小型ミラーレス一眼 FUJIFILM X-E3をアウトドア使用でレビュー

FUJIFILM X-E3

撮影機材は小さくて軽いほどいい。それはアウトドアフィールドに出るほど実感します。しかし画質・操作性・耐久性などの信頼性から結局はデジタル一眼レフのフラッグシップモデルに落ち着いていました。

その反動か、毎日やたらとデカイボディとレンズを背負って山に登るため、昔から軽量高画質が売りのミラーレスには憧れがありました。

最近はブログなどでの情報発信も多くなってきたため、素材撮り用・山岳写真のロケハンに使えるのではないかと思い、FUJIFILMのミラーレスで一番軽量コンパクトの新型ミラーレス一眼XE-3のレンズキットを購入しました。

X-E3は2430万画素のX-Trans CMOS IIIセンサーを搭載しており、これはフラッグシップモデルのX-Pro2と同じものです。エントリーモデルは他社のミラーレスに比べて少々高価な印象ですが、高画質を求める人の琴線に触れるラインナップ構成です。プロが趣味で持つカメラとしては理想的です。

初回レビューはネイチャーフォトグラファーの視点から、アウトドアフィールドでどのくらい使えるものなのかをレビューします。

圧倒的軽さと小ささでシャッターを切る回数が増える

Nikon D4SとFUJIFILM X-E3

現在のメイン構成であるNikon D4SとAF-S 24-70mm F2.8との比較。X-E3と18-55mm F2.8-4のレンズキットの組み合わせは軽量コンパクトで程よい画角をおさえているため、さっと取り出して撮影する機会が増えます。深く考えずに写真を撮るためミスショットや何の意図で撮影しているのかわからないものが多くなりますが、そういう気軽な使いが理想的だと思います。

持ち運びはカメラホルダーを使用

Xe3 d4d 2

コットンキャリアのストラップショットを使って携行しました。ここでも軽さのメリットが大きく、肩への負担を感じることはなく楽々と歩くことができます。ミラーレス一眼レフ+ショルダーのカメラホルダーという運用スタイルは登山が趣味な人にとっては正解の1つだと感じました。

霧ヶ峰でネイチャーフォトの試写

霧ヶ峰で撮影

XE-3とキットレンズのフジノンレンズ XF18-55mmF2.8-4 R LM OISの使い勝手を霧ヶ峰で行いました。カメラの特性と画の傾向が分かりやすいように、ここではすべての画像をJPEGの撮って出しでレビューしていきます。

色はこってりのるタイプ
18mm | 250/1 | F8 | ISO200

露出補正で−1をかけています。テレ端の歪みを如実に感じることもなく、中心はもちろん端もよく解像していると思います。ズームレンズは広角よりの画質が極端に悪いものが多いので気になったところですが、まったく問題ないようです。これがキットレンズというのは凄いなと正直思います。

細かい描写力
55mm | 1/90 | F8 |ISO200

ワイド端。枯れ木のディテールもキレイに出ていますし、奥の紅葉もキレイに色が乗っています。これがFUJIの色なのですね。嫌味がない程度にキレイに色が乗るのでJPEGをそのままInstagramやSNSにアップする人にとってはこの色は魅力的ではないかと思います。個人的には好きな色味です。

逆光耐性
20.5mm | 1/500 | F8 | ISO200

フレアとハレーションは盛大に出ますので晴天時はハレ切りの必要がありそうです。

開放気味での撮影
50.5mm | 1000/1 | F5 | ISO200

白が飛びすぎず、シャドウが強めな感じです。趣味でネイチャーフォトをやりたい人には思った通りの画に成りやすいと思います。特に山岳写真はハイライトが飛びすぎるのが難点でレタッチ作業に追われることが多いです。

程よいボケ味
42.5mm | 1000/1 | F4 | ISO200

一眼レフの醍醐味であるボケもキレイに出ます。18-55mm F2.8-F4というスペックはAPS-C換算で27mm-82mmになります。望遠寄りでF4は被写界深度を意識した写真を撮るには十分な条件です。

適正露出だと少し暗めになることが多い

X-E3と Nikon D4SとのJPEG画像の比較です。両方とも同じくマルチパターン測光で露出はカメラ側に任せています。X-E3はEVF(ファインダー)を覗いたときにわかるのですが、空などの色が飛びそうなものをしっかりと描写しようとするので、このような写真を撮るときは全体的にアンダーになりやすい傾向があります。

しかし露出補正がモニターやEVFに反映されて見た目と撮影した写真がほぼ同じになるのがミラーレスの特徴であり強みですから、露出補正で理想な色味に近づけることができます。このあたりは慣れの問題だと思います。

X-E3の操作性

X-E3の操作性

画質が良いことは間違いないX-E3とXF18-55mmF2.8-4 R LM OIS。その中で軽量コンパクトであることを重視したため懸念するのが操作性。これはネイチャーフォトにおいて大事な要素です。本職として辛口に評価していきます。

結局EVFを見てしまう

ミラーレス一眼の強みであるモニターを見ながらの撮影。室内や観光地なら問題なく使用できる便利なものですが、アウトドアフィールドの昼間ではモニターが見えなくなり、結局はファインダーを覗くことになります。

ネイチャーではEVFをメインに撮影することが避けられないシチュエーションがあります。一眼レフのOVF(光学式)と同じ使い方になるので、問題になるのがEVFのクオリティ。

D4Sのファインダーに比べると倍率や鮮明さがなく、ボタン半押しやソフトウェアの動きでカクつきが起こることがあります。また光学式のように見たままの景色が見えるのではなく、露出補正やフィルムシュミレーションがかかった撮影した写真の映像が見えるため一眼レフに慣れている人の感覚値とはズレが生じます。

ファンダー越しに被写体を見る時間が多いタイプのカメラマンとは相性が悪いかもしれません。私も慣れるまで時間がかかりそうです。

絞り優先での操作性に問題あり

山やアウトドアフィールドで撮影するときに困った仕様になっています。

。X-E3の絞り優先モード

  1. レンズを絞り専用モードにスライド
  2. ダイヤルをAに設定
  3. レンズの手前のリングでF値を変更

このような使い方をします。ここでの問題点は手袋をした状態だと実用的なレベルで使用出来ないという点です。標高2000mの10月初旬の霧ヶ峰の朝は気温0度近くまで落ち込むため、最低でも薄手の手袋が必要です。そのためfinetrackのメリノスピングローブを着用していました。その際のトラブルです。

X-E3の絞り優先モード

キットレンズのXF18-55mmF2.8-4 R LM OISはプログラムオートと絞り優先モードに切り替えるためのスイッチが、絞りリングと同じ動作で切り替えられてしまう点。指の感覚が鈍くなるグローブ越しだと気づかないうちにスイッチを切り替えてしまい、勝手にプログラムオートに変更されていました。

もう一つが絞りのリングが細いこと。手袋越しでは上手く回せずにF値の変更に難儀しました。日常生活で使用する薄手の手袋なら支障ないかもしれませんが、登山用の薄手のグローブは指先にすべり止めがついているものが多く、これが原因でリングを回しにくくなっていました。

手袋を使用しているときはプログラムシフトを使用

解決策を探ったところ、Pモード時はリアのダイヤルを回すことでF値の変更ができることがわかりました。これでレンズに触れることなくF値を変更できるためヒューマンエラーは起こりにくくなります。

ボディでF値を制御する方法

  1. レンズのスイッチをAにする
  2. ボディのダイヤルをAにする
  3. リアダイヤルを回してF値を設定する

これならば手袋をしていても快適に露出の設定を行うことができるようになります。

クイックメニューとファンクションキーの使い勝手がいい

ミニマム設計の小型のX-E3では設定の操作が複雑なのではないかと思っていましたが、いい意味で裏切ってくれました。それがクイックメニュー。

クイックメニュー

撮影に必要な設定を一覧で表示でき、変更したい項目を選んでリアダイヤルを回すだけで設定することが可能です。テンプレートとして複数の設定が保存できることに加え、クイックメニューに登録する項目を追加することもできます。よく使用する設定を登録しておくだけで、現場での設定切り替えが迅速に行えるようになります。

それに加えて1つの機能を呼び出すことができるファンクションキー。私は即座にISO感度設定にしました。

スタンダードモードでのフォーカス精度はいまいち

フォーカス精度

ピントが取りづらい構図

このような風で動きながら、背景との差が出にくい被写体。どのカメラでも苦手かと思いますがAF速度が早く正確なものでしたら一発で捉えます。しかしX-E3ではピントが拾えず3回ほどトライすることになりました。このあたりは単純にAF性能というわけではなく、EVFやモニターの性能や遅延も影響しているので複合的な問題かもしれません。

D4Sと比較しているので当たり前なのかもしれませんが、このあたりは実用上少し気になりました。

バッテリー消費には注意が必要

静止画撮影枚数
ハイパフォーマンス 260枚
スタンダード 350枚

AFの速度向上・EVFの表示を滑らかにするハイパフォーマンスモードで260枚、性能を押さえた省電力設定で350枚の撮影ができます。今回の試写では230枚の撮影で、残バッテリが表示上は40〜20%の間でした。一眼レフと同じ感覚で使っていると不安になるバッテリー容量です。登山をしたり旅行に持っていく場合は替えバッテリーを1つ購入しておくとよいと思います。

愛着がモテるミラーレス一眼レフ

画質はJPEGの撮って出しでも十分すぎるくらいです。これからのレタッチ耐性の期待が高まります。今回はネイチャーフォト用としてのアウトドアフィールドでのレビューでしたので辛口は評価になりましたが、そもそもこのカメラはネイチャーを本気で撮影するためのものではありません。

それはD4Sや次のモデルに任せると決めているので、趣味性の高いX-E3を購入したのですから。

業務用ともいえる一眼レフと比べ、それでも致命的なエラーを出すことなく使用できたという点はミニマム設計のカメラとしては優秀だと思います。普段持ち歩いたり・旅行や散歩などでも十分すぎるスペック。かつ高画質。そういう用途なら完成度は非常に高いです。

どこにでも持って行けて気軽に撮れるという点では一眼レフは足元にも及びません。

そしてなによりBluetoothでスマホと接続して画像を共有できる点。インスタ映えを狙うユーザーにはたまらないのではないでしょうか。
こちらは日常生活での使用レビューで検証してみようと思います。

レタッチしたらいつもと違う写真になりびっくりした記事はこちらから。

X-E3をメインに撮影した山岳写真はこちら

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