ハイスペックで熱が出るパーツを使った自作PC向けのケースです。ここにSSDも装着できます。

純正の水冷NZXT KRAKEN X72の装着

KRAKEN X72の装着

さすがは純正の組み合わせ。ケースのトップ部分にラジエーターがキレイに収まります。H700iのケースを使うのであればビジュアル的にも設置の容易さ的にも同社のKRAKENシリーズが使いやすそうです。

自作したフォトグラファー用PCのスペック

写真家向けのレタッチ自作PC

こうして出来上がった写真家向けの自作PC。以前のPCはゲーミングノートPCであるHP OMEN 15インチとそう変わらないスペックでしたので、あらゆる作業が高速になりました。

レタッチしながらのデザイン作業も快適で、ゲームもサクサクできるしで個人的には大満足の仕上がり。

構成は下記になります。

CPU INTEL Corei9 9900K
CPUクーラー NZXT KRAKEN X72
メモリ CORSAIR DDR4 VENGEANCE LPX 2666MHz 64GB
マザーボード ASUS ROG STRIX Z390-F GAMING
ビデオカード ASUS ROG-STRIX-RTX2080-O8G-GAMING
システムストレージ Samsung 970 EVO NVMe M.2 500GB
作業用SSD Crucial CT500MX500SSD1/JP(流用)
SanDisk UltraⅡ 500GB(流用)
4Kキャプチャー AverMedia GC573
電源 CORSAIR HX750
ケース NZXT H700i

高速な環境が必要ないデータ保存用のストレージはSynologyのNAS DS3018XSに格納しています。こちらも近いうちに10GEネットワーク対応させて高速にさせる予定。

高画素のデジタルカメラのRAW現像を快適に行うためのPC構成を私が考えた結果このようになりました。

カメラに投資しすぎるとPCのスペックが追いつかず肝心のRAW現像がマトモにできなかったり、ストレージが不足してデータ管理に困ったりと写真活動に支障が出てきます。

高画素機を使って写真を撮ってる人はパソコンのスペックや周辺機器を見直してみると、レタッチが快適になります。

カメラやレンズと同じくらい写真に関して投資価値のあるものです。

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